■ [大事なこと]結果
本日、ある同志の学校の保護者の方から、電話を頂きました。紳士的な方で、頭の良い方です、非常に有益な議論が出来ました。
何度かメモった内容ですが、改めて書きます。保護者の方、学校の方へ『学び合い』を理解して貰える、その最大の方法は「結果」を出すのです。『学び合い』の理論や学術データでは説得できません。だって、保護者の方にとっては平均的なものではなく、自分の大事な大事な子どもの問題なんです。「その子」に結果を出さねばなりません。もちろん、今の一斉指導が結果を出しているわけではありません。しかし、今までやられたことは説明を求められませんが、新たなことをやるには説明を求められます。結果とは何か?ごたくを言ったとしても、それは業者テストの点数と、出席率に尽きると思います。それが最終目的ではなくとも、まずは、そこで結果を出してからの話です。
今、凄い結果を出せなくて悩んでいる方も多いでしょう。でも、それはクラスの最低点が、業者テストの期待得点を上回ることを実現していないことです。多くの学級は夢の又、ユメのレベルの、ある意味、贅沢なレベルです。しかし、少なくとも一斉指導より下がる可能性は殆ど無いでしょう。だから、私のメモの主題の多くは、その結果を理解してもらうところに主眼がおかれています。
が、その保護者の方からのお話しだと、一斉指導より低い結果だそうです。何でだろう・・・っと考えました。理解不能です。というのは私は一斉指導の効率の悪さを知っているからです。あんな酷いもより下回ることを予想することは困難です。下回るためには、かなり馬鹿馬鹿しいことをしなければ出来ません。例えば、「みんな」を求めず、低レベルの問題を一杯与えれば成績が下がります。それは「手引き書」にも書いたことだし、そんなことはしないでしょう?その保護者の方と話しながら考えました。そして、電話を置いてから分かりました。
その学校は生徒指導上、かなり困難な学校だそうです。そこが原因だと思います。我々が提案する学習者観、授業観は、ある程度の授業能力が無いと実践できません。それではどれほどの能力かといえば、とりあえず学習者をコントロールできる能力です。具体的には、「静かに!」と言えば、それなりに静かにさせることが出来る先生です。その先生が子どもを信じることによって、全く違った次元に進むことが出来ます。しかし、「静かに!」と言っても、子ども達に「せせら笑われる」先生が、子どもを信じようと思っても、結局、授業崩壊が起こってしまいます。幸いなことに、日本の多くの学校の場合は、「静かに!」と言えば、それなりの割合の子どもが静かになります。その子が、静かにならない子を取り込んでいくので問題ありません。しかし、その最初の割合が低いと時間がかかるし、効果が現れるまで結果を出すことが出来ません。
そういう場合は、どうすればいいかは「ボスとして認められる方法(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20080422)」に書きました。参考にしてください。『学び合い』に関して、一歩後退、二歩前進ではなく、十歩後退で結構です。とにもかくにも、一人一人にとっては、一生に一度の時間なのです。結果を出しましょう。
追伸 保護者の方の言葉のイントネーションと、その学校の学校段階と、教科名で、大体、どの同志であるか分かりました。と書けば、本人は想像できるよね。あえてメモにアップしました。君の学校の管理職は、君の成長を通して学校をよくしようとする大人物ですよ。そこのところは恵まれているよ。
■ [大事なこと]人情話
私は円生という落語家の語りが大好きです(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20020624)。最近、歩きで大学の行き帰りしています。片道50分です。そこで、円生の落語を聞いています。円生は人情話・芝居話を得意としている一方、滑稽話はそれほどではありません。それは何故だろうっと考えながら歩きます。ふと分かったような気がします。
笑いというのは計算できません。人が笑う話を考える、また、それを引き出す「間」というのは理屈では解明できないように思います。それは努力によって高めることが出来ますが、最終的には才能の問題だと思います。ところが共感してもらうというのは、難しいにしても、計算できるように思います。一番大事なのは、話している本人がそれを信じていることだと思います。女性を口説くための本は山ほどありますが、それが役に立つことは殆どありません。一番、普遍的で強力な方法は、本気でその女性に惚れることです。凡人が出来る最強の方法だと思います。しかし、むやみやたらに信じるわけにもいきません、自分なりに努力し、考え抜いて信じれば巌のごとき信念となります。
円生とう落語家は、非常に勉強家で時代考証がしっかりしています。また、諸芸を学びました。もともとは大阪生まれなのにも関わらず、本当の江戸言葉を会得した人です。天賦の才で生き抜いた志ん生とは違います。その勉強や考察の上に、語ります。芝居話は時代考証がしっかりしていないと、現代人には分からぬものです。また、人情話で一番大事なのは、心を込めて語ることだと思います。人情話で語られる主題は、日本人の常識的な価値観に根ざしているものです。それはみんな知っています。しかし、「そんなこといったって」と実際には軽視されていることです。それを改めて「うん、大事な!」と共感させるのが人情話だと思います。そこに必要なのは、本人が信じることだと思います。
円生の人情話を聞きながら、最初の語りと同じだと感じました。
追伸 円生という落語家は、人に対する評価や、価値観が狭く、また頑固な方でした。それがため人間関係では、あまり円満とは言えません。他山の石としたいと思います。
■ [大事なこと]若い方々へ(心の若い方々へ)
おそらく教師にとって採用1年目は地獄です。だって、今ままは自分のペースでやっていたのに人のペースでやらねばなりません。追い立てられます。今まではつきあう相手は自分の好きな相手を選べました。ところが選べない相手が数十人、数百人も、そして自分の生殺与奪を出来るような立場で現れます。これは『学び合い』をしようがしまいが同じです。そして学校に勤めようが、学校以外に勤めようが同じです。そして、この問題の解決の仕方は非常に簡単です。朝起きて、ご飯を食べて、クソして、寝て、これを365日繰り返せば終わります。皆さんから見て、「???」と思える人も、それが出来ました。だから職場にいるんです。『学び合い』をしたからクビになるわけではありません。クビになるとしたら、結果を出せない、いや、ものすごくひどい結果を出すしかないのです。
私の新規採用の1年目、それも1学期は酷かった・・・。遠い思い出としては楽しいけれど、詳細に思い出そうとすると自己防衛で思い出さないようになります。辛かった。でも、良き先輩に恵まれて乗り越えることが出来ました。さらに言えば、その先輩が無くても乗り越えられるのです。先に書いたように、朝起きて、ご飯を食べて、クソして、寝て、これを365日繰り返せば終わります。そして、2年目から、もっとうまく過ごせます。余裕を持てます。踏んではいけない数少ない地雷がどこにあるかが分かります。そうすると、もっと楽に1年を過ごすことが出来ます。
2年目からは、1年目には想像できないほど楽なのです。でも、それが恐ろしい。どんなに酷くても、面と向かって指弾されない程度のことは出来るようになります。そして、自分の都合の悪い情報は遮断し、合理化することが非常にスムーズになります。皆さんから見て「???」の人はそうやって過ごしています。でも、だからといって伝記になるような人生は勧めません。志を高く保ちつつも、折り合いをつけることが大事です。私の尊敬する同志は、そうやって生きていますし、生きるしかありません。私もそうやっていたから、やんちゃをやりつつも、上越教育大学の史上最年少で教授になれました。
とりとめの無いメモです。分かっていますが、書きます。若い方、そして心の若い方々へ。
もがきつつも日常を続ければ1年を過ごせます。そして2年目は楽になります。そこから先は志を高く維持して、折り合いをつけて下さい。私の好きな言葉に「志は高く、現実には柔軟に」という言葉があります。ある意味で、安易な言葉にとられがちです。でも、現実に柔軟であり、かつ、志を高く維持しつつけることは、本当の意志の力が試されます(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20050508)。