お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2006-11-15

[]教師用指導書 17:55 教師用指導書 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教師用指導書 - 西川純のメモ 教師用指導書 - 西川純のメモ のブックマークコメント


 私は家に帰って大学での話を殆どしません。従って、私の家内は私が大学の教師であることは認識していますが、私がどんなことを研究しているかは殆ど知りません。その家内から、昨日、面白いことを教えて貰いました。

 家内小学校3年生の時です。教室の前の方には、担任の先生の机があります。その机の上には本が並べられています。あるとき、家内はその本をみたら、教科書のことが詳しく書かれていたそうです。おそらく教師用指導書だと思われます。そこには、これこれの時にはこのように発問しなさい、また、これこれの宿題を出しなさい、と書かれていました。それを見て、「な~んだ、これさえあれば私だって先生やれる」と思ったそうです。その後、それを手に入れて勉強したそうです。

 我々は教師のが持っている情報を全て子どもに公開すべきだと思います。そうせずに、情報を教師が独占し、そして、その情報小出しに出すことによって子どもコントロールするというのは姑息だと思います。小学校3年の子どもにさえ、それを見切れる能力があります。公開した後に、教師の職能として残るのはなんでしょうか?それは、教師用指導書にも書いてない、高度な知識と考える方も少なくありません。でも、そのような知識が実際の授業に生かせる場面はどれだけあるのでしょうか?そのような方は、そのような背景があることが平常の授業に生かせると言います。でも、それは素人的な考えであり、実際には誤りです。実際は、高度な情報が有ればあるほど、教えられなくなることが認知心理学によって明らかにされています。

 我々は教師用指導書に書かれているものは子どもが知るべきことであり、教師が占有するというのは姑息だし、ナンセンスだと考えます。その教師用指導書を子どもに与えた後に教師に残る職能とは、集団の管理者であると我々は考えます。