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2003-11-09

[]大勝ち 21:41 大勝ち - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大勝ち - 西川純のメモ 大勝ち - 西川純のメモ のブックマークコメント

 学習臨床コースが立ち上がって4年たちます。その中で学習臨床コースは実績において大学のトップを走り続けています。今、本学の最大の課題は、二つに集約できます。第一は、大学院の定員確保で、第二は、学部学生の教員採用です。この4年間、全学教官の10%に過ぎない学習臨床に、全院生の四分の1の院生希望します。一方、毎年、一人、二人の院生しか来ないコースも存在します。今年の4年生は、学習臨床コースが立ち上がって最初に入学した学生です。従って、今年は学習臨床コースが最初に望む教員採用試験です。結果は、全学の八分の1の学生が所属する学習臨床が、全学の四分の1の合格者を占めています。その割合は、本学でトップです。一方、合格者が全くいないコースもゾロゾロいます。確かに、教員採用率に関しては今年のみのデータです。しかし、院生獲得の実績は4年を積み上げており、誤差とは言えません。さらに、学部の成績も単年度とはいえ、院生獲得の実績と合わせてみれば、それなりの意味があると思われます。

 数ヶ月前、学長団が各コースの代表と合い、大学再建の方策を聞く機会を設けました。学習臨床コースでは私が行きました。その際、「何故、学習臨床コースは院生獲得に実績を上げているのか?」と聞かれました。その時、私は以下のように答えました。

 『有効な方法があるのではなく、メンバーが、その特徴に合った方法をやっていることが有効なんです。例えば、地元に強い先生は、地元受験生を獲得します。講演会によばれる先生は、講演会を通して受験生を獲得します。そして、OBに強い先生は、OBを通して受験生を獲得します。その方法は、千差万別です。だから、我々(学習臨床コースのメンバー)のやっている方法をまねることが意味あることであるとは思えません。我々が実績を上げている本当の理由は、一人一人のメンバーが、自分自身の問題としてとえら、自分の頭をつかっているからです。単なる方法論のレベルで理解されては困ります。』っと格好よく大見得をきってきました。でも、私の正直な気持ちでした。

 しかし、武田信玄が「勝負は、六分七分の勝は十分の勝也、八分の勝は危うし、九分十分の勝は味方大負けの下作り」と言っています。少々、大勝ちのしすぎなのかも知れません。しかし我々のやっていることは、他を潰すことをやっているのではなく、己自身がやるべき事をやっているだけのことであり、戦いとは言えません。となると、「勝ち」と思う私の気持ちに危うさがあるのかもしれません。自戒自戒

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 上越教育大学では学部1年から2年に進級する際、その成績と希望に基づき所属コース・分野が決定されます。例年、10月末に所属希望を決定するための説明会が開催され、その直後に分野希望の第一回の調査が行われます。残念ながら、学習臨床コース、そして学習過程臨床コースは学部学生には人気がありません。現職者の大学院入学希望者に関しては絶大な人気がある学習臨床コースなのですが、その魅力を伝え切れていないようです。今年は10月29日に分野説明会があり、その説明者に私がなることになりました。責任重大です。しかし、私には勝算があります。というこのは、大学教官の殆どは、「あるべきだ論」を長々と語るのは得意なのですが、ユーザー(即ち、この場合は1年生)のニーズ調査をするという発想がありません。だから、ニーズ調査をちゃんと行い、それに基づき説明すれば分かってもらえると感じています。そこで、学生さんにインタビューし、何が分からなか、どうしたらいいかを聞きました。それに基づき、原稿をつくり、それを1年生に読んでもらいました。原稿を最後に付けました。もうすぐ、第一次希望調査の結果が分かると思います。おそらく、教員採用試験結果が知れ渡れば、学習臨床コースの人気は急上昇するはずです。しかし、その結果が公開されていない段階での結果である第一次希望調査は、ある意味で、私に対しての評価です。ドキドキ。

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学習臨床コース 学習過程臨床分野

 学習過程臨床というと、何か難しげで訳が分かりませんよね。実は、それを教えている教官もそうなんです。何故なら、今、学生さん、院生さんと一緒に作り上げている、「若い」、「若い」研究分野なんです。

Q 学習過程臨床って何ですか?

A 勉強学習)する様子(過程)を、実際に行われている場所(具体的にはクラスの中、即ち臨床)に入って研究するので学習過程臨床です。難しげな言葉ですが、「勉強する子ども(そして先生)をよく見よう!」ということです。

Q 「勉強する子ども(そして先生)をよく見よう!」なんて、当たり前すぎませんか?

A 我々は、普通の教室における子ども(そして先生)を、中・長期にわたって観察します。そのためには、学校現場の全面的な協力が必要です。上越教育大学は全国から数百人の小中高の先生院生(以下 現職院生)として受け入れている、日本でも希な大学です。その現職院生さんの協力を得ることによって、学習過程臨床で行う教育研究が可能となります。他大学先生が、「授業を3ヶ月見せてください」と小中高の先生に頼んでも、大抵は断られます。つまり、「勉強する子ども(そして先生)をよく見よう!」は、上越教育大学だから出来る研究上越教育大学しか出来ない研究なんです。

Q 今までの教育・心理研究との違いは何でしょう?

A 伝統ある教育学研究では、文献研究が中心です。しかし、我々は子ども(そして教師)を見ることが中心です。また、教育学心理学の一部での子ども研究と異なり、平常の教科学習(国語社会数学理科英語音楽美術、体育、技術家庭科・・)を学んでいる子どもを観察することが特徴です。

Q 教科領域(国語コース、算数コース・・)との違いは何でしょう?

A 第一に、子どもを徹底的に見る点です。第二に、一つの教科に限らず、色々な教科を学ぶ子どもの姿を比較します。その事によって、国語をどのように教たらいいか、音楽をどのように教えたらいいか・・・のみならず、どのように勉強を教えたらいいかが分かります。

Q 分野の中で教科(国語、算数・・)別に分かれるのですか?

A 我々は教科の内容ではなく、教科を学ぶ子どもに着目しています。そのため、教科の枠を絶対だと考えておりません。中学校国語の免許を取りたい学生さんが、理科を主な対象として研究した教官に指導を受け、体育の授業場面を卒業研究の対象とすることは、ごく普通に行われています。また、国語を学んでいる子ども研究する院生さんと、音楽を学んでいる子ども研究する学生さんが、全く違和感なく議論することが出来ます。それは、我々が「子ども(そして先生)」に着目しているからです。

Q 学習過程臨床で伸びる能力というのは教師にとって重要な能力なのですか?

A 上越教育大学には159人の教官学長、副学長、助手を除く)がおり、255人の現職院生がおります(教官一人当たり1.60人の現職院生さん)。現職院生さんは、現場の実践を通して、実践に必要な能力を高めるため本学大学院に入学します。学習過程臨床には6人の教官が所属しています。その学習臨床過程に29人の現職院生さんが所属しています(教官一人当たり4.83人の現職院生さん)。即ち、大学平均の3倍の高率で小中高の先生学習過程臨床を希望しています。(10月現在データです)。

Q で、学習過程臨床って本当はどんな分野なんですか?

A 充実しているか、充実していないか。楽しいか、楽しくないか。それは先輩から直接聞いてください。現場実践と学習過程臨床との関連は、学習過程臨床の現職院生さんに直接聞いてください。自信を持って、聞いてくださいと言える分野です。だれに聞けばいいか分からない場合は、紹介します。

分からなければ、いつでもどうぞ

 西川純(自然棟6Fの真ん中当たりの部屋)