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2007-08-08

[]不満 08:16 不満 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 不満 - 西川純のメモ 不満 - 西川純のメモ のブックマークコメント

何度もメモで紹介しているポズナーの概念転換モデルによれば、我々は概念転換するためには以下の4つの条件が必要です。

1)先行概念への不満が生じなければならない。

2)理解可能な新しい考えが、利用可能なものでなければならない。

3)新しい考え方は、もっともらしくなければならない。

4) 新しい考え方は、先行概念より生産的でなくてはならない。

 眺めてみると、1以外は、行動してから本当にわかるものです。

 私は長年、携帯電話を使いませんでした。私の周りの人の殆どすべての人が使っているのにも関わらず使いませんでした。使ってみれば、これほど便利なものはありません。長年、意固地になって使わなかったのが、馬鹿みたいです。これは、ブログにせよ、電子メールにせよ、同じです。今では上記三つは、私の3種の神器になっています。

 なぜ、それをなかなか使わなかったかと言えば、とりあえず携帯電話が無くても、生活できるから不満があまりなかったからです。携帯電話が「もっともらしい」ことも、「生産的」であることも知っていました。しかし、私にとって携帯電話をピコピコ指で押している学生さんの姿は魔法使いのように思えました。そして、私がそれを使えるようになるには、そうとう大変だと思っていました。簡単に言えば、面倒だったんです。だから、いろいろな屁理屈・小理屈で先延ばしにしていました。つまり、私にとってのネックは1)と2)だったんです。

 2)に関しては、コテコテのマニュアル本で対応できるかもしれません。考え方を伝えるのは出来ませんが、とりあえずは『学び合い』もどきは出来ますし、それでもかなりの効果を実感できます。その実感を得た後に、不満を持ち、その段階で「考え方」の重要性を理解し、受け入れられるのだと思います。

 問題は1)です。残念ながら、現状に不満を持ってない人が多い。例えば、数年に一人ぐらい、クラス不登校が生じたとしても、「避けられない災難」ぐらいに感じて、決して自分自身の人災とはとらえていないのではないでしょうか?人災だとしても、それは前の担任、前の学年、親等の人災であり、それを継続させているのは自分の人災だとは考えていないのではないでしょうか?

 業者テスト平均値が、業者の期待得点をわずかでも上回れば上出来と感じるのではないでしょうか?平均値は、期待得点より数十点低い子がいても、満点の子がそれに対応する人数がいればなりたちます。そして、期待得点より数十点低い子がいても、「そりゃ、しょうがない」と思うのではないでしょうか?

 特別支援を必要とする子どもがいて、その子が問題を起こし続けた場合、適切な学校に入学させない親が悪い、介助員を配置できない学校が悪いと思っているのではないでしょうか?

 そして、結局、「しょうがない」と思っているのではないでしょうか?白状しますが、偉そうに書いている、私もそうでしたし、そうです。研究室の中で達成度が著しく低いゼミ生がいると、「あいつはしょうがない」と思います。心の中で「みんな」、「みんな」と呪文を唱えますが、「しょうがない」という気持ちはむくむくと起こります。しかし、そう考えている限り進歩はない。こりゃ大きな壁だ・・・