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2007-12-26

[]志 22:15 志 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 志 - 西川純のメモ 志 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私は『学び合い』に反対する人と議論するのを避けます。というのは喧嘩になることが目に見えているからです。おそらく、その方の発する反対する理由を、実証的なデータとものすごい単純な理屈(例えば、一人1分の個別対応をしたら、30人では30分かかるという理屈)で論破するでしょう。やがて相手をどんどん追い詰めていきます(これが私の悪い癖)。そうなると、むちゃくちゃのことを言い出すと、それにつきあうのが馬鹿馬鹿しくなります。結果として、言ってはいけないことを言ってしまいます。

 それは、その人が大事だと思っていることに対して、「だから何?」と聞いてしまいます。多くの教師が血道を上げて覚えさせ、理解させていること、それがどんなに無意味だと言うことを実証的に証明することが出来ます。例えば、以下を読んでいただければ、大人は実際の社会生活・家庭生活の経験から、学校で教えていることは社会生活・家庭生活に役に立たないと思っていることが明らかです。

西川純、新井郁男、熊谷光一、田部俊充、松本修(1997.8):生涯教育から見た各科教育、学校教育研究、12、日本学校教育学会、136-147

 さらに、以下を読んでいただければ、実は、それは保護者ばかりではなく、教師自身も実はそう思っているということが明らかです。

西川純、新井郁男、熊谷光一、田部俊充、松本修(1998.7):生涯教育から見た各科教育(その2)、学校教育研究、13、日本学校教育学会

 また、学習するとその知識・技能は汎化するという俗説、例えば、数学が論理的思考能力の育成に役に立つ、という俗説は認知心理学の文脈依存性の研究から誤りであることは明らかです。それは私自身もいくつかの研究で明らかにしています。例えば、以下のような論文があります。

西川純、岩田亮(2000.12):教科間における認識の文脈依存性に関する研究、日本教科教育学会誌、22(3)、日本教科教育学会、1-8

 さらには、「ところで、あなたは、そのことをちゃんと教えているの?」と聞いてしまいます。そして、『学び合い』では、何故、それを驚異的なレベルまで達成できるか、そして、それが達成していないならば『学び合い』になっていないからであることを証明することが出来ます。例えば、以下のような論文がそれにあたります。

小野村リサ、西川純(2006.7):中学校理科学習における生徒間の「教え手-学び手」関係と成績の関連、理科教育学研究、日本理科教育学会、47(1)、75-83

神崎弘範、西川純(2006.11):総合的な学習の時間のねらいを踏まえた理科学習の展開の可能性について、『学び合い』を軸とした生徒による教科書作りの活動を通して、理科の教育(投稿分野)、55(11)、66-71

後藤正英、久保田善彦、水落芳明、西川純(2007.3):理科実験における子どもの課題解決過程に関する実証的研究~実験の予想に着目して~、理科教育学研究、日本理科教育学会、47(3)、1-8

栗田裕子、久保田善彦、西川純(2007.3):相互作用による体育技能の向上に関する研究、小学校3年生および6年生の「鉄棒」単元の学習から、臨床教科教育学研究、日本臨床教科教育学会、7(1)、55-61

市川寛、久保田善彦、西川純(2007.6):小学校算数科における自由な相互作用と学力向上に関する研究、協同と教育、日本協同教育学会、3、10-20

栗田裕子、水落芳明、久保田善彦、西川純(2007.9):学習者同士の相互作用による体育授業の展開と評価、小学校6年生の「バスケットボール」の単元から、日本教科教育学会誌、日本教科教育学会、30、57-64

 そして、最後にきつい一言は「あなたは、なんのために学校の先生になったの?」と聞いてしまいます。多くの教師は、「単語多く覚えさせた。漢字を覚えさせたい。」と思って教師になりたいと思っているわけではありません。まさに「子どもが大人になることに関わりたい」と願っていると思います。ところが、現実の学校での仕事は、それとは乖離しています。もちろん、「大人になる」ことに関われる時間もあるでしょう。でも、それは教師としている時間のほんのわずかです。そのことを心の中で矛盾を感じているはずです。そこに物言いの知らない私が「あなたは、なんのために学校の先生になったの?」と聞けば、これは宣戦布告以外の何ものでもありません。そうなったら感情論です。

 本日、メールをいただきました。その方は、我々の研究・実践を「教師・教育」を考えるきっかけとしていただいた。私はありがたい、と思いました。そして同時に、そうあるべきだ、と思います。どうも、せっかちになると分かってもらえない人に、「だから何?」、「ところで、あなたは、そのことをちゃんと教えているの?」、「あなたよりは、うまく教えられるよ」と言いたくなり、最後に、「あなたは、なんのために学校の先生になったの?」と聞きたくなる。こりゃだめだ。私と違って、「徳」があり、ものの言い方を心得た方であればうまく言えるのだと思います。

[]我に百万の味方有り 18:13 我に百万の味方有り - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 我に百万の味方有り - 西川純のメモ 我に百万の味方有り - 西川純のメモ のブックマークコメント

 本日、以下のようなメールを頂きました。日本には私の全く知らない方が、『学び合い』を理解し、実践して頂いている。そう思うと、私の知らないところにも、いっぱい味方がいると感じました。嬉しい。

『初めまして、私は秋田県に住んでいる○○歳の教師です。名前は○○と申します。今年の3月に本屋で先生の「「座りなさい」を言わない授業」を読み感動し、その後先生の著書を全部揃え、読ませていただきました。「何となく教師という仕事が分かっている」と思っていた私に大変な驚きと感動、初任の頃の夢や希望を思い出させていただきました。その後、いろいろなことがあり、今年一年は、「教師・教育」を考える上で、本当に勉強になった年となりました。これも先生のおかげです。忙しい年の瀬ですが、ぜひ一言お礼を申し上げたく、突然ですが、メールをいたしました。来年もよい年になりますこととご家族皆様の健康とご多幸をお祈りしております。ありがとうございました。

平成19年12月 雪の少ない雪国にて

秋田県○○市 ○○○○

上越教育大学 西川純先生へ』

[]詐欺ではなかった 15:12 詐欺ではなかった - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 詐欺ではなかった - 西川純のメモ 詐欺ではなかった - 西川純のメモ のブックマークコメント

http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20070820の続報です。やっと本年度番の 「Who's Who in the World」の現物を読むことが出来ました。見ると、確かに掲載されていました。ネットで再度、調べると『Who's Who in the World® はシリーズの中で最も選択基準が高く、国家元首および親族、政府首脳、政界実力者、財界実力者、大企業の経営者、ノーベル賞受賞者などの著名な学識経験者、世界的に活躍する芸術家や芸能人、オリンピックや世界大会のメダリスト、スポーツの世界記録保持者、世界的ベストセラー作家のように、国際的に著名であることが重視される。また、世界各国の大学図書館や企業が所蔵するなど、世界で最も権威ある紳士録とされ、215カ国の約6万人の人物情報が収録されている。』とあり、掲載されることは大変名誉なこと「らしい」。しかし、なんで私が選ばれたのか、不思議です。詐欺ではないことは確かなんですが・・・・

冷静に考えれば、商売として成り立ちうる基礎は十分にあります。この本はかなり高価です。従って、週刊誌やベストセラー並みに売れなくても、そこそこでペイします。その本が、世界各国の大学図書館や企業が固定客として買います。また、掲載された人も買うでしょう。ただし、掲載された人の選択に問題が多い場合(皆無というわけではありません)や、人数が膨大だと、その権威は失われてしまいます。あっという間に無価値になります。例えば、かっては銘酒といわれた酒が、あっという間に人気暴落というのはよくありますよね。従って、出版社は掲載者の選択に最もエネルギーを費やすはずです。

ということで、本当に不思議です。