お問い合わせ  お問い合わせがありましたら、内容を明記し電子メールにてお問い合わせ下さい。メールアドレスは、junとiamjun.comを「@」で繋げて下さい(スパムメール対策です)。もし、送れない場合はhttp://bit.ly/sAj4IIを参照下さい。             

2007-03-30

[]本日テレビ 22:15 本日のテレビ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 本日のテレビ - 西川純のメモ 本日のテレビ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日は「お上」に対応するため、A4版で20ページ程度の書類を作り上げました。自分ながら事務的能力は凄いと思います。と、言うことでヘトヘトになって家に帰りました。家に帰ると、テレビで教師対保護者番組がありました。座る位置関係から、既に対立構造を作ろうという意図が見え見えです。また、発言の内容を聞きながら、「こんな発言する教師は少ないよな」、「こんな発言をする保護者は少ないよな」と思います。日本中の圧倒的大多数の保護者常識人です。日本中の圧倒的大多数の教師は常識人です。そして、その過半数は常識人の「保護者」でもあります。

 今年の西川ゼミの学部生の研究ビックリした結果がありました。それは学部生の多くが「保護者」が怖いと思っているそうです。私が新卒の教師だった20年前は、そんなこと思ったことありません。自分が教師になれるかは不安でした。子どもに受け入れられるかは不安でした。でも、「保護者」が怖いと思ったことはありません。というより、そこまで頭が回りませんでした。もちろん、私の教えた高校保護者は「相当凄い」保護者がいました。それは分かります。でも、私の頭の中にある最大の問題は子どもであって、保護者ではありません。でも、今の学生さんは「保護者」が怖いそうです。教師にもなってないのに・・・。本日番組のせいで、有能な教員志望の学生が数十人、いや、数百人減ったかもしれません。罪深いことです。

 でも、その学生さんによれば、教師になっていないからだそうです。本日のような番組しか、学生さんには情報源がないんです。日本中の大多数の保護者は、自分の子どものことでビクビクして、お願いしたい、と考えている人たちです。本日番組保護者のように、声高に教師を非難する人ではありません。たとえ、そのように思っていたとしても、大人として穏便に交渉したいと思っている人たちばかりです。

 教師だって同じです。「我々は客商売ではないんだ!」と声高に言っている教師がいました。すみません。その人を知っているわけないので、そんなことを言ってはいけないことを知っているのですが、私はそんなことを言う教師は嫌いです。教師は客商売です!

 私の若い頃の経験です。ある学会文部省(当時は文部省でした)の役人が指導要領の説明をしていました。その後の質問コーナーで、ある先生が、「なんで文部省がそんなことを決めるんだ!そのことによって、今まで出来た○○が出来なくなる!」と怒鳴っていました。若い私は、どうなることになるのかビクビクしながら、同時に、興味津々でいました。そうすると、その役人は、その先生に対して、「○○するということを誰が認めたんですか?子どもですか?保護者ですか?学校ですか?」と聞きました。そうすると、その先生は色々言い出しますが、結局のところ「自分」が認めたということです。あとは、それを、穏やかに、かつ、厳しく詰め将棋のように詰めていきます。「自分」が決められるという根拠を聞き出すのです。教職免許状というものは、文部省の規定によって定められたものです。そして、学校先生と言うことも、各県の教育委員会の採用に基づくものです。「公」を否定すれば、実は自分を否定することなのです。それを詰め将棋のように、詰めている役人と、「その」先生やりとりを興味深く聞きました。もし、「公」の規定と戦うとしたら、それはユーザーである、「子」そして「保護者」によって立つしかありません。それを否定している先生は、失礼ながら戦い方に関して愚かだと思いました。

 「問題教師」、「問題保護者」を取り上げて、教師対保護者の問題にしても得る者は誰もいません。「問題教師」を一番困っているのは、「保護者」ではなく、それの尻ぬぐいで自分の家庭の時間を犠牲にしている、「問題教師」と同じ職場の教師なんです。保護者が「気づく問題教師」より遙かに多くの「問題教師」はいます。でも、それが表面に出ないのは、まわりの「普通の教師」犠牲によってです。でも、この構図は、学校ばかりではなく、どんな職場で同じです。

 「問題保護者」の対応にヘトヘトになって、その保護者子ども以外の子どもエネルギーを費やせなくなって被害を受けるのは、事を荒立てず、とりあえず耐えるという、大多数の保護者であり、その子どもなんです。

 本当は「問題教師」+「問題保護者」対「普通の教師」+「普通保護者」なんです。残念ながら「普通の教師」は「問題教師」、「問題保護者」に対して、有効な手段がありません。「問題教師」、「問題保護者」に対して、有効な手段を持っているのは、普通の教師「集団」から情報を得た普通保護者「集団」なんです。

 日本マスコミは、何故、そのように考えられないんだろう・・・・。きっと、そのことに気づいているマスコミ関係者がいると思います。その方に番組制作の機会が与えられることを、「願い」ます。

追伸 あわてて付け加えます。「問題教師」も「問題保護者」も個人ではなく関係で決まるものです。「普通の教師」+「普通保護者」となれば、「問題教師」の大多数は「普通の教師」になり、「問題保護者」の大多数は「普通保護者」になります。

 追伸 K閣下本日イチゴ、息子が大満足で食べました。息子は何度も「Kさん有り難うございました」と言っていました。本日の、ただ一つの嬉しいことです。