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2008-09-02

[]教科指導と生徒指導 16:43 教科指導と生徒指導 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教科指導と生徒指導 - 西川純のメモ 教科指導と生徒指導 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 教科指導の出来ない教師に生徒指導は出来ない、とよく言われます。しかし、その意味するものは深いものがあると思います。一般には二通りだと思います。まず、生徒指導を第一だと考える先生は、「教科指導すら出来ない教師に、生徒指導を出来るわけ無い。」と理解しています。一方、教科指導を第一だと考える先生は「教科指導をちゃんとすれば、生徒指導は自ずと出来る。」と理解しています。でも、いずれも教科指導と生徒指導を分けられるものだと考えているようです。すくなくとも「純然たる教科指導」、「純然たる生徒指導」の方が大部分だと考えていると思います。そして、生徒指導に苦労している学校においては、「まず、生徒指導をしてから、それから初めて教科指導が出来る」と考えます。逆に生徒指導に苦労しない学校においては、「教科指導をしっかりすれば、生徒指導は特段しなくても良い」と考えると思います。

 しかし、我々は違う!「純然たる教科指導」、「純然たる生徒指導」はあるとしたとしても、ごくごく一部だと考えます。そして、教科指導と生徒指導が渾然一体となったものが大部分だと考えます。

 生徒指導で苦労されている善意の先生が、「まず、人間関係造りをしてからじゃないと学び合いは出来ません」と、腹の中で「現場の苦労を知らない大学教師ごときが、何、脳天気なことをいいってやがる。」と思いながら私に諭すように語るのを聞くのは苦痛です。「なに言ってやがる。てめいの現場よりひどい現場でやっていたんだ。純粋無垢のオール1の子ども、暴走族の子ども・兄ちゃん、境界児・・・、その子だけの集団にてめーは物理学を教えられるのか!!!一般校で荒れたぐらいでがたがた言うんじゃね~」という怒りもわきます。しかし、しばらくすると哀れに感じます。その先生のお気持ちは分かります。もの凄く荒れた学校で、指導を一つ一つ積み上げて、かなり改善した自負があるのだと思います。その気持ちは分かります。私だって、それを誇った時期がありました。しかし、無意識に避けていた、いや気づいていたのに目を背けたものがあるはずです。教師の目の前では、良い子であったとしても、見えないところでは闇があることを。クラス全員が教師をしたっているように見えたとしても、実は違うことを。そして、現実にはボロボロと拾い残した子どもが多いことを知っているが、おれは全力を尽くしたと自己憐憫している自分を。その先生のやり方では、今の状態を抜け出ることは出来ません。

 かって、上記のことで落ち込んだとき、当時の院生さんに相談したことがあります。そのことは「静かに!を言わない授業」で紹介しました。

『A先生のご意見、非常にわかります。私も数年前、B中学校でA先生が体験しているような学校で勤務していたから「何が学び合いだ」という気持ちになるのも分かります。「性善説」(注 子どもを信じるという我々の主張)を唱えることが異常に思えます。その当時のB中学校は、対教師暴力はもちろん、親もおかしかったです。「殴られるような先生が悪い」と平然と言う親が多かったのです。私も正直言って身の危険を感じる日々が多かった。授業中、漫画本、ウオークマン、お菓子はもちろん、休憩時間は学校の至るところでたばこです。たばこを吸っているのを見つけても悪びれることなく、教師を脅す生徒がいました。職員の車は牛乳爆弾でフロントガラスが真っ白くなり、落とすのに苦労しました。プリントを配ると紙飛行機、時にはライターでプリントを燃やす生徒もいます。給食は、自分の好きなものを食べ、食べ終わったらベランダから外に放り投げる。それを担任だった私が1人さびしくかたづける毎日です。3年生の担任は授業中くも膜下出血で倒れました。私のクラスの生徒はあげくの果てに、用務員さんを殴って、新聞沙汰になりました。このような、もしかしたらA先生以上に異常な学校を体験した私が「子どもの学び合いは必要」と言うから西川先生も自信を持ってほしいと思います。私が分析するに、悪い環境(A先生の言われるような荒れている学校)では「子どもの学び合い」を考えられない環境だと思います。また、「子どもの学び合いは大切だ」と考えられると言っても、そういう考えを持っている教師が1、2しかいない状態では、決して実感を伴った行動は無理です。いくら西川先生が言葉でA先生を説得しても難しいと思います。私も以前、A先生と同じ状態だったらからわかります。その時の私は「力が全て」「生徒になめられない力」「迫力のある教師」を理想としていました。しかし、「力」で押さえても、自分に生徒からの暴力が来ないだけで、弱い先生や女の先生はいじめられている状態は変わらないのです。私は西川研で学んだことを生かし、A先生のような荒れた学校でも「子どもの学び合い」を行う自信があり、さらに教師集団の学び合いを行う意欲も持っています。』

つい最近のフォーラムで、この同志に「あなたがすばらしい実践しているであろうことは当然で、当たり前。私があなたに期待していることは学校を変えること、どう?」と聞きました。その同志は、気負い無く、こともなげに「すべての教科で『学び合い』をしていますよ」と言いました。あわてて「本当?」と聞くと、「はい。あ、でも人によって深さは違いますよ。でも、どの教科でも普通にやっていますよ」と応えました。ビックリしすぎて、二の句がつけず「あ、そ、そう。じゃあ、ライブ希望があったらお願いするね」と言いました。「はい、どうぞ」と、これまた、こともなげに。その会話は、実践発表の最中のこそこそ話です。会話が終われば、前の方を見て発表を聞いていました。一分後に、ボロボロボロボロと涙が流れました。

私は「どう?」という私の質問に対して、「いや~・・、難しくって・・」という反応があることを予想していました。ところが、予想に反して、私の予想を遙かに超える成果を、こともなげに返されました。心の底から「私の負けだ。私はなんと愚かだったんだろう。私はなんと愚かだったんだろう。・・」と何度も自分に繰り返しました。そして、本当に幸せな気分になり、ボロボロボロと泣けました。

私には「『学び合い』は甘っちょろい」と言い放つ現場の先生方を説得する力はありません。せいぜい論破して、気を悪くさせるぐらいの力しかない。しかし、同志にはその力がある。

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 「子どもに学ぶ教師の会」で行う『学び合い』の会の今年中の予定は、10月11日 山形の会、10月18日 長野の会、11月8日 大阪の会、11月29日 宮城の会です。詳しくは、このブログの先頭をご覧ください。その他に、12月13日に長野で臨床教科教育学会が開かれます。これらは各地の同志が参集すると思います。

 私の講演を聴きたいという方は、9月29日に神奈川県二宮中学校、10月16日に兵庫県小野南中学校、10月17日に兵庫教育大学附属中学校、11月11日に神奈川県綾瀬中学校、11月14日に富山県射北中学校、11月28日は東京都大泉北小学校で講演します。なお、小野南中学校と兵庫教育大学附属中学校では話す内容を変えようと思っています。これに参加希望の方は、各学校に直接お問い合わせください。

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 10月15日は大阪駅近くで泊まります。私と議論したい方、どうぞ、私にメールください。水曜日ですので参加希望者は少ないと思います。その場合は、ご自身の実践ビデオを持ってきていただければ、見てコメントなども出来ると思います。

 10月16日は、兵庫教育大学附属中学校近くで泊まります。これまた交通不便なところですので、おられるとは思わないのですが、ご希望があればどうぞ。

 10月17日は金曜日で名古屋ですので、ある程度、参加いただけると思っています。これに関しては、見ず知らずの仲間の顔見せの意味が強いと思います。ご希望があればどうぞ。