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女王の教室

 最近、独立して3回、同じことを聞かれました。それは「女王の教室の教師をどう思われますか?」ということです。具体的には「厳しい教師と優しい教師のどちらがいい教師でしょうか?」という質問です。

 私はニコニコしながら「私は厳しい教師と優しい教師のどちらだと思う?」と聞きました。3人とも応えられません。そりゃそうでしょう。普段は馬鹿なことをしゃべってゲタゲタと笑い、中学生並みの悪戯するオッサンです。学生との間合いは、面白い親戚のおっちゃんに近いでしょう。おそらくゼミ生は私が怒った顔を想像できないと思います。だから、一般的な意味での「厳しい」とは無縁です。しかし、馬鹿な話をせず、静かに語ったとたんにモードが変わります。おそらく、かなりのプレッシャーがかかります。その意味では厳しい教師です。同時に、学生のことを常に考え、行動していることは理解されていると思います。私の不治の病はおせっかいですから。でも、同時に学生との間合いに関しては明確に線引きしているのです。だから優しいといえば優しいですし、そうでないといえば、そうでない。

 だから「私は女王の教室の教師が言っていることの多くは正鵠を得ていると思う。でも、あのような表現をする必要はないと思う。君らから見える私のように、いろいろな側面をその場に応じて表現すればいいと思うよ」と言いました。

自己判断・自己責任

 以前、「ゼミ生から○○ゼミの人達は○○先生のようになりたいと思っているけど、西川ゼミの中で西川先生の様になりたいと思っている人はいない」と言われたことがあります。彼女が満面の笑みでそれを私に語ったのは、それが私の望んでいることであることを分かっているからです。

 多くの教師は、子どもが分かるように一生懸命に考え、手立てを尽くして教えます。つまり、自分が考えたように育って欲しいのです。しかし、私は自分で考え行動する子どもに育って欲しい。子ども人生を責任を負えるのは、その子どもだからです。他人である私は背負えないし、背負いたくない。

 私は色々と語ります。しかし強いません。誤解が生じそうなときには、必ず、選択権は自分にあることを強調します。だから西川ゼミの香りは「自由」です。しかし、自由には責任があります。ただし、集団で協働すれば、かなりの責任を無理なく背負えます。それを経験して欲しいと願って行動しています。

 おそらくゼミ生は気づいていないけど、西川ゼミほどゼミ運営に「仕掛け」が無いのも珍しいと思います。有るのは気づきやすいですけど、無いのは気づきにくい。例えば、ゼミの時の自分たちの様子を思い出せば、気づけるかも。

職能

 最近、教師の職能の最上位は「集団の見取り」と書きました(https://www.jun24kawa.com/entry/2020/11/04/182235 )。これに関して、ゼミ生から聞かれたとき、そのように応えたのですが、違和感がありました。教師の教育技術の最上位は「集団の見取り」ですが、教師の職能最上位はヴィジョンです。これは教師に限らず、優れた管理職(営利企業の経営者も)に等しく求められる職能です。

 つまり、これからの社会はどのような社会であり、そこにおける幸せは何かのヴィジョンを持ち、それをぶれずに語り続ける能力です。それさえあれば、ありとあらゆる教育技術は不要になります。何故ならば、管下の集団が自主的に考え、行動してくれるからです。ま、簡単に言えば、心に火を付ける能力です。ただし、一人の人が全員の心に火を付けることは不可能です。集団で考える必要があります。

追伸 技術は技術に過ぎません。例えば、校長の机の上に「職員を感動させる話し365日」や「嫌がる職員に部活顧問にさせる方法」なんて本が置いてあったら、どう思います?

教員の机の上に「子どもを感動させる話し365日」や「嫌がる部活に入部させる方法」なんて本が置いてあったら、子どもはどう思います?「先生頑張っているね」と思う子どもと、「馬鹿にするな」と思う子どもとどちらを育てたいですか?

 『学び合い』実践で苦労されている方もおられます。その方々に申します。

 では、『学び合い』をやめたら改善できますか?

 おそらく、改善できない。子どもの抱えている問題は改善せず、おそらく悪化するでしょう。ただし、子どもの動きが見えなくなると闇が見えなくなる。だから、教師の気が楽になるのです。そして、子どもの闇は深くなる。

 どうしたらいいか?

 本を読み、自分で考え、人と語り合うことです。