■ [大事なこと]仕事はもらえ
高校教師2年目のある日、先輩教師達から「西川、伊豆に遊びに行こう」とのお誘いがあった。ほいほいのった。先輩教師達の車に乗って、伊豆の戸田の民宿についた。ついたとたんに宴会。30歳後半から50歳の先輩教師たちとバカ飲み。いつの間にか眠ってしまったが、寝ているところを起こされ、「イカ釣りに行くぞ」とのこと。何がなんだか分からないうちに、イカ釣り漁船に乗り込み深夜の海に出航!船に弱い私は直ちに船酔。しばらくすると、船が止まりイカ釣り開始。明るいライトの光の中、イカが甲板にどんどん投げ出される。酔っぱらった先輩は生きているイカにかぶりつき、「これがおいしいんだ」と訳の分からないことをのたまう。自分も、生きているイカにかぶりつき、先輩教師達と酒をラッパ飲み。
バカみたいな経験でしたが、とても楽しい経験でした。でも、参加者の中で20歳代は私一人でした。
教師になる際、いろいろな人から教師心得を教えてもらいました。大学院の指導教官だった小林先生(かって東京都の高校の先生だった)からは、「仕事は頭を下げてもらえ」と教えられました。身近な例で教えてもらえました。
例えば、研修会の際、受付をやっている先生がいるとき、その先生に「私に受付の手伝いをさせていただけませんでしょうか?」とお願いします。おそらく、「ありがとうございました。でも結構です。」と丁重に断られるでしょう。でも研修会に参加するたびに申し出れば、そのうち、「でわ、これこれのことお願いできますか?」と言ってもらえる。その仕事を、ちゃんとこなすと、前よりちょっと難しい仕事が与えられる。そうこうするうちに、研修会の受付に座ることになります。そのころになると、研修会がどんな組織が運営し、何を目的としているが、先輩教師の雑談から見えてきます。そのうちに、研修会の準備の仕事が与えられる。そうすると、もっと見えるものが大きくなる。・・・・・
小林先生がおっしゃたことは、ゴマをすれということではありません。教えてもらえるためには、まず、何かをやれということだと思います。そして、何かをやるためには、「やらせてもらうという気持ちがなければ」ということだと思います。
私の場合、研修会のような都道府県レベル、また、市町村レベルの仕事の経験はありません。でも学校の仕事は、何でも首を突っ込みました。先輩教師が忙しそうにしていると、「先生、何やってるの?」と聞きます。説明を聞くと、「これこれをやればいいんじゃない?」と提案します。それでいいと言うことならば、「それなら出来るよ」となります。結局、失敗して尻拭いをお願いしたことも少なくないですが、その場合でも「ありがとう」と感謝されます。そんなこんなで、色々な先輩教師からおごってもらいました。
短期的には損した方が、中長期的には得するように思います。私には、短期的には得をしているが、中長期的には損していると思える人がいます。ただ、今にして気づくことは、私の場合、たまたま良い先輩に恵まれたのかもしれません。少なくとも、仕事をもらう人を選ぶ必要があるようです。