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2005-05-18

[]すごくて恐ろしいこと 15:18 すごくて恐ろしいこと - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - すごくて恐ろしいこと - 西川純のメモ すごくて恐ろしいこと - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日は平成17年5月18日です。本日、すごくて恐ろしいことを学びました。

 来週に福島大学附属中学校で講演します。そこでは学力向上に学び合いしかない、ということを実証的データで語りたいと思います。そのことに関しては確信はありますし、それを示すデータの蓄積があります。でも、最新のデータでも語りたいと願いました。そこ○さんにお願いし、最新データを教えてもらいました○さんのデータによって学び合いが本当の個別学習を保証し、学力を向上させることを、分かりやすく伝えることが出来ると思います。でも、そのデータで信じられない結果を学び ました。

 ○さんの実践によって学力が向上したことは明らかです。その結果は、多くの教師にインパクトを与えるでしょう。そこで、○さんに学力の高い子、中ぐらいの子、低い子の成績のデータを出してくれるようお願いしました。その結果、成績上位、中位の子どもがほぼ百点を出している結果を出しています。しかし、ビックリするのは 成績下位の子どもたちです。○さんが学び合いを実践したクラスは、5分の1は学習障害がある子どもによって占められています。二人は境界児であり、一人はそれが疑われる子どもです。その子たちが、全国平均が80点ぐらいの 算数テストで90点や100点を取るんです。学び合いの凄さを分かっている私もビックリすると同時に、信じられません。私が教えた高校は、境界児の生徒がいるような高校でした。私は境界児に「F=mα」や化学記号を教えた経験があります。それ故、境界児というのはどんな子どもか知っています。どう考えても、そのような子どもが算数で100点を取ることが理解できません。だから、○さんに、データの間違いではないかと思い、確認しました。しかし、100点を取ったのは事実です。

 学び合いは凄い力があります。授業に全く参加できず、限りなく0点に近い点数を取るような境界児が30点、40点、ことによったら60点を取ることが出来ることに関して、驚きはありません。でも、全国平均が80点のテストで 、境界児が100点とることだけの力があるとは、私の経験から言ってとても信じられませんでした。でも、データは100点を取っているんです・・・。理解できません。みなさんは、どう思うでしょうか? どう考えても理解できません。どう考えても境界児は100点を取れるはずありません。と、いうことは、その子たちは、境界児ではないんです!そのことが分かって、ぞ~っとしました。

 私も子どもの親です。想像しました。もし、小学校の先生から「あなたの子どもは境界児です。」と言われたら・・・。想像するだけで、ホラー小説よりも恐ろしい!もし、全国平均で80点の算数のテストで100点を取る 子どもを境界児と教師が認定し、その親に語っているとしたら・・・。恐ろしい罪です! しょうがないでしょうね。学び合わない限り、その子は授業には参加せず、算数のテストの点数は0点ばかり何ですから。でも、しばらしくて、もっと、ぞ~っとなりました。

 私は小学校高学年の時、担任の先生から「そっと」私の知能指数を教えてもらったことがあります。東大生の平均(121)を上回る値です (今は100を下回るのではと感じるときがありますが・・)。しかし、その私は、小学校低・中学年の時、 頭の悪い子(今の言葉で言えば、ADHD・境界児)に教師から分類されていました。昔を思い出すと、母親が急に勉強を教えはじめ、毎日、九九と漢字の練習を自宅でするようになりました。その当時は、何故、そうなったか分かりません。でも、大人になってから理由を聞きました。当時の担任が、私が九九や漢字を覚えないため 頭の悪い子であると母親に言ったそうです。母親はそれにショックを受け、一生懸命教え始めました。幸い九九は覚えましたし、漢字も覚えました(いまでも漢字は不得意ですが)。私の立場から言えば、私の学習の やり方が、担任のやり方と一致しておらず、教師が自分のやり方を私に強要しただけのことだと思います。そのことを思い出しました。幸い、私は「頭の悪い子」という教師のラベリングをはぎ取ることが出来ました。でも、○さんのクラスの子どもは、そのラベルを貼られたままなのかもしれません。ぞ~っとします。

 私の息子は、私に似ています。親の欲目からかもしれませんが、かなり賢い息子と思います。ただし、平均的な子どもと同じ指向性・行動をしているとは言い難いものがあります。私の母親が 、私に手を焼いたエピソードを聞くと、 よく似ています。我が子だと思います。息子は○さんのような先生に出会うことが出来るでしょうか?出会って欲しいと、心から願います。いや切望します。そうでなかったら恐ろしい!日本のどのこの地域の先生が変わるより、我が息子の学区の先生が○さんのように変わって欲しいと、心から、心から願います。そして、そのために何が出来るか考えました。しかし、くら~くなります。残念ながら、私がいる地域の先生方は「教材」に対する興味はありますが、「子ども」に対する指向性が低いように思います。少なくとも、我が研究室をやりたいと思う人は、新潟県の私のいる地域より離れた地域に比べて、圧倒的に少ない。学び合い研究を始めてから、新潟県から8人の先生が西川研究室に所属しています。ところが、私のいる地域の先生は一人だけです。少数例ですが、もしランダムサンプリングであると考えるならば、統計的に有意のレベルです。

 我が息子のために願います。「同志」の皆さん、どうしたらいいのでしょうか?助けてください!このことを、まずは福島で語ろうと思います。