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2009-11-09

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 この前のビビデバビデブー(http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20091102/1257151284)のビデオを院生さんから頂き、それを見ていました。本当にドラマです。

 状況を詳しく書きます。『学び合い』の同志のいる学校で、校長が理解者です。しかし、校長は『学び合い』を強いることはしません。ビデオのクラスは小学校1年生で、担任の先生は、今から1年半以上から、ちょくちょくと同志の授業を参観に来る姿は見かけました。同志は人徳もあり、力のある先生です。かなりの印象は与えたとは思いますが、でも、『学び合い』はやっていません。

今年になってから、その学校では『学び合い』を主軸とすることを決めました。そこで、周りで遠巻きにしていた先生方も、一歩、踏み出しました。いや、同志の実績によって、その体制が出来たからこそ、主軸となったのだと思います。その担任の先生は今年になってから、単発的には、『学び合い』にトライしていました。しかし、今一歩、しっくりしていなかったのだと思います。

 特別支援の先生は、特別支援の先生としては名人級の先生だと校長先生が絶賛する先生です。実は、今から2年以上前に、その学校で『学び合い』をし始めたとき、直ぐにその良さを子どもの姿から見取り、音楽の時間に取り入れた方でもあります。とにかく懐の深い先生だな~っと感じる先生です。ただ、特別支援の子どもに『学び合い』、特に、健常児と一緒の学習に関しては不安を感じられていました。

 その日は1年で『学び合い』をすることは知っていました。しかし、その授業は本格的に『学び合い』に踏み込もうとする決意の授業であるということは全く私は知りませんでした。その担任の先生はメモを用意して「最初の語り」をされました。おそらく、手引き書を参考に、じっくりと考えられてメモを作成したのだと思います。ここで、まず、ビックリです。次に、話の内容を聞くと、今まで算数の授業は特別支援学級だった子どもも、これからは一緒に勉強し、その子も含めて全員が課題を達成しなければならないと宣言するに及んでビックリです。そこで、特別支援の先生がそのクラスにいることの意味を理解しました。つまり、担任の先生ばかりではなく、特別支援の先生も決意の授業だったんです。

 ドラマの筋立ては凄いでしょ!私だったら、もうウルウルの準備です。

 さて、どうなったか。

 最初の語りを語り始めました。1年生ということで、子どもの発言を丁寧に拾います。また、特別支援の子どもの登場が遅れたということで、最初の語りを終え、本日の課題を言い終わるまでに22分もかかってしまいました。

 『学び合い』を開始すると、担任の先生は一人一人の子どもが出来たかをチェックするという初期段階の教師の典型的な行動をされました。開始から、28分20秒たって、私が担任の先生を呼び止め、視野が狭くなっているということを申し、クラス全体を見ることを語りました。そして、そのクラスの中で起こっている二三の事例を紹介し、可視化することの意味を語りました。これが約20秒間です。その直後から担任の先生は可視化をし始めました。とたんに、子ども達の動きが活発になりました。4分ぐらいたつと、クラス全体は『学び合い』のるつぼ状態です。ところが、特別支援の子どもは取り残されています。開始32分00秒ごろになると、特別支援の子が特別支援の先生をチラ見する。その50秒後には、特別支援の先生がその子に近づき、その子のノートをのぞき込みます。そこで、私がその特別支援の先生に近づき、「お気持ちは分かりますが、 ちょいと遠くから見ましょうね」といって特別支援の子どもから離しました。その5秒後に周りの子が、特別支援の子どもに近づき始めました。担任の先生がその現象に気付かれていなかったので、その先生に近づき、そのことを褒めるようにアドバイスしました。 40秒後には3、4人の子どもが特別支援の子どもに近づき教え始めました。その様子を担任が褒めました。そうなると、もっと活発な動きが見られました。そうなると特別支援の先生も安心したのか、健常児に声がけを盛んにするようになりました。

 2分20秒後には特別支援の子どもが分かったようです。周りの子どもも喜んでいる様子が見られます。30秒後には特別支援の子どものノートを特別支援の先生と担任がのぞき込み出来ていることを確認しました。20秒後に両先生に近づき、最後のまとめのアドバイスをしました。内容は、みんなが出来ることを押さえるにはどうまとめたら良いかの事例を紹介しました。両先生とも大きく頷かれました。最後に、担任の先生に「今日は満点です」と言いました。そして、「次への改善点は何ですか?」と聞きますと、『学び合い』開始までの時間が長いとおっしゃいました。私は大笑いして、大正解ですといいました。そして、目標の設定や説教のあたりは、一人一人の子どもの発言を広いながら進めるのではなく、これこれである、と宣言すればいいとアドバイスしました。アドバイスは2分程度です。

 約束の時間になると、子ども達が「みんな出来た?」と口々に言い出します。そして、「出来た人は手を挙げて」と言いだしました。みんな手を挙げています(特別支援の子も)。みんな大喜びです。それが1分程度。先生が改めて手を挙げさせて確認し、「みんな」の大切さをまとめました。

 これだけのドラマが45分の中で起こったのです。おそらく遠目から見ていれば、学級崩壊のクラスでしょうが。

 このドラマを講演会で紹介しようと思います。しかし、このビデオだけでも45分間ですので、1時間半は必要です。そんな時間を与えられたとき、紹介したいと思います。

 ふと思います。全国の同志は、こんなドラマを担任クラスで何度も味わっているんだろうな~っと思いました。羨ましい。

追伸 これだけのことが起こったのは、お二人の先生方の考え方が『学び合い』的であったということが最大だと思います。『学び合い』は「地」を出させるものです。出た地が上記の通りなのですから。