■ [大事なこと]教師の幸せ
教師が幸せを感じるときはどんなときなんでしょう?今から18年前、私が高校教師だった頃は、私が笑わせたいと思うところで笑わせ、泣かせたいところで泣かせ、しーんとならせたいときにしーんとさせることが出来た時でした。成績では最底辺で、暴走族も多数含む子ども集団を自由自在に操れる自分の姿を、テレビの教師ドラマの主人公に重ね合わせた時もあります。理科教師だった私は、過去の文献を読みながら一般には知られていない面白実験を探し出し、それを実験しました。子ども達には大受けです。そんなことを喜んでいました。でも今は違います。
そんなことで喜んでいても、そんなことの底の浅さを嫌と言うほど知らされています。私が笑わせ、泣かせ、しーんとさせた子ども集団の中には、私には計り知れないどろどろしたものがよどんでいることを知っています。そして、何よりも、もっと、もっと幸せを感じる瞬間を知っています。それは、子ども達が自分を越えた力を持つことを感じ、彼らに任せられると確信を持てる瞬間です。つまり、「先生!バカなこと言わんでくれ!俺たちがやる!」と言ってくれる時です。そして、自分の予想を遙かに越える成果を、ごく自然の営みの中で上げてくれることを穏やかに感じる時です。つまり、彼らによって笑わせられ、彼らによって泣かせられ、彼らによってしーんとさせられ、彼らによって自分の愚かさを気づかされる時です。この喜びを知った後では、私の高校教師時代だったときの喜びなんてくだらんものです。