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2008-01-31

[]専門家の誤解 22:04 専門家の誤解 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 専門家の誤解 - 西川純のメモ 専門家の誤解 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私が若い頃の話です。理科の学会に教科調査官が来て、新しい指導要領の説明をしました。その際、ある先生が指導要領のここが悪い、あそこが悪い、だから、私はこう教えていると言い始めたのです。はっきり言って喧嘩をふっかけているんです。若い私はドキドキしながら聞きました。その教科調査官は、やんわりとあなたがそう教えていることが正しいという根拠を問いました。問いを重ねている結果として、それをやっているのは、同僚や校長や保護者や子どもと無関係に、その人が、そう思ってやっていると言うことを浮き彫りにしました。そして、指導要領の妥当性を聞いている、その人の妥当性を問うことによって、どんどん追い詰めていきました。明らかに、その人の負けです。私は指導要領が神の啓示のごとく正しいとは思っていません。しかし、指導要領は民主的な手続きによって定められたものであり、個々人の思いつきで、それを無視していい訳ありません。

 そこまで極端な人ばかりではなく、これこれからという理由を述べることが出来る人もいます。しかし、それも私は疑います。私の元々の専門は理科教育学です。そして、日本理科教育学会から理科教育学会賞をいただいた数少ない人間です。理科教育学に関する業績は日本有数だと自負しています。さて、私の理解では、理科で何を学ぶべきかということに関して、様々な意見や提案があることを知っています。しかし、学会員が一致するものが今までに無いことも知っています。諸外国においても、様々なカリキュラムが存在していることを知っていますが、定説がないことも知っています。他教科に関して、とやかく言えるほどの知識はないとしても、しかし、理科でこの程度であって、他教科では定説があるとはとうてい想像できません。

 それぞれの教科の専門家が「これこれは大事だ」とおっしゃいます。確かにもっともらしいと思います。しかし、私が聞きたいのは、そうだという根拠を与えてほしいということです。十中八九ではなく十中十は、そう思う人もいるが、そう思わない人もいるというレベルです。

 次に、指導要領は国民が等しく学ぶべきものを定めたものであると理解しています。もちろん、それを超えたものを学ぶことを妨げるものではありませんが、それは、まず学習者全てが最低限のことを学んだという前提の上のことです。少なくとも国や地方公共団体の設置する義務教育はそうだと理解しています。高い高い目的を掲げるのは結構ですが、それをクラス全員が達成できるのですか?せめて7、8割の子どもは達成できるのですか?ということです。プロの音楽家、プロの野球選手、また、ノーベル賞をねらえる科学者を養成するならば、専門家にしか分からないようなレベルのことを要求しても良いでしょう。せめて、私学の学校だったら許されるでしょう。しかし、国や地方公共団体の設置する学校においては、それはアウトだと思います。7、8割の子どもが分かるレベルであるならば、授業前もしくは教師がそれを語った直ぐに、そのことを分かる子どもが2割は必要だと思います。

 これを面というと感情的に怒り出す人がいるので、普段は言わないことにしています。しかし、そういう先生方も善意の教師です。どうやったら議論を深められるのか・・・。今のところの私の戦略は、議論しないという、きわめて非生産的な戦略です。

[]明日出発 17:35 明日出発 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 明日出発 - 西川純のメモ 明日出発 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 明日は群馬の高崎市の八幡小学校での『学び合い』の学校公開です。シンポジウムでは児童代表がパネリストという、『学び合い』の発想でしかありえない企画です。そして、4時に出発し京都に出発します。京都の人と飲んで、翌日は、京都で講演します。詳細は、以前のメモにあるとおりです。

[]K小学校 15:11 K小学校 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - K小学校 - 西川純のメモ K小学校 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 上越市内で学校として『学び合い』を取り入れようとしているK小学校に久しぶりに参観に行きました。3ヶ月ぐらい前に、我々がサポートに入りました。大凡、2週間程度です。その段階で、『学び合い』の初期段階には入っていました。

 正直ドキドキでした。でも、案ずるより産むが易です。それぞれの先生方が、それぞれに自分のものとされていました。特に、ある先生にはビックリしました。その先生に関しては、我々がサポートしていた当時は、かなり『学び合い』に疑問を持たれていたように感じていました。我々に向けられる質問も、大人ですから穏やかな質問の仕方ですが、内容は「???????」で満ちあふれているようでした。多くの先生方は、我々と廊下ですれ違うとニコニコしてくれます。しかし、その先生の場合だけは、表情が硬いように感じました。被害妄想ですが、「校長がやれというから、やるんだけど、大学の先生のたわけた授業方法をやらせられるなんて・・・・」という風に感じてしまいました。ところがです。本日、その先生の教室に入ってみると、その先生のお顔が激変しているんです。『学び合い』を楽しんでいる教師の顔です。そして、子どもたちも安心して学び合っていました。正直、ビックリしました。

 その後、校長室で校長と「良い」悪巧みをいっぱいしました。あはははは