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2009-01-20

[]上の次元で考えましょう 09:35 上の次元で考えましょう - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 上の次元で考えましょう - 西川純のメモ 上の次元で考えましょう - 西川純のメモ のブックマークコメント

 色々な職場で、色々な問題を抱えている同志は少なくないと思います。そして、その職場で袋小路に入っている同志もいるでしょう。その場合、その問題に一定以上とりくんで解決できないとしたら、とりあえずその問題を解決しようとすることは脇に置くんです。そして、上の次元の問題と捉え直してみるのです。

 例えば、ある同志が『学び合い』がうまくいかなかった場合、問題を下の次元で捉えがちです。例えば、1校時の20分程度に『学び合い』を限定するとか、発展的単元でやっていみるとかなどが典型的です。たしかに問題の原因が、授業のごく一部に原因がある場合は有効なときもあります。しかし、私の経験上、あまり良い方法ではありません。少なくとも以下で述べることを併用することが必要だと思います。それは、問題を上の次元で考えるのです。

 例えば、自分の授業に限界を感じたとき、学年や学校に広げることを考えます。自分に自信がないのに学校に広げるなんて無謀のようでしょ?でも、考えてください。『学び合い』はそういうことを子どもたちに求めているんです。そして、それによって子どもたちは自らの課題を解決しているのです。たどたどしく友達に伝えることによって会話が成立し、それによって自らの課題を解決している子どもって多いでしょ?逆に、自信満々で説明したけど、ちょっと聞かれたとたんに分からなくなり、自分の理解の限界を理解する子どもっているでしょ?それと同じなのです。学校が駄目だったら、地域でも良い、県でも良いんです。上の次元の課題にトライするのです。

 下の次元が簡単で、上の次元が難しいという図式は当てはまりません。だって、物理学が簡単で、化学はそれよりも難しく、有機化学、分子生物学、生態学がもっと難しいということないでしょ。あれと同じです。自分にあった次元のことをやればいいのです。

 じゃ、何故、上の次元をやる方が、下の次元をやるより良いか?そりゃ、気持ちの問題です。もっと上の次元にトライしている方が前進しているみたいで気持ちいいでしょ。それに上の次元で頭を使っていると、元々の課題が簡単に「見えて」しまいますよ。とにもかくにも、一定以上かけて解決できない問題は、別の次元で考えることを勧めます。

[]教員養成 09:35 教員養成 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教員養成 - 西川純のメモ 教員養成 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 以下で書くことは大学教師以外には殆ど興味がないことです。

 昨日から教員養成系大学の目標は何なのかを考えてみました。するとすぐに行き詰まるのです。教員養成系大学の目標は、目的大学ですのではっきりしています。それは「良い教師」養成することです。ところが、「良い」ということがはっきりしません。十人の大学教師に聞けば、十通りの「良い」を言うと思います。ベクトルが一致している教職大学院のメンバーに限っても、やはり同じです。

 仮に、「良い」があったとしても、問題です。というのは採用試験(私学の試験をもちろん含めて)に受からない限り教員にはなれないのです。そして、残念ながら採用試験は「良い」教師をとるための試験ではありません。ある人事担当の人と飲んだときのことです。その県の採用試験に実践的な問題が減少し、クイズ的な問題が増加する傾向がありました。私と飲んだ人は、その問題作成の基本方針を定める役割の人でした。そこで、そのことを指摘すると、たしかにクイズ的な問題が増加していることを認め、さらに、意図的であることを述べました。驚いて、なんでそういう問題を増加し、実践的な問題を減らしたのかを聞きました。その結果、実践的な問題では「差がつかないから」という理由でした。私は正直びっくりし、その後、怒りを感じました。つまり、良い教師をとることが大事なのではなく、選抜できることが大事と言うことです。こんな担当者の県では、大学教師が一生懸命に学生を育てても、それが生かされません。が、しょうがありません。少なくとも公共機関の職員の採用は、公正であることが求められています。ポイントは「妥当」ではなく、「公正」が第一に優先されるのです。この傾向は、大分の事件後にいっそう強くなったと思われます。

 とにかく教員採用試験に合格することを目標として、手厚いサポートをする大学があります。中には大学ではなく、受験予備校だと揶揄される大学もいます。しかし、それはそれで一つの見識で、私自身は高く評価しています。ただし、うちの大学がその大学と同じ路線でやったとしても負けてしまうでしょう。

 最近は大量に採用する県があるため、各県の倍率は天と地ほどの差があります。そのため、教員採用率はその大学の置かれている場所に影響されます。しかし、それ以前の長きにわたって、上越教育大学は常に採用率はトップ10に入り続けていました。私の分析するところ、理由は二つです。第一は、上越教育大学が単科大学であることです。第二は、全国区の大学であるためです。

 総合大学の中にいる教員養成系学部(特に大都会にある大学)は、他学部の学生さんから影響され教員以外の進路を選びがちです。進路を選ばなくても、「教員一本!」という気持ちは薄れます。ご存じの通り、教員採用試験に出てくる教科の問題は大学入試レベル、もしくは高校入試レベルです。従って、まともに考えれば偏差値の高い大学の学生さんの合格率は高くなるはずです。ところがそうなりません。明らかに偏差値の高い大学出身の学生さんは集中力もあり、なによりも要領が良い。従って、本気に受験勉強したらかなりの高得点が期待できます。が、そうならないのは本気で受験していないからです。

 全国各地の受験の状況は天と地ほどの差があります。その県の採用担当者が「うちは名前を書けば合格します」と自嘲気味におっしゃることもあります。一方、殆ど現役合格は不可能で、臨時採用で数年経験した人を採るという県もあります。合格するか、合格しないかを一番影響する要因は、どこを受験するかだと思います。圧倒的大多数の教員養成系学部(大学)は、そこに所在する県の学生さんで殆どが占められます。そして、そこの学生さんは、その県を受験することになります。従って、その県の採用状況は、即、その大学(学部)の採用率に直結します。ところが上越教育大学は全国にもまれな全国区の教員養成系大学です。学生さんは北は北海道から、南は沖縄から来ます。結果として、出身県以外も受験することに対する抵抗感が相対的に低いという特徴があります。分かりやすい事例だと、自分の出身県とあと大学でつきあった相手の出身県を両方受験することはよくあることです。結果として、合格率が相対的に高くなります。

 と、長々考えて、私なりの結論は、私の目標は「採用される学生さんを養成する」です。そして、その方法は、何が何でも教員になりたいという学生さんを養成することです。それがあれば、本当に馬鹿馬鹿しい教員採用試験の受験勉強に向かえます。どうしても教員になりたいのであれば、他県で受験するということも可能性の一つとして間柄得ると思います。そのあたりが大学教師としての妥当な落としどころかな、と思いました。

[]ごちそうを食べよう! 06:45 ごちそうを食べよう! - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ごちそうを食べよう! - 西川純のメモ ごちそうを食べよう! - 西川純のメモ のブックマークコメント

 先日、以下のメールを頂きました。みなさん、ごちそうを食べましょう!そして同時に、どんどん公開し、ごちそうを食べてもらってください。「いえいえ、私はまだまだです」なんて言わないで下さい。食べてもらうと、ごちそうになります。そんなところが『学び合い』の良いところです。我々はレストランの経営者であって、料理人ではありません。皆さんが不安にならなくても、子どもがちゃんとごちそうを作ってくれます。

『先日,16日にS県H市のS準一先生の授業を拝見させていただくことができました。授業の中でいつの間にか疑問が生まれ,それがみんなの力で解決されいくという何ともドラマチックで質の高い学びを創っている子どもの姿。そして,そういう子どもたちのことをうれしそうに語る準一先生にも感激しました。子どもたちはまさに本物の実力をつけていると実感できました。『学び合い』,素晴らしいです。準一先生の細かな配慮もまた素晴らしい。いただいた資料,お話,今までで一番中身の充実した研修でした。内容は膨大すぎて,ここには載せられませんが,やはり本物は観るべきだと思いました。おいしい料理を食べたことのない料理人に,おいしいものは作れませんからね。ぼくは本物には程遠かったです・・・・・(^^;)』