■ [謎]飲み助
私が上越教育大学に赴任した十数年前の院生さん(小中高から派遣された院生さん)には、飲み助として強者(つわもの)が何人もいました。学会等で出張したとき、とても頼りになります。
夜の飲屋街に一緒に行くと、2、3人の院生さんがさーっと散って、いろいろな店の中を見回します。飲み助の持つ「嗅覚」に基づき、あっという間にいい店を探してくれます。さらに、スナックなどの場合は、値段交渉もやっていただける。
最近の院生さんは、酒の飲み方が「さらり」としています。聞くと、「晩酌はしない」または「小さいビール缶1本」の方が多いようです。何でこんなに変化したのかが、私には謎です。
■ [ゼミ]息の根を止めるな
今年、K君が卒業しました。おそらく、歴代で最も私の「嫌み」を聞かされたゼミ生だろうと思います。
私は、「出来ないのは許すが、やらないのは許さない」という基準で、評価しています。そのため、基本的に単位を落とすことはありません。しかし、K君の場合、大学2年生の前期にある私の講義の中盤から欠席するようになり、結果として単位を落としました。もちろん、その他の科目も単位を落としまくりました。そのK君が、大学2年の後期に、私の研究室所属を希望しました。例年であれば、年度の最大受入数を超えたことを理由に断ります。ところが、その年度は不思議と最大受入数と希望者数が一致しました。そのため、断る理由を見つけられなかったため受け入れました。
ゼミ所属の後は、一生懸命やっているんですが、「寝坊」の癖はなおりません。ゼミを欠席するならまだしも、必修科目の試験に寝坊することもありました。そんなこんなで、4年の最後の最後まで卒業できるかスリルとサスペンスの日々でした。
2年間を通して、
「俺はKちゃんが大好きだから、2年間(学部3、4年)だけだと寂しいな~。4年間かけて(即ち2回落第して)一緒に研究しようよ」
「卒業できなくても、短大卒業での教員免許状はえられるよ~。無理して卒研しなくても良いんだよ~」
と言い続けていました。冗談半分ですが、残りの半分は「本気」でした。高校教師時代だったら、迷わず、「退学」を勧めます。しかし、「息の根を止めず」に2年間がたちました。ところが、結果としては、とても良い卒業研究をまとめ、無事に卒業もしました。 現在、教員採用は厳しく、全国の国立大学の中には、教員養成学部全体で現役一発合格者が数人という大学もあるほどです。それなのにK君は、なんと現役一発で小学校の先生に採用されました。おかげで後輩からは、「なんだ、勉強しなくても良いんだ!」という声があがるという悪影響さえあります。 しかし、まぐれだとは思いません。能力があり、子どもを見とれる目も持っていると思います。ただ、勤めてから「寝坊をしないか?」が気がかりです。
人の未来は分からぬものです。教師が分を越えて、その未来を決定するようなことは出来ないな~と感じました。
追伸 卒業後、彼からメールが来ました。その中に、「鮭のように、帰ってくると思いますので、宜しくお願いします。」とありました。嬉しいような、怖いような。