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2002-01-30

[]昨日のヒット作 11:26 昨日のヒット作 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 昨日のヒット作 - 西川純のメモ 昨日のヒット作 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日の午後に院生のHさんが個人ゼミの予約を入れていました。午前中に別件で院生さんの部屋に行きましたら、ニコニコしながら作業をしているHさんがいました。聞くと、子ども達の自由記述を付箋化し、KJ法的に整理しているところでした。私が、「個人ゼミの時には、それを持ってくる気じゃないよね?本(実証的教育研究の技法)にも書いたように、生データの束をもってゼミに来ないでね」とお願いしました。Hさんは、困ったな~という顔をされていました。それを聞いていたKoさんが、「大丈夫だよ。そのデーター、だいぶ時間たっているから、もう”生”じゃないよ」と助け船を出しました。その絶妙な間と、「生」という意味に掛けた洒落に思わず大爆笑してしまいました。

追伸 Hさんは生データではなく、整理された資料を持ってゼミに来られました。

追伸2 よくよく考えると、「生」ものが時間がたって「生」でなくなったということは「腐った」という意味です。となると、フォローになっていないな~、と気づきました。

[]自慢 11:25 自慢 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 自慢 - 西川純のメモ 自慢 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今年も研究によって新たな知見を多く得ることが出来ました。その一つに、学び合いが成立すると、教師と子どもとの関係が変わることが分かりました。平常のクラスで、子どもから教師への語りかける場合、その多くは「これでいいですか?」という評価を求める発言でした。ところが学び合いが成立すると、「これすごいでしょう!」という共感を求める発言が増加し、評価を求める発言は減少しました。即ち、子どもにとっての教師は、評価者から共感者へ変化することが分かりました。

 昨日、卒研生のSと廊下でばったり会いました。ニコニコしながら、「先生卒論の製本が出来ました。あとで先生の部屋に見せに行きます」と言いました。しかし、卒論自体は何度も読んでチェックしています。内容的には良いものですから「OK」を出しています。そのため製本した卒論を改めて読む必要はありません。そのため、「何で?」と聞きましたら、Sはニコニコしながら「自慢をするため」と答えました。その時になって、先に挙げた教師との関係を思い出して、大笑いしつつ納得しました。しかし家に帰ってから、色々考えました。

 修士2年のKiさんの授業におけるプロトコル(発話記録)を読んだことがあります。Kiさんの授業では、子ども達がKiさんのところに集まり、「すごいでしょう」と自分の成果を自慢している姿が数多く見られました。Kiさんはそれに対して、一人一人に「すごいな~」と誉めていました。

 院生さんも2年目になると修士論文の方向性が見え始めます。データ分析によって出される結果にも予想が出来るようになります。また、その結果重要性にも自信を持つようになります。また、私との関係も堅苦しい関係でもなくなります。そうなると、個人ゼミでの報告の様子がだいぶ異なります。Kiさんも、そうです。いきなり私の研究室に来て、ニコニコしながら「先生、聞いてください」と分析結果を報告します。そのことを家に帰って思い出しました。その時、「自慢」を正しく受け止めていたかと考え直すと、自信がありません。やはり、「教える」ということではKiさんは私よりもプロだな~と思いました。