■ [大事なこと]社会科
英語の試験の読解で、単語の8、9割は分かるのだけど、残りの1割が分からずちんぷんかんぷんということってありますよね。その1割が主語の名詞だったり、重要な動詞や形容詞だったりしたらそうなります。ところが、その英文のだいたいの和訳を知ると、分からない単語もだいたい想像できて意味がとれるます。決して、すべての単語を分からなくてもです。
実は、子どもにとっての社会科の難しさは、上記と同じなんです。社会科の『学び合い』を実践すると、子どもたちは分からないことを相談します。それを聞くことによって、子どもが何に躓くのかが分かります。それによれば、教師にとってはとてつもなく普通の言葉に躓いているんです。たとえば、封建制度や蘇我入鹿が分からないのは当然でしょう。でも、権利、福祉など、新聞やテレビで毎日、見たり聞いたりする言葉は、読者・視聴者は理解していることを前提としています。そして、社会科を教えている教師も同じです。ところが、子どもは分からないんです。でも考えてください。改めて考えると、権利や福祉という言葉を学校で学ぶとしたら社会科ですよね。でも、その社会科では、それを教えていない場合が多い。さて、権利や福祉レベルの言葉が分からないとしたら、社会科の教科書はどう見えるでしょう?それは最初に書いた英文と同じなんです。社会科が分からないのも当然です。それで勉強しろと教師に言われたら、子どもが出来るのはなんだか分からない文章の中に現れる単語を暗記するしかないんです。だから、社会科の不得意な子どもは、社会を暗記科目だと思います。
では、言葉一つ一つを確認すべきなのでしょうか?そんなの無理です。一人一人の分からない言葉は多様です。全員の分からない言葉をリストにしたら、教科書の半分近くを占めることになります。あたかも中学1年生が大学生の英語を辞書片手に読み解くようなものです。そんなことしたら1ページ進むのにどれだけ時間がかかるでしょう。ところが『学び合い』では、一人一人が分からないことを、分からないと言えます。そして、教えてもらえます。さらに、その文章の大意を教えてもらえるのです。その後で教科書を読めば、最初とは全く違う風に読めます。
以上のことから、社会科「も」『学び合い』をせずに理解させるなんて、全く不可能だと思っています。もちろん、社会科「も」面白い授業によって「分かった気にさせる」ことは出来ます。しかし、「分かる」ためには、他教科と同様に、その子にあった個別支援が膨大に必要です。
追伸 社会科の『学び合い』が成立しているクラスを判断できる指標がいくつかあります。もっとも分かりやすいのは、子ども一人一人が持っている資料集が使い込んで汚くなります。日常会話のレベルを超えたからこそ、資料集が必要になっています。日常会話レベルの単語にひっかかっていたら、資料集に出てくる社会科特有の知識に行くわけありません。