■ [大事なこと]人の成長
この時期になると、地元新聞に新潟県の教員異動(管理職)の一覧が載ります。ざっと、斜め読みするだけで見知った人OBの名前が目に飛び込みます。4月になると、新潟県のOBはもちろん、全国のOBから異動挨拶の手紙が来ます。新聞や異動挨拶を見るたびに、「へー、センターに入ったんだ」、「へーあの人が教頭になったの?」と驚きます。さらに、最近では校長になるOBもいて、「全校集会でもっともらしい顔をしてお話しするんだろうな~」と苦笑します。
もちろん、それらの方々は都道府県の選抜を経て、上越教育大学に派遣された実力のあるりっぱな方ですから、当然だなという気持ちはあります。しかし同時に、院生時代のその方々の姿を思い出すと違和感を感じてしまうんです。院生時代の、その方々は外見はオッサンなんですが、行動は「あんちゃん」なんです。
大学院に入学当初は、背広にネクタイで大学院に登場します。本人は、真面目に大学に「通学」ならぬ「通勤」しているんです。しかし、一月もたつと変化が起こります。だいたいはジーパンです。なかにはジャージに変化します。子どもを追い回していた学校現場とは異なり、大学院では運動量は激減します。ジャージのゴムはどんどんのびることとなります。3ヶ月後の段階で背広、ネクタイでくる人は殆どいません。
外見ばかりではありません。はじめは、堅苦しい言葉で私と話していたのが、どんどん変わります。同じ西川ゼミの学部学生さんとも、はじめはぎこちなく、まだ「先生」という立場を引きづりながら話します。しかし、半年もしないうちに、「あんちゃん」(もしくは先輩)となって学生さんとじゃれる合うようになります。そのイメージが強いため、背広を着て、ネクタイを締め、それなりの立場での「お話」をしているOB各位の姿が想像しにくいんです。でも、そんなOBも心の中は今でも「あんちゃん」のままでしょう。
この年になり、自分の変化のなさを自覚すると愕然となります。学生さんには、こんなことを話します。
「○○ちゃんは、いまは20歳代だけど、30、40になると大人になると思うだろ?」
学生さんは、うなづきます。
「でも、全然変わらないと思うよ」
「だいたい、人間の心の成長って高校3年生ぐらいで終わるんじゃないかな?」
「それで微調整が大学時代に起こると思うんだ」
「だって、○○ちゃんは今は大学○年生だけど、高校3年のころと気持ちなんか変わった?」
首を振る
「その状態が、今後ずーとつづくんだ」
「俺もこの年になると、立場や役回りで、それっぽいことを話しているけど、高校3年の頃から、あんまり変わっていないように思うんだ」、「俺から見ても「じーさん」とみえる大教授の先生も、きっと心の中は「あんちゃん」のままだと思うんだけどな~」
大抵の学生さんは、「ふーん」といって納得できません。
きっとOBの方々も、心は「あんちゃん、ねーちゃん」のままで、立場上、職員会議や全校集会で「それらしい話」をするんだと思います。私が、授業やゼミで「それらしい話」をしているように・・・・
追伸
先ほどの学生さんへの話には続きがあります。
「心と違って、外見はどんどん変わっていくんだぞ~」
「いま、俺を見るとオッサンと思うだろ」
「でも、あと10年もたつと、おまえも十分オッサンになるんだ」
「そのころになったら、どちらが先生だったか、どちらが学生だったか分からないようになるかもしれないよ。いや、俺の方が年下に見えるんじゃないかな~」
そして、ニヤニヤ笑います。(学生さんは絶対に認めませんが)