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2006-07-29

[]段位 08:54 段位 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 段位 - 西川純のメモ 段位 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 私の父は武道オタク」でした。小さいときから武道に親しみ、槍道、弓道合気道少林寺柔道空手などで、その段位の合計は二三十になります。特に空手に関しては、ある流派の最高師範に準じる段位でした。帯の色も変わった色です。初心者が白帯、初段が黒帯です。でも、父の段位ぐらいになると、二色の組み合わせになります。

 昨日、学び合いを分かっている方から、「学び合いが出来る人にはレベルはあるのでしょうか?」と聞かれました。即座に、笑いながら「ありません」と応えたら、笑って納得してもらいました。

 もちろん、一人の個人としての能力には違いはあるでしょう。不遜ながら私は、学び合いに関して初心者の方に比べれば、一日の長はあると思います。でも、そんなのはたいしたことありません。教師の力量は、学び合いが分かるか、否かの一段階です。学び合いが理解した瞬間に、数十年間前に学び合いを理解し、経験を積んだ人と同等の力量を持ちます。どうしてでしょうか?

 例えば、個人の能力が1~100で計れたとしましょう。たしかに、個人の力量から見れば、1の人もいます。10の人もいます。100の人もいます。でも、学び合いが分かれば、数十人の子どもの力を借りることが出来ます。つまり、自分が10の力であっても、100の力を持つ子ども30人の力を借りられれば、3010の力量になります。100を誇る人を遙かに凌駕する力量を持てます。

 学び合いが分かっても、最後の最後まで悩みます。採用初年の若手の教師と同じような悩みに囚われます。学び合いが分かっても、それからは逃れることは出来ません。でも、同じような悩みに囚われたとき、それを乗り越える時に、数十の子どもと、多くの教師の力を借りられるか否かは大きな違いです。教師の力量を、その人個人で完結させるか、その人の周りの人を含めて考えるか、大きな違いです。

追伸 強いて言えば、一つのレベルはあるでしょう。それは、自分のクラス学び合いで満足できる人か、それとも、より多くの人の学び合いを願うかです。