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2001-12-22

[]正しい質問 13:59 正しい質問 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 正しい質問 - 西川純のメモ 正しい質問 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 木曜日に学部2年の新ゼミ生と学年ゼミを行いました。ゼミといっても、私が教え、ゼミ生がそれを拝聴するという形式ではありません。私の研究室に4人が集まり、テキスト論文を読み合わせ、分からない部分を彼らが話し合いながら解決する形式です。彼らが話し合っている間中、私は別な仕事をしています。私の出番は、話し合っても解決できない場合です。それ以外は、発言を控えるようにしています。最初の学年ゼミなので、テキストは「学び合う教室」です。

 私は別な仕事をしていますが、横で話している4人の話している声は聞こえます。何が書いてあるかというレベルは、話し合いで解決できる範囲です。しかし、書かれていることを元に、さらに発展させるところになると、話し合いだけでは解決できない場合があります。例えば、「学び合う教室」で、早く作業を終わらすことをのみを目的とした班を紹介しています。そのような班では、班内の優秀な子どものみが作業を行います。一方、作業が遅い(もしくは失敗する)ことが予想される子どもは作業をしません(もしくはさせてもらえません)。結果として、班としての作業自体の速度は早いのですが、班員一人一人の教育的達成度は低いものとなります。2年生が話し合っていたのは、そのような班をどのように指導したらいいのか?というテーマでした。

 話し合いの方向としては、子ども達の考え方を変える方法は何かというものでした。色々な方法を考え出しているのですが、自分たちの生徒の時を思い返すと効果が薄いだろうという結論になります。そこで私の出番となりました。

 私が最初に発した言葉は、「課題を早く終わらせたいと一番思っているのは誰?」という質問です。すると「先生」という直ぐに出ました。「それじゃあ、どうやったら解決できる?」と質問したら、「先生が早く終わらせようとするのをやめればいい」と直ぐに出ました。その後、補足説明をしましたが、すぐに分かってくれました。何となれば、自分自身の経験に置き換えれば、意味することは自明ですから。

 何か問題が起こったとき、それを子どもの中に原因があるという解釈もできます。しかし、もしかしたら自分がそうさせているのではないか?という疑問を持つことによって、別な解決策も出てきます。複雑な指導法(またはあっと驚くような指導法)が必要なのではなく、別な視点に立った単純な質問を自分自身に問えるかが重要なのではないかと思います。そんなことを2年生とのゼミで意識化することが出来ました。