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2006-09-13

[]自慢話 08:14 自慢話 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 自慢話 - 西川純のメモ 自慢話 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 毎年、某市より研修に来られる方がいます。今年もいました。その方は夏休み中に3泊4日かけて我々と徹底的に議論し、我々の研究室が持つ膨大な実践ビデオを視聴しました。その方と話して、我々の考え方を会得した、いや正確には、その方の中に既にある我々の考え方を自分で見いだした、と感じました。夏休み明けの2学期に実践すると宣言してお帰りになりました。その結果を聞きたいな~、と思っていました。そんな時、9月16日愛知教育大学で行われるシンポジウムによばれることが決まりました。無理したら日帰りも可能です(かなり無理がありますが・・)。出張嫌いの私としては、そうしようと思いました。しかし、某市は愛知教育大学の直ぐ近くです。そこで、その方に「今度行くから、時間が取れたら合いません?そして自慢話をいっぱい聞かせてください」とお願いしました。快諾いただけました。その方の声がけもあり、懐かしい方、初めての方も一緒に15日の夜に飲めることになりました。ワクワクします。本日、その方より以下のメールを頂きました。

『○○市立○○小学校 ○○です。お世話になります。

 15日の会に○○さんがらみであと3人参加します。西川先生を含め計10名の会になりました。楽しみです。○○市を代表するつもりで,9名がお待ちしております。

 ということで,きっと当日は西川先生を独り占めすることも難しそうなので,2学期の自慢を少しだけ先に。ただ,具体的場面は多すぎるので,全体的な話で。

 クラスが順調すぎるくらい順調です。子どもたちのどんな姿が見られるのかが楽しい日々です。楽しいからでしょうか,よく学び合いの授業をされる先生が語っていらっしゃるように,自分にゆとりがあるのを感じます。「楽」というのとはちょっと違って,「楽しい」です。もともと私のクラスはよく相談をします。授業の何気ない時にも,すぐ相談です。それが1学期は私が促すことで行われていたものが,最近はとても自然です。すでに,「相談」ではなく「学ぶ」感じ。「相談のための相談」ではなく,「学ぶための意思表示と問いかけ」といった感じがします。1学期との違いは2つ。何のために学ぶのかを私が常に語ること,と感謝感激。「目標の設定と評価」を実感してます。

 長くなるんですが,1つだけ。

 算数の授業で「単位量あたり」の学習をしました。畳の枚数とそこにいる人数の違う2つの部屋について,「2つの部屋の混み具合の比べ方をみんなが分かる」,を伝えたら,ちゃーんと21人の学習者(含む私)ができました。ここの授業をすると,よく畳1枚あたり,とか,1人あたり,の考え方ではなく,あまった畳の枚数で判断しようとする子がいます。6年生を受けもつのは8回目,という今までの経験の中では,「あまった畳の枚数で判断する」がうまい方法ではないことを私はよく伝えられなかったのですが,子どもは実によく語る。

「人数が違うからややこしいんだって」

「は?そろえるってこと?」

「なんで,こんなの1人分で比べればいいじゃん」「ああ,そうか」

「こっちの方がいつでも使えるでしょ」

 なるほどなあ,それを伝えるのに今まで結構苦労したのになあ,と思いながら私は子どもたちを見てました。結局,私は立式の方法すら伝えませんでした。それでも,「混み具合の比べ方」を子どもに問うとみんなが説明しました。それでも,授業の最後に気になって,似たような問題をさせました。たいていいつもは1枚あたりや1人あたりで混乱して,計算はするもののそれが何を意味しているかわからず間違える子がいます。問題を解かせて,「全員が分かったか確かめる」と伝え,顔を伏せてもらい,挙手で正解を問いました。そしたら,3人を除いて正解でした。知りたかったのは,「できた,できない」ではありません。「分かったか」です。で,彼らは「分かった」と確信してます。だって,間違えた3人はいつも「よくできる子」で,「よくできない(と思ってた)子」がみんな完璧でしたもん。正解に上がる「いつも間違える子」の手に,ぞっ,とする感覚を味わわせてもらいました。うれしい気持ちをぐっとこらえて,「うーん,みんな同じじゃないみたい」と子どもたちに言うと,「間違えたよくできる子」が「あれ,あれ,あーっ」と気付いてました。授業が終わって給食になっても,間違えた3人がああだこうだと話している姿がほほ笑ましかったです。

 子どもに任せて授業をしていると,中には友達に「教えよう」とする子もいます。でも,そういう時ってうまくいかないですよね。一方通行だから。で,私は,ついみんなに聞こえるように「教えようとするから分かんないんじゃない」って言いました。そしたら子どもはやり方を変えました。

 社会楽しい。「おまえ資料集なんて開いたことなかったじゃん」みたいな子が必死で資料集を見つめてます。国語楽しいパネルディスカッションが成立してました。ただ,理科がまだ十分な手ごたえがない。原因はわかってるんです。私のせい。もちろん,子どもは大活躍してます。ただ,「今まで」を子どもも私も引きずっているだけ。もっとも,理科はまだ2回しかしてないので,次は変わるでしょう。きっと。それでも3回目ですけどね。

やっぱり長くなりました。お会いできるのが楽しみです。

長文失礼しました。』

 私の返信は以下の通りです。

こんにちは上越教育大学西川です。

 でも、『うれしい気持ちをぐっとこらえて,「うーん,みんな同じじゃないみたい」』とよく言えましたね。我々は「みんな」ということを大事にします。「みんなのためのみんなではなく、自分のためのみんなであり、その間合いを自分が決めることが出来る」ことを大事にします。もう、あなたに伝えることは何もない。あとは、いっぱい自慢話を聞かせてください。

 ありがとう!私は、今、ウルウルしています。というより、ボロボロ泣いています。ありがとう

 人の自慢話が、なんで、こんなに自分を幸せにしてくれるのだろう!もっともっと、これからも自慢話を聞かしてくださいね。そして、後は、自分のクラスだけではなく、これを広げることに力を注いでください。そうすれば、今の私のような感激を得ることが出来ます。15日はその一歩になればいいな~

追伸 この方の専門は「理科」なんです。だから「引きずる」ものも多いためだと思います。でも、直ぐにそれを乗り越えられるでしょう。ワクワク

追伸2 明日までに仕上げなければならない仕事のため、深夜まで書類書きに追われました。しかし、寝る前に上記のメールを頂き、幸せな気分で眠れます。感謝