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2004-09-22

[]老眼 13:35 老眼 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 老眼 - 西川純のメモ 老眼 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が25歳で大学院時代です。その当時、60歳代であった教授の先生と話した時、老眼が話題になりました。その先生から、「西川君、老眼は何歳からなると思う?」と聞かれました。老眼の「老」から考えて60歳ぐらいからと思いました。しかし、その先生によれば老眼に気づく平均年齢は42歳だそうです。いくらなんでも40歳代は「老」とは思わなかったのでビックリしました。でも、自分がその年になった時、自分が老眼が始まったことに気づき、あの先生の言ったことは正しかったと思いました。

 本は紙で作られるのが普通です。私が出版関係のえら偉い人の集まる会議に出た時、ある大手出版会社の社長さんが、インターネットがどんなに発達しても、紙の媒体が主流だと言っていました。その根拠は、持ち歩き可能なコンパクトな媒体として紙媒体しかないというものでした。しかし、今の私はそうは思いません。私が退職するような時代にはインターネットを介した電子媒体の書籍が主流になると思います。その理由の一つは、その頃には本レベルの大きさと重さのコンピュータが実現されると思うからです。そして、もう一つは、私が退職する頃には、老眼世代が日本の多くを占めるからです。老眼になれば、細かい字を読むのが辛くなります。たしかに老眼鏡をかければ細かい字を読むことが出来ますが、かけずに読む方が数段楽です。大きな図書館に行けば、「大きな活字の本」というコーナーがありますが、そのような本の数は限られています。ところが、電子媒体の本の場合、ちょっと設定すれば、画面には二倍にも三倍にも大きな活字で表示されます。これは、紙媒体では絶対に不可能なものです。

 電子媒体の場合、不正コピーの問題が生じます。コピーを完全に不可能にすることは「不可能」です。むしろ、コピーするための手間を考えた時、正規に買った方が楽でお得なシステムを作った方が良いと思います。そして、インターネット上で「表だって」 流通することを禁止する法律を設けます。そして、正規登録したユーザーの場合、何回でもダウンロードできるようにすれば、自宅に本棚を用意するよりスペース的にも、探し出す労力的にも電子媒体が有利になります。既に電子図書館はいくつか存在しています。しかし、いくつか問題があります。第一に、それらの多くが、ボランティアが支えているようなものです、国または地方自治体が、福祉予算で大々的に予算援助してはいかがでしょうか?第二に、対象が著作権の切れた古い書籍に限られます。しかし、新刊で出ながらも一般受けしない内容(例えば研究書)のため絶版になるようなケースは少なくありません(というより膨大です)。もし、著者・出版社が同意し、もとになるファイルを提供すれば載せるという方法を、システム化すればいいと思います。第三に、テキストファイル形式が主です。できれば、pdfファイルか、Html形式を活用し、図表も取り込めるようにしてはと思います。 さらに、無料のサービスばかりではなく、今後は、最初から電子図書で出発する本を考えるべきだと思います。高齢化社会において余暇の過ごし方は重要な問題です。私が「老人」になる前に、そうなることを願いますし、そうなると思います。

追伸 このメモを読む方の多くは、自分にとってはまだまだ先の話とお思いでしょうね。でも、そんな先のことでもないですよ。