■ [発見]横隔膜は安くて美味しい
集中講義でいった宇都宮大学の院生さんからメールが来ました。内容は、このメモに学内のステーキ屋の安さのなぞに関して書いたこと(2001年7月26日付)をよんで、そのなぞの理由を教えてくれました。メールの内容は以下の通りです。
『集中講義の際、驚いていらしゃったステーキ宮の謎が分かったのでお知らせしておきます。学生ステーキが490円(ライス・スープバーつき)でできるのはなんと、牛の横隔膜を出しているからだそうです。横隔膜とは呼吸の時に使っているれっきとした筋肉です。しかし、流通上では横隔膜は臓器として扱われ、コストが安いのだそうです。そのために安く販売しても元が取れるのだそうです。確かに味は牛なのですが、肉が縦に裂けるなど奇妙な点がありましたが、これで解決です。安心して食べられますよね。』
私が宮にいったとき、学生ステーキの安さに驚きました。メニューの学生ステーキの写真を見ると、繊維が縦に並んでいたので魚の肉のように見えました。そのため、「おそらく魚をステーキ風の味付けで焼いたのだろう、だから、こんなに安いんだ」と勝手に解釈しました。私は肉を食べたかったため、ステーキは避けてハンバーグにしました。しかし、メールによって、あの肉が横隔膜であり、肉が縦に避けやすく、それゆえ魚の肉のように見えたことが判明しました。今度、宇都宮大学に行ったら是非試してみたいと思います。情報提供していただいたF.Kさんありがとう!
■ [発見]挨拶百態
学生さんと大学の授業や先生のことのうわさ話をすることがあります。その時、「あの先生はいい先生だよね」と学生さん同士が話し合っているので、「どういうところが?」と聞きました。その答えは、「だって挨拶すると、あの先生は挨拶してくれるよ」とのことでした。絶句して、笑い出しました。
学生さんによると、教官の挨拶は以下のようなタイプに分類されるようです。
無視:挨拶しても、無視して通りすぎる。
ふんぞり返る:偉そうに胸を反り返し、「ウム」と首をちょっと動かす。
会釈:ちょっと微笑んで、会釈する。
声がけ:「こんにちは」と丁寧に挨拶する。
しかし、過半数の教官が「無視」タイプだそうです。 私の場合は、全学必修の講義があるので、自コース以外の学生さんから挨拶を受ける場合が多いです。その場合は、「会釈」タイプです。しかし、履修者20人以下の講義を聴いたことのある学生さんの場合は、「馬鹿話」タイプです。さらに、うちの研究室や戸北研究室の院生さん・学生さんの場合は、その学生さん達をからかう「からかい」タイプになります。ある院生さんから、「先生は、うしろから、そーっと近づいて、いきなり挨拶されるもんだから寿命が縮まります、やめてください」といわれています。
■ [親ばか]未来の子どもの誤概念
振り子の周期は、ひもの長さに影響されますが、おもりの重さには影響されません。しかし、重いおもりの振り子と軽いおもりの振り子では周期が変化すると思いがちです。この誤概念が、いったい何に由来するのかを調査したことがあります。方法は、小学生、幼稚園生に、徹底的にインタビューする方法です。その結果、「かけっこ」や「釣り」などの遊びを通して、そのような誤概念が育つことが明らかになりました。つまり、「重いものを動かすのは大変だ」とか「動いている重いものは、すごい力がある」というような日常経験に基づくものでした。
息子は車が大好きです。本物の車を眺めているだけで、ご機嫌です。また、ぐずっているときは車の玩具を与えると、直ぐに機嫌が直ります。その車の玩具を見ると、数百円のものといえども侮れません。どういう仕組みなのか分かりませんが、後ろにちょっと動かすと、それがゼンマイに伝わり、後ろに動かした距離の十倍以上も勢いよく動きます。また、千円以下の値段で、なんとリモコンの車が買えるんです。ボタンを押すと車が動くので、息子はご機嫌です。
しかし、こんなことがどんどんエスカレートして、未来の社会では腕や足を使って遊ぶ玩具が無くなり、ボタンやテレパシーで動かす玩具ばかりになるかもしれません。そうなったら、現在、我々が理科学習の障害と見なしている誤概念すらも生じないのかもしれません。