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2004-06-11

[]臨界点 13:23 臨界点 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 臨界点 - 西川純のメモ 臨界点 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 自然現象は多くの場合、なめらかな変化をします。しかし、一定のポイントを超えたとたんに、別なものに変わる場合があります。数学ではカタストロフィというトポロジーの一種で表現しますし、物理学では臨界点と表現します。

 本日は全体ゼミですが、その臨界点を越えたように感じます。幾つかの現象が同時に大きな変化を起こしているようです。なぜ、こんな変化が起こったのか、ビックリです。その変化は私の望んでいる変化です。そして、それなりに、心がけた結果とも解釈できます。でも、私のやったことに比べて変化の速度は、私の予想を大きく超えるものです。楽天的すぎますが、西川研究室過去のどの時点よりも高い次元に達せられる予感を感じます。まだまだですが、その胎動を感じます。そうなれるだろうか、不安です。でも、そうなったら、どんなことがおこるのか、とてもワクワクします。そして、その段階に達した時、私は、次の段階として何を望むのだろう、とてもワクワクすると同時に、そら恐ろしく感じます。

 学び合い研究をやり始めた時のOBが後輩の院生さん(現在OB)に語ったことを聞きました。そのOBによれば、西川研究室で言っていること、やっていることは、必ずしも「直ぐ」に現場で実現できるわけではないそうです。全くその通りだと思います。与えられた状況の中で、各々が考える部分が多いはずです。我々の考えは、万能のノウハウではなく、教師が実践を考えるための子ども観、授業観、つまり考え方です。

 そのOBは、その言葉の次につづけて、

 でも、大学院での研究を通して、どのような姿が望ましい子ども達の姿であるかが分かった、それによって毎日の実践を考えるための指針を得ることが出来た。それが大学院での最大の成果である。

 その言葉を私は聞いていません。でも、とても、とても誇らしく思いました。大学院教師として最大級(そして望みうる最高)の賛辞です。私も、最高の状態になった時の学習集団を知りたいと思います。西川研究室はもっと、もっと高い次元を望めると思います。その次元に達した集団を形成することによって、その集団の中に身を置く学生院生の皆さんは目標とする姿を実感として知ることになります。そして、それは研究で得られる大きな成果です。そして、私にとっても、その集団に身を置くことによって、山の向こうにある、もっと美しい山が見えるようになります。

 私の大学教師人生はあと20年あります。正直、もう十分だ、と思うこともあります。人並みの教科教育研究者の10倍以上の業績を上げました。ストレスを感じない穏当な職場に移り、穏やかに過ごしたいと思います。ストレスに弱い私が、ストレスを生じるような環境に身を置くことはつらい。例えば、決まった時間に授業をして、面白おかしい授業をするだけで、研究指導は無し。つまり、家族以外の人のつきあいは、出来るだけ浅い関係にとどめます。そうなれば、どれだけ、ストレスを感じないでいられるか・・・・。でも、もっと美しい山を見たいという欲望を感じます。私自身の臨界点を越えたいと思いました。本日は、ちょっとハイです。