■ [大事なこと]全国学力テスト
全国学力テストの結果が公表されました。それぞれの立場から、それぞれの意見を書かれています。私なりに一言。
テストをすることに関して賛否両論ですが、私は基本的に賛成です。理由は、それを否定するとしたならば、何故、学校でテストするかが説明できなくなるはずです。基本的にテストはするべきです。ただ、その結果の扱いが問題でしょうね。
たとえば、今回の試験では秋田がトップでした。そして、秋田の取り組みが望ましいように扱われています。でも、福井県の方は歯がゆいでしょうね。だって、秋田と福井の差は0.1点の差に過ぎないのですから。さらに言えば、標準偏差の結果から考えて、統計的な誤差の範囲の都道府県はかなりの数です。それらが秋田の取り組みと同じなのでしょうか?少なくとも、交互作用を検討する必要があるでしょう。
沖縄は残念ながら最下位です。しかし、沖縄の教育は最低なのでしょうか?否です。明らかに沖縄の生活環境は厳しいことは周知のことです。その状況を考えれば、よくやっていると言えると思います。一方、都市部の成績は学校の影響ばかりではなく、塾・予備校の影響があります。それらを差し引いく必要があるかも知れません。
つまり、統計的な詰めは甘いのです。分析する機関も、あまりやりすぎると自分の首を絞めてしまうことが明らかなので、きわめて甘い分析にとどめています。ということは、あとは政治の手段でしかありません。ある知事さんは、あのデータをつかって教育界は甘い、と指弾されました。しかし、教育界は、あのデータを使って行政が駄目だと言えるのです。だって、どうとでも解釈できるデータなんですから。あはははは
それぞれの立場の人が、子どもたちのために使えばいい。かつてソ連はアメリカに先駆けてスプートニクという人工衛星を打ち上げました。アメリカ中は、いつ宇宙から攻撃を受けるのではないかと恐れました。スプートニクショックと言います。ソ連に科学技術で負けないようにと科学教育に膨大な予算を与える国防教育法という法律が成立しました。それがため1970年代には革命的なカリキュラム開発が行われました。
しかし、ソ連がアメリカよりも早く人工衛星を打ち上げられたのは、ソ連の科学技術教育が優れていたわけではありません。当時のソ連の教育はかなり悲惨なものだったと私は理解しています。それでは何故出来たか?それは、ナチスドイツの降伏時に、その専門家をドイツから連れてきて研究させたからです。しかし、それは、その道の専門家はよく分かっていました。分かっていたが、ソ連の教育が優れている証拠だと利用し、多額の予算を獲得した人たちがいるのです。
政治をした人の方が勝ちです。
■ [大事なこと]大技・小技
『学び合い』に躓いた人の話を直接、また、メールで相談を受けます。若い先生とベテランの先生には躓き方が違うようです。
物事には何ことには基礎・基本があります。しかし、基礎・基本で全てを覆い尽くせるものではありません。その場で対応しなければならないことも多いです。教職経験を積めば、トライアンドエラー、同僚の先生からのサポートにより、その対応のノウハウを蓄積しています。また、新しい学校に異動すれば、その学校に古くからいる先生から学びます。だから多くの先生方は、異動1年ぐらいは息を潜めているようですね。そのような蓄積を、ほとんどの先生方は無意識にそれを使っておられます。
若い先生はそのような蓄積がない。そのため、最初は基礎・基本でやりショックを受けます。まあ、これは『学び合い』に限ったことではありません。私も新任1年目の5月の連休までは、「大学院で学んだことは、全く役に立たない・・・」ということに驚きました。もちろん全て役に立つとは思っていませんでしたが、これほどまで役に立たないということに愕然としました。そこからノウハウの蓄積をしました。それは『学び合い』を実践する若い方も同様です。現実の学校現場においては、『学び合い』の基礎・基本だけは出来るわけありません。その学校の知を吸収して下さい。しかし、基礎・基本を忘れないで下さい。
ベテランの先生はその学校におけるノウハウは多い。だから、基礎・基本を吸収すれば、縦横に使えます。が、ノウハウと基礎・基本をチャンポンにしてしまうという危険性が高い。そして、ノウハウを使うことが、あたかも基礎・基本だと誤解してしまう。そして、それをもって『学び合い』を解釈してしまう。具体的は、一斉指導の“学び合い”に解釈してしまうのです。ベテランの先生は、理念と実践をつなげる努力をして欲しい、ちゃんと考えて欲しいと思います。多くの先生方は理念はお題目であって役に立たないと思っています。しかし、『学び合い』はその理念なんです。
これらのことに関しては、私にメールを送っていただければ、私の方で説明します。たいていは「手引き書」に書いてあることなのですが、改めて指摘しないと、自分の問題が手引き書に書かれていることと同じであることに気づけないのが通例です。まあ、しょうがありません渦中にいれば見えなくなるのは私も同じです。でも、本質的な解決は、その職場に『学び合い』を理解している人がいるぐらい広めることです。一度分かってしまえば、少なくとも「他人様」の問題を分析することはいとたやすきことですから。