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2009-01-26

[]アンケート 21:45 アンケート - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - アンケート - 西川純のメモ アンケート - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』を経験すると何を学びますか?と良く聞かれます。しかし、私は「ありません」と言います。理由は二つです。

 第一は、それを聞く人の多くは学び合う能力は教えなければならないという考え方だからです。多くの教師は、そう思っています。だから、色々な指導をしなければならないと考えています。しかし、『学び合い』では学び合う能力は生得的だと考えています。すくなくともゴチャゴチャ教える必要はないと考えています。そのことを伝えるために「ありません」と言います。

 第二は、「あります」と言うと、「本当ですか?」とか、「それがなければ・・」という否定的な話に流れる危険性があります。だから、「そんなことがなくても良いじゃないですか、一生に1年間だけでも安心できる時間を経験できるだけでも意味があるでしょ」と言います。

 しかし、本当はあります。第一は、異質な人と関われると思えるようになれることです。そして、第二はその価値を理解している子ども集団を一人一人の子どもに与えることができます。

 本日、あるアンケート結果を得ました。昨年の5月から『学び合い』にトライし、1年間かけてクラスを創り上げた先生がいらっしゃいます。そのクラスの子どもが、卒業式に小学校の思い出を自由に語る場面がありました。そのクラスの大多数は『学び合い』を経験したことを述べました。これには、その先生も校長先生もビックリです。その先生は笑いながら、「あんなに苦労したんだから修学旅行のことでも言ってくれたら良かったのに~」とおっしゃっていました。でも、イベントを小学校の最高の思い出ではなく、毎日の普通の授業が小学校の最高の思い出である方が素晴らしいのは当然ですよね。そのクラスの子どもは中学校に進学しました。そのクラスの子どもの多くが進学した中学校があります。そこに進学した子ども達にアンケートをしました。卒業して、中学校での十ヶ月の経験をもとに小学校での『学び合い』を語ってもらいました。

 HPの「『学び合い』を学ぶコーナー」の「『学び合い』の玉手箱」にアップしました。是非お読み下さい。そして、小学校の同志は子ども達に読ませてください。もちろん、小学校の低学年もです。そして、煽ってください、尻をたたいてください。子ども達は、もっと凄いことをやらかしてくれます。

 ワクワクするでしょ!

[]面白い学校 21:45 面白い学校 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 面白い学校 - 西川純のメモ 面白い学校 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 上越に『学び合い』を学校の取り組みとしている学校があります。これが非常に面白い学校です。ごく普通の教科授業を異学年で取り組んでいます。この居るだけの異学年の可能性は無限大です。今、日本全国の学校で抱えている問題を劇的に解決する起爆剤だと信じています。でも、普通に教科学習を異学年学習でやるって信じられます?でも、今、それをごく普通の営みとして、学校で実践している学校があります。

 これだけラディカルな学校なのですから、「『学び合い』は絶対賛成!」、「西川先生様~!」というかといえば、そうでないんです。『学び合い』は良いと思っているけど、だからといって全部・絶対とは思っていません。私は「良いことも言うけど、変なことも言うな~」と思っているようです。というのは、私が先生方の集まりでしゃべるときの先生方の表情で分かります。

 でも、凄いのは、職員集団全員が『学び合い』の良さを感じている点です。そりゃ、先生方の会話で分かります。『学び合い』をやめようというための発言は皆無です。止めようと思う人の発言は、大抵、あらを探したいという気持ちがありありです。同時に、『学び合い』に対して分からないところがある、ということも全員です。なんか非常に健全な教員集団だなと感じます。

 今は、『学び合い』の良さを分かり、そのことを一生懸命に学ぼうとしている少数の「変わり者」(あはははは)が中心になって進めています。でも、その同志が頑張れば、認知度が広がり、もう少し普通に広がるのではないかと思います。その時の学校の状態は、この学校の状態なんだろうな~っと感じます。この学校の先生方の来年の姿が、とても、とても楽しみです。きっと凄いことをやります。ご本人達はまだご理解していないですけど、凄いことを、今、普通にこなしているのですから。

[]寛容 09:58 寛容 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 寛容 - 西川純のメモ 寛容 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私のゼミに一人の学卒院生がいます。来年度からS県の小学校の先生になります。といえば、身内はだれかが分かりますが。あはははは。

 彼は「一人の子どもを捨てたくない」という高い志を持って我がゼミに入ってきました。研究では、2年間、ずっと『学び合い』を実践している地元の先生のクラスを観察しました。『学び合い』に関する彼の研究は素晴らしいものです。彼は学内の教育サークルに所属しています。私の方は気づきました。しかし、何も言いません。そのうちに、ゼミ生「たち」が彼がそのサークルに所属していることを白状しました(あははは)。私が、何でそれを隠したのと聞きましたが、どうやら、そのサークルが『学び合い』と対極にいると考えているため隠したようです。私は笑って説明しました。私自身はそのサークルを高く評価していることを述べました。そのサークルがなければ潰れた教師は多いことを説明しました。同時に、いくつかの限界があることも説明しました。でも、そりゃ人間が集まった集団なのですから、限界があり、失敗あるのは当然です。『学び合い』だってそうです。その後は隠すことなく、そしてずっとサークルに所属し、勉強しています。

 彼の教育実習を見ました。もちろん一斉指導のスタイルです。実に見事な授業です。サークルで学んだことが生かされています。おそらくテクニックを伝えるのではなく、何故そうなのかをちゃんと語り合ったためだと思います。同時に子どもへの語りと、視線の動きは『学び合い』の考え方がちゃんと理解していることが分かります。

 『学び合い』を実践している先生の一斉指導を見たことがいっぱいあります。大抵は、その先生は「いや、『学び合い』ではないんです・・」と一生懸命に私に弁明します。しかし、私はニコニコしてしまいます。というのは、『学び合い』になっているからです。だって、学校教育は何のためにあるかを知っているのです。だから、課題が専門家のコリコリ課題になっているのではなく、非常にシンプルになっています。そして、子どもは他の子どもがいかに有効かを知っています。だから、教師が一斉指導しようとしても、隙をねらって『学び合い』をし始めます。教師の方も、子どもが有能であり、まかせれば大丈夫だと知っているので、いつまでも縛り付けるようなことをしません。私は、何故、それを『学び合い』でないと思っているのか不思議です。おそらく、最後にまとめがあったり、5分以上しゃべると『学び合い』ではないと考えているのでしょう。ほほえましいと思います。まあ、そのうちに考えのレベルで理解していただけると思っています。

 いくら議論しても解ってもらえない人はいます。でも、話している中で、「この先生は良い先生だろうな~」と感じる方はいっぱいいます。そういう人を私は大好きです。好きな方に嫌われたくないので、議論を止めます。そして、心の中で「いつか解ってくれるさ」と思います。

 『学び合い』は基本的に人間の英知を信じています(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20080914/1221399721)。それは子どもに対しても、大人、教師に対しても信じています。そして、多様性の価値を信じています。だから、「これしか認めない」ということはあり得ないと思います。でも、議論は大事です。その際には、検証可能な事実とシンプルな体系をもとに議論することは有益です(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20080529/1212074150)。

 私の場合は、学校教育の目的をはっきり持たない人や、子どもの能力を低く見る人と話すとムカムカします。が、だからといってわざわざ否定するほどの暇人ではありません。あはははは。ただし、相手方がわざわざ否定したり、妨害をかけてくると一気に戦闘モードに入ります。基本的に研究者は短気で攻撃的です(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20010228/1173103810)。こればかりは年をとっても変わりありません。

追伸 あべたかさんのメモに刺激され、自戒のためメモります。