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2004-03-20

[]賛辞 16:35 賛辞 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 賛辞 - 西川純のメモ 賛辞 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日は卒業式・修了式がありました。夜は追い出しコンパと謝恩会がありました。今年の会の特徴は「涙」でした。私の涙腺も弱いですが、同類がこんなにいたかと思いました。その中で、Mちゃんから「先生から教えて貰ったことはないけど、同級生、下級生、院生さんと一緒に学べる環境を与えてくれて有り難うございます」との言葉を涙と共に頂きました。この言葉は、私に対する最大の賛辞です。まさに、我々が目指している教育の姿ですから。本日の夕方、Mちゃんは北海道に戻るでしょう。そして、しばらくたってメモを見るでしょう。Mちゃんのための最後の個人指導です。

 私のMちゃんへの反応の殆どは「Mちゃんはどうしたらいいと思うの?」もしくは「なんでそんなことを私に聞くの?」の二つだったと思います。それ故、「先生から教えて貰ったことはない」という印象を与えたのだと思います。しかし、Mちゃん考えてみて。Mちゃんが私から学ばなければないことの殆どは、西川研究室の6冊の本に書かれているよね。多くの教師の「教えている」と称している行動の殆どは、テキストになるものを、教師が演説したり板書したりしたに過ぎないんだよ。もし、ちゃんしたテキストを準備すれば、そのようなことは殆ど不必要です。いや、学習者一人一人のペースやニーズを無視するため、極めて効率の悪い方法になるよ。そして、それを越えた部分は、院生さんという優れたテキストを提供しているよね。

 それに、2年前だから忘れたかもしれないけど、Mちゃんたちが学部2年の末に、最初にやったことは、その本を読むことをやったね。その時、私はいっぱいしゃべったよ。君たちが本を読んで分からないこと、納得出来ないことを議論したよね。その議論の中で、我々が何を目指していているかを話したよね。あの部分が、我々が最も重視している目標の設定と目標の共有の部分なんだよ。その後も、全体ゼミ、学年ゼミで、いっぱい私が語ったよね。あれが、「つぶやく」にあたるものだよ。つまり、研究室全体の方向を正す機能をやっているんだよ。いまHが分析しているけど、「私はしゃべりすぎる」というのがHの言だよ。そして、個人ゼミでは「Mちゃんはどうしたらいいと思うの?」もしくは「なんでそんなことを私に聞くの?」と君の疑問には答えなかったけど、雑談をいっぱいしたよね。でも、その雑談の中で、私が大事にしていること、つまり、西川研究室における目標の根幹をなすものを熱く、繰り返ししゃべっていたことを気づいた?だから、あれだけ馬鹿話をしているのに、多くのゼミ生から私が「熱い」と言われるのだと思うよ。

 以上をまとめると、私は一般の先生方が思っている「教える」ことは少ないかもしれないが、我々が思っている「教える(正確には目標の設定と共有化、そして評価)」は、めちゃめちゃやっているんだ。そして、そのような教育の中で表出した、自らの頭で考える、同じ志をもつ集団が、動きやすい環境を整えることのために戦っているんだよ。4月より子どもたちの前に立った時、思い出して欲しい。今、自分がやっていることを、私がMちゃんにやったとき、Mちゃんはどう思うかを。それさえ出来れば、我々の目指している教育を初年度から実現出来るよ。我々が目指している教育を実現することは、決して難しいことではないんだから。今までのこだわりを捨て、発想をちょっと変えればいいんだから。そして、君たちは全員、それを空気のように感じることが出来るんだから。

追伸 院生のKさんは、西川研究室に所属した理由を、いままで公的には西川研究室が異学年学習を重視しており、学部学生とコンパが出来るから、と言っていました。しかし、昨日のKさんはだいぶ酔ったため、本当のところを白状しました。「心の教科指導」を読んで、涙を流して感激し、西川研究室に所属し大学院で学びたいと決意したそうです。Oさんが照れ性であるということはだいぶ以前から分かっていましたが、KさんがOさんに負けない照れ性で感激屋であることを発見しました。でも、冷静に考えれば当たり前です。底辺校の高校で、生徒といっしょにやるためには「照れ性」、「感激屋」は必須の資質です。Kさんは、そこで生き残った先生なんですから。