■ [お願い]嫌われること 
私が高校教師だったときの話です。その日の授業でのウケがいまいちだったため、浮かない顔で職員室に戻りました。Ｋ教頭先生が目ざとく見つけ、「西川さん、どうしたの？」と聞かれました。わたしが、「今日はあまりウケなかった」と言いました。それを聞いたＫ先生は、今にも笑い出しそうな顔で、「西川さん、あなたは、あなたの授業をクラスのみんなが面白しろがっていると思っているの？クラスのみんなが、あなたを好きだと思っているの？」と言われた。
Ｋ先生曰く。どんな授業であろうと、つまらないと思う生徒はいる。どんなに好かれる先生でも、嫌う生徒はいる。逆に、つまらないと思う生徒がいないとしたら、問題のある授業で、嫌う生徒がいないとしたら問題のある教師だそうだ。つまらないと思う生徒、嫌う生徒がいることを前提として出発すべきだそうです。つまり、つまらない生徒の「つまらない」と思う気持ちを小さくし、嫌う程度を弱くするよう努力する。また、面白いと感じる生徒の気持ちを大きくし、好きだという程度を強くするよう努力する。それを聞いて、なんか肩の荷が下りた気持ちになりました。
しかし今でも、授業中につまらなそうな顔をされると、それが気になってしょうがないし、落ち込みます。個人ゼミでも、「エ～！？」と言われると、これまた落ち込む。なんとしても、全員にウケて、全員に好かれているという暗示を自分自身にかけないと、やっていけない情けない状態には変わりがありません。学生さん、院生さん、すみませんが「おもしろいぞ～！」という表情の練習をしてくださいね。授業とゼミは互いに作り上げるものですから。
■ [ゼミ]人を見る目 
３年になると卒業研究にはいるため、２年の後半に研究室所属を決めます。そのため、その頃になると２年生が私の研究室を訪ね、「先生の研究室に入りたいんですけど」と相談を受けることになります。大抵の場合、「君が？」と驚いてします。
平成３年から学部学生を指導していますが、今までに約４０人以上の学生さんがうちの研究室に所属を希望しました。しかし、その中で、私があの学生さんは私の研究室に入りそうだなと予想し、実際に入った人は、たった１人です。講義の間、じっと私を睨みつけるものだから、私のことが気にくわないのかとおもったら、実は、真剣に聞いていたためだと後で分かった場合もあります。逆に、講義の間つねにニコニコしながら私の話を聞き、合間合間に相槌をうつので、きっと私の研究室に所属したいのだと思ってしまいます。でも、そんな学生さんは、大抵、別な研究室に所属します。本当に人を見る目がないと思います。さらに、２年の前期におこなう私の講義を選択していない学生さん、選択したが、私が単位を落とした学生さんが所属希望をするのですから、訳が分からなくなります。
とわいっても、一度、ゼミに所属すれば可愛いものです。明日の２２日は修了式、卒業式があります。私が全く知らない土地で、１８年過ごした学生さん、３０数年過ごした院生さん。それが何かのご縁で私の研究室に所属しました。明日、また、私が全く知らない土地に帰ります。幸多かれ。
