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2004-11-27

[]昨日の飲み会 12:38 昨日の飲み会 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 昨日の飲み会 - 西川純のメモ 昨日の飲み会 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日は、臨床教科教育学会の事務局の会議をしました。そのあと、OBのKさん、M1のIさん、Mさん、そして飛び入りのMさん家族と飲みました。久しぶりにハイペースに飲めたし、おもしろかった。面子が良かったことは言うまでもないことですが、どうも私は少人数の飲み会の方が会っているようです。雨あられとシャワーのように、面白い話を聞けました。その中に、印象深い名言(迷言)がありました。隣に座ったMさんのお嬢様から紙と鉛筆をお借りしてメモりました。ただし、その言葉がどのような文脈の中で、誰によって語られたかは丸秘です。

 「学級崩壊したクラスに不登校児はいない」 

 この言葉も、聞いた瞬間は大笑いしました。この言葉の是非は別にして、なぜかストンと納得できる気になりました。その奇妙なストンという感覚が面白くて大笑いしてしまったのだと思います。でも、しばらくして、この言葉の中には、とても重要な意味が潜んでいるように感じます。我々の研究室では、教室で起こる様々な事柄の原因を個人に帰属させず、集団の構造に注目します。だれかを犯人にして、だれかを被害者にするという図式は、素人的にはすんなりと納得できます。でも、その犯人を責め立てても問題は解決しないのが通例です。そして犯人でなんとかできないと、被害者を犯人にしはじめます。例えば、いじめの問題も、いじめる側を問題にしつくすと、つぎには「いじめられる側に原因がある」なんていうことが言われるのが典型です。実は、いじめる側も、いじめられる側も、犯人ではなく、教室という舞台の上にいる子どもたちに、いじめる役・いじめられる役をあてがうシナリオの問題だと考えるべきだと思います。

 学級崩壊も一つのシナリオです。そして、不登校児も一つのシナリオです。それらが同時に起こる頻度が低いならば、それぞれのシナリオには関連した構造があるはずです。もしかしたら、いつか、それが何か分かるかも知れません。その時のために、メモることにしました。

[]信じています 12:38 信じています - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 信じています - 西川純のメモ 信じています - 西川純のメモ のブックマークコメント

 我々が研究していることは、「子どもたちは有能である」という一言に凝縮できます。だから、今までの研究も、また、今やっている研究も、これからやる研究も、最終的な結論はそれに繋がるはずです。では、何故に、同じ結論が出ると分かっているのに研究をやり続けているのでしょうか?それは、「子どもたちは有能である」という言葉に、どれだけの深みがあるかを知るためです。

 「子どもたちは有能である」と標榜している人は少なくありません。でも、その言葉を言った舌の根が乾かぬうちに、「子どもたちは無能である」ことを前提とした指導を行います。それは、私も同じです。「子どもたちは有能である」と言っている私自身が、子どもたちを信じ切れずにいます。しかし、毎年、毎年、院生さんや学生さんの研究、それに日々の姿を通して、己の囚われに気づき、打ち破ることが出来ます。まだまだ、山ほど囚われているでしょう。私にとっては、そのような囚われに気づき、自分が いかに愚かであったかを気づくことを楽しみにしています。今年もありました。

 「子どもたちは有能である」ということの帰結として、異学年学習を我々は推進しています。ところが、それにも関わらず、院生さんの控え室と学生さんの控え室を別々にしていました。それを正当化する理由は山ほどありますが、結局、私が信じられなかったのだと思います。そのため、異学年学習を研究したKさんから、そのことを勧められたときにも迷い、結局、先延ばしにしました。今年、諸般の事情から、それをせざるを得なくなる状況に追い込まれました。そして、やってみました。結果は二重丸です。そうなってみると、迷っていた自分がバカみたいに感じます。いや、迷っていた気持ちを思い出すことは出来ません。この経験によって、私の中にある「現職院生さんと学部学生さんとの交流は経験の差が大きく難しいのではないか」という囚われを打破することが出来ました。でも、分かってみれば当たり前なんですよね。だって、私が高校現場で働いていたときに仲良かったのは、同じ若手の先生ではなく、10歳以上年上の先生、いや、30歳以上年上の先生でした。また、18歳年上のT先生とは18年間仲良くしています。

 昨日、大学院の入学試験がありました。戸北西川研究室のメンバー3人と、西川研究室を希望する奇特な他大学の学生さんが受験しました。今までの我が研究室では、現職院生さんが大学院を圧倒的に占めていました。しかし、学卒院生が増えたならば、そして、その中に本学出身者と他大学出身者が含まれるならば・・・今年のYmさんの研究が示すとおり、異質なメンバーを持つほど、集団の達成度は高くなり、心地よい集団になります。私はそのことを疑う気持ちは爪のあかほどもありません。

追伸 Sへ、Hの研究を発展させ、上記を明らかにすることが君の研究なんだよ。