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2001-03-03

[]新理論 23:08 新理論 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 新理論 - 西川純のメモ 新理論 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は、理学部の学部を卒業した後、教育の世界に入りました。その当時は、学部の時の教職科目「教育原理」の印象があり、教育学科学と違って十年一日のようなものであると独り合点していました。ところが、この世界に入り20年になりますが、その間にも3度ほど「新理論」の流行(はやり)、すたりを経験しました。だいたいの過程は次のようなものです。

 学会で、ごく数人のエネルギーのある研究者発表題目に、目新しいキーワード入ります。その先生が書かれた論文学会誌に掲載されます。おもしろい視点なので、その論文引用している原典を読みながら、「新理論」を理解しようがんばります。しかし、私の能力の無さ故に、今ひとつ分かりません。そうこうするうちに、それらの先生が教師用の雑誌に簡単な入門書を書いてくれます。それを読み、やっと、ああそういうことかと分かります。その次の年あたりになると、10人以上の研究者が「新理論」にもとづく発表をします。そうなると、「それを理解できなければ馬鹿にされる」という感じです。小心者のわたしなぞは、そのような人から直接聞いたり、それらの人の論文引用論文を、遅ればせながら読みます。そうすると、微妙に違うことに気づきます。結局、「最大公約数としては○○なんだな」という私なりの理解が出来ます。このあたりで4,5年かかります。そのころには「新新理論」が登場するころです。(あーしんど)。

 私も40歳を越え、ますます新理論を追うのがつらくなっています。若い研究者の方にお願いです。新理論を展開する際は、「新理論」のおもしろさを簡単に説明していただけませんか。学会発表を聞いていると、たいていの場合、「旧理論」がいかに不備であるかに関しては詳細です。でも、それでは新理論だと、どんなことが良いかに関しては、「それは今後の課題」でさらりと流されるようです。きっと、私と同じような気持ちでありながら、かっこわるくて言えない人も多いと思います。お願いします。