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2006-11-17

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 本日は学部4年生の研究成果の発表を見ました。金曜日のあの時間には、大抵、会議や偉い人からお呼びがあり腰が据わりません。しかし、本日はしっかり聞かせていただきました。ただし、最後の最後になって、お呼びがあり、あたふたと本部に行って帰ってきたところ終わっていました。あわてて学部生を集めて本日の評価をしました。そこで語ったことを、院生の方々にも共有してもらうため、ここにメモります。

 まず、4年生の発表レベルは極めて高いと評価します。おそらく本学で、今の時点で今日レベルに達しているのは彼らだけと「断言」します。多くの方からつっこまれて未熟を晒した場合もありましたが、未熟は、それが目指しているものレベルの高さ故と判断します。一踏ん張りすれば、すんごいもんが出ます。私としては細々とした指導をするつもりはありません。何故なら、私が指導すべきと思っていることは、既に「名著」に書いてあることであり、メンバーの一部はそれを理解していることです。従って、私が指導しなくても、我々がすべきことをすれば皆さんが乗り越えられることです。

 前年度より、1ヶ月以上早く、4年生には成果をまとめることを求めました。今の4年は、それを出来ると私の断言しました。そして、彼らはそれを果たしました。今の段階での彼らに点数を与えるならば100点です。しかし、私は涙を流しません。何故なら、彼らの100点は、既に折り込み詰みの点数です。100点を予想している私にたいして、150点、いや1000点をたたきつけ、私をねじ伏せたとき、私は自分の愚かさに気づき涙します。

 皆さんには高い志を持って欲しい。研究は、何のためにあるか。それは人のためです。自分だけのためのものは研究ではありません。皆さんの研究教育を変えて欲しいし、それを願って欲しい。まずは皆さんの同級生、後輩を変えて欲しい。それが出来る皆さんだと期待しています。変えたか、変えないかは12月9日、そして、年明けの発表会で明確にされることを理解しているはずです。人に感動を与えれば、そのオーラは皆さんに伝わります。そして、私も分かります。

 一つ気になることがあります。それは5人の完成度(レベルではありません)に開きがあることです。異なったテーマであるのですから、ある意味で当然です。でも、それでいいのでしょうか?我々は「みんな」ということの意味を理解している集団だと思います。ある人の発表の完成度が高く、ある人の発表の完成度が相対的に低い場合、両者を見た人はどう思うでしょう。おそらく前者の人の研究は素晴らしいと理解するでしょう。でも、我々の目指すもの凄さを伝えることは出来ません。我々が伝えるべきは、個々のメッセージではなく、我々の考え方です。このことを是非考えて欲しい。12月9日に何が伝わるか期待しています。そして、今度こそ感激の涙を流せると期待しています。

 言うまでもなく、上記は4年生に向けてではなく、全員に対する評価です。