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2007-11-09

[]点数 22:35 点数 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 点数 - 西川純のメモ 点数 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は何度も業者テストの点数のことを書きます。但し、業者テストの点数なんて、どうでもいいと思います。しかし、大事にしています。

 平均点を上げるなんて、たやすいことです。一部の子ががんばれば、それなりにあがります。しかし、クラス全員の点数が向上するのは大変です。クラス全員もれなく80点以上を実現するためには、ものすごいコミュニケーションがなければなりません。私は業者テストの点数はどうでもいいと思いますが、それによって示されるクラスのコミュニケーションの質の高さに着目しています。

 それに、親が『学び合い』を理解するには最も簡単な指標です。子どもたちが自分たちの質を評価できる大事な指標です。分かったようで、分からん、ふぬけたお題目の呪縛から逃れるための指標です。

 仮に、一部の子どもが80点に達しなかったとしても、それを知った子ども集団が「みんなでやろう!」と奮い立ったら、そりゃ全員が100点を取ったぐらいに凄いことです。ただし、教師はその子どもたちの姿に感激しても、「クラス全員80点以上とれ!」と明るく、厳しく求め続けましょう。それが教師のお仕事です。

[]算数 14:26 算数 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 算数 - 西川純のメモ 算数 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 1971年8月15日にアメリカはドルと金の交換を突然停止ししました。その結果、それまでずっと360円だったドルがあっという間に308円となり、今では、百数十円となっています。この混乱で破産した人は山ほどいます。ドルショックと言われます。

 私は最近怖いことがあります。全国には算数の教科教育研究で飯を食っている研究者、そして、飯を食おうとしている院生さんがいます。また、各県の小学校には研究会があり、算数部門という会があります。それらの人は、自らの実践研究に誇りを持っています。が、『学び合い』が浸透すれば、それらが全く無意味だということが分かります。まるでドルショックのようなことが起こるでしょう。

 昨日のメモに書いたように、本年度になって社会で『学び合い』をやっていた先生がおられます。最近、算数でも『学び合い』をやり始めました。昨日実施した業者テストの結果を聞きました。1クラス23名中、100点が12人、90点以上が9人、80点以上が2人で全員が期待得点以上です。旧来の算数指導の常識では考えられないレベルを、やすやすとクリアしています。ちなみに、その時間において担任の先生がやったのはニコニコしているだけです。旧来の算数教育学だったら、何故、子どもがそんなに分かったかを研究するでしょう。でも、我々はそんなことを細かく調べようとは思いません。だって、23名一人一人違うからです。そして、それらを分析し、パターン化しようとしてもしょうがないと考えます。だって、日本中の小学生は全員違った理解の仕方をしていると考えているからです。我々は、その次元のことを気にしない代わりに、子ども集団が関わり合える環境と、そのための教師の「考え方」に着目します。あたかもコップに水を注いだら水はどうなるかを、水分子一つ一つの運動方程式をたてて解明するのが無意味であるのと同じです。そんなこと考えなくても、小学生でもコップに水を注いだらどうなるかは分かります。

 どんな教科であっても、『学び合い』の効果は絶大です。しかし、『学び合い』が簡単なのは算数だと思います。理由はいくつかあります。

 第一に、課題が単純で分かりやすいからです。「深い読み」、「深い社会認識」、「美しい音」というような、分かったようで、分からないものに拘りを持つ先生が少ないからです。

 第二に、『学び合い』で一番難しいポイントは、「やる」という一点です。本メモで何度も書いている「バンジージャンプ」と同じです。大抵の先生は、自分の大好きな教科は自分で教えたいと願います。まあ誇りもありますし、何よりも自分が楽しみたいのです。しかし、小学校の場合は全科担当です。全ての教科が少ないという先生は多くはありません。そして、算数が大好きという先生は多くはありません。従って、やる、というポイントに抵抗が少ないのです。

 どんなダイエット食品の広告よりも信じられない効果を短時間で上げられる『学び合い』が広がるはずです。でも、そうなると今まで営々と積み上げていた算数科指導の蓄積が暴落してしまいます。それが怖い。

追申 14日に算数の、「いっしょにいるだけ」の異学年をやることが決まりました。これまた楽しみです。