■ [ゼミ]教採の勉強のポイントと修士論文テーマ決定のポイント

最近、学生さんと院生さんに、同じような話をしているので、ホームページに載せることにしました。
学部学生さんが、教員採用試験の勉強をし始める際、こんな話をします。
教員採用試験の勉強するとき、問題集を使うよね。その際、絶対に、1冊を終わるまで別な問題集を買わないでね。
僕自身の失敗なんだけど・・・。問題集をやりはじめ、何回も繰り返し解くと、しばらくすると、大部分の問題は「すらすら」解けるようになるんだよ。でも、なかなか解けない問題がごく少数残るんだ。そんな問題は、なかなか手強くて、何度やっても解けないんだ。そんなことが繰り返すと、「こんな問題は、教員採用試験には関係ないんだ。こんな問題を載せている問題集が悪いんだ」と合理化してしまいます。その結果、別な問題集を本屋で見つけ、やり始めます。
前の問題集である程度やっているので、別な問題集の大部分は「すらすら」解くことが出来ます。ところが、ある部分はなかなか解けません。実は、その問題は、最初の問題集で解けなかった問題と同種の問題なんです。結果として、別な問題集を本屋で見つけ、やり始めます。以下、この繰り返しです。つまり、3冊やろうが、5冊やろうが、10冊やろうが、結果が同じです。出来ないことを、その問題集の不備に理由づけている段階では解決できません。
私の場合は、3冊目あたりで気づきました。そのため、東京都で高校教師として拾ってくれました。
この話が、院生さんとのテーマ設定の話し合いで、同じように話す機会が多いことに気づきました。
院生さんは、色々とやりたいテーマを持って大学院に来ます。それらのテーマは、一つ一つ、興味深く、捨てがたいものです。でも、修士論文のテーマとしては一つを選ばなければなりません。もし、複数のテーマを並列した場合、問題集と同じです。あるテーマをやり始めて、壁にぶち当たると、別なテーマに逃げます。そのテーマをやりはじめると、(本人は気づかなくても同じところで)壁にぶち当たり、別なテーマに逃げます・・・・(以下繰り返す)。
すばらしいテーマが一つあるのではないんです。すばらしいテーマとなりうるテーマが星の数ほどあるんです。ようは、自分のテーマをすばらしいテーマに育てることが出来るか、否かなんです。
私の場合、先輩から「すごい研究をしようと思うな、傷の少ない丁寧な研究をめざしな。ひとつの丁寧な研究をすれば、すごい研究をするための方法が見えるから。」と教えられました。たしかに、一つの研究を終わると、見えるものが多いことに気づきます。
10のテーマを大学院2年間でやることはできません。でも、一つのテーマを納得できるだけやれば、残りの9のテーマに関しても、何が大事で、どうすればいいかということも見えるものだと思います。