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2009-12-31

[]大晦日 16:21 大晦日 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大晦日 - 西川純のメモ 大晦日 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 よいお年をお迎えください。

追伸 大晦日の日に120万ヒットに到達。ご愛顧感謝。

[]大局観3 16:21 大局観3 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大局観3 - 西川純のメモ 大局観3 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 第二の予想は、全ての情報はビットに還元され、無料になるというものです。これは多くの人が言っていることなので、改めて書きません。私個人に関してのことです。ネットブックに関してです。

1)日本の幼稚園先生は10万人、小学校40万人、中学校30万人、高等学校30万人です。そのうち高校の先生は教育書を殆ど買いません。また、中学校の先生も理学部とか文学部出身の先生方も買いません。買うのは、教科の背景とする学問の本です。従って、教育書の読者層は60万人ぐらいと考えて良いと思います。

2)アマゾンで調べましたが、日本で今年1年発売された教育書は3000種類です。

3)教育出版社のビジネスモデルは、1年間に2000冊を売り切ることが出版の条件となっているそうです。

 さて、2)と3)から、新刊書3000種が出版されたと言うことは、それぞれの出版社は思惑の総計は、600万冊が売れるだろうということです。読者層の60万人で除すれば、一人あたり10冊を買うことによって成立する分けです。馬鹿馬鹿しいと思いませんか?教師の方は思い起こして下さい。職員室で机を並べている人たちの棚を思い起こして下さい。平均的な教師が、「教育」の新刊書を10冊買うでしょうか?本の売れ方は平均的に売れると言うことはなく、売れる本は売れるが、売れない本は売れません。それは指数関数的に減少します(おそらくはべき乗則)。結果として、1年間に2000冊を売り切れるのは、ある種特殊な本だけとなります。具体的には、地方都市の個人経営の書店の店頭に並べられる本をイメージして下さい。あれです。でも、各出版社は同じようなことを考えているのですから、似たような本ばかりが出ると言うことになります。ちょいと昔だったら、出版社も数年がかりで売ろうという構えも出来ましたが、それも出来ないほど厳しい状態なのだと思います。大変だと思います。

 今の『学び合い』は時代に先行しすぎているので、本という媒体では書けない話題が多いのです。

それにしても現状のビジネスモデルは、かなり無理があるように思います。これを乗り切るには、紙という媒体を離れて、出版する単価や、維持する単価を限りなく0にします。それによって単価を安くするのです。例えば、200ページぐらいの本が100円ぐらいにするのです。

 私が提案し、出版社からは採用されない具体例は以下の通りです。

 著者はワードや一太郎で完成版を作ります。つまり、フォントや写真なども著者が作成するのです。

 出版社は、それを読んで、出版社としてオーサライズに値する本であるかを判断します。また、著作権違反や、個人情報保護をチェックし、人権侵害はないかをチェックします。それがOKになれば、出版社のサーバーにアップします。アップすると自動的にpdfファイルに変換します。ユーザがネットブックを購入すると、そのpdfを閲覧できるようになるのです。著者は、常に自信の本のファイルにアクセスし、バージョンアップできるようにするのです。つまり、読者は常に最新版を読めるのです。誤字脱字も、ゆっくりとチェック出来ます。希望する人は500円程度でpdfを“簡易”製版してもらい、郵送してもらえるサービスもあります。もし、このようなサービスを複数の出版社が協働して行えば、ネット上に各人の本棚が出来上がります。

 アマゾンによって、多くの出版社や古本屋が廃業に追い込まれたのではないでしょうか?だって、しばらくしたらバカ高い本が二束三文で買えるようになるですから。でも、上記のシステムが成立したら、紙媒体の本を扱うアマゾンが潰れますね。だって、おそらくアマゾンの利用者(つまり、ある程度はネットを使える人)は、上記の利用者と二アリーイコールですから。だから、アマゾンが生き残るために、是非やってくれないかな~

 そんな時代の出版社で求められる能力とは、新しい人材を開拓し、その人と健全な人間関係を維持し続けることだと思います。対人関係は、機械では代替えすることは出来ませんから。

追伸 ちなみに本の印税は1冊100円ぐらいと考えたらいいです。ということは2000冊売れたとしても20万円ぐらいです。そんな程度だったら、遠方の講演会に呼ばれれば、1時間半おしゃべりを何回かすれば稼げます。また、大学人としての業績としては、上記のネットブックはカウントされないかも知れません。でも、私の業績は既に平均的な研究者の数十人分ありますから、それはどうでも良いことです。ということも、私がネットブックに移行しつつある背景です。

[]大局観2 16:21 大局観2 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大局観2 - 西川純のメモ 大局観2 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 直前の予測は間違いますが、長期スパンの予算はそれほど間違わないと思います。

 私の予測です。

 第一に、従来型指導は破綻する。理由は簡単です。一人一人の子どもや保護者が、自分や我が子に十分な教育を求めるという、民主社会ではごく当然の主張をし始めたからです。私はその主張はエゴイズムではなく、ましてはモンスターペアレンツでもありません(以下で書くことは、あくまでも主張することは正当であるということであり、学校が従うか従わないかは法に基づくということは当然です)。憲法26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と書かれています。従って、能力のある子が、既に分かっていることを、もう一度繰り返すだけの授業を受けなければならないということは憲法違反です。また、分からん授業を延々と聞かされ、あまつさえ、静かに動かないことを求められることは、憲法18条の「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」に違反することです。従って、それにクレームを付けることは、ごく当然です。それをエゴイズムといったとしたら、それは戦前の政治家が、アメリカ民主主義をエゴイズムと言ったのと同じレベルのことです。

 全ての子どもに、その能力に応じた教育を一人の教師の技量で出来るわけありません。百歩譲っても、日本中にいる百万人の先生方の大多数ができるわけ内。従来型指導は、その装いを“学び合い”的にしても破綻します。最終的には、ホモサピエンスの基本戦略が勝ちます。だから、現状の個別の問題に関してはイライラしますが、未来に対して不安を持ちません。

[]大局観 16:21 大局観 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 大局観 - 西川純のメモ 大局観 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日のメモの続編です。

 実は従来型の指導においても「ボーッと」見ることはとても大事なことです。私が博士の学位を与えた閣下の博士論文の研究によれば、従来型の授業の授業研究における先生方の授業の見方が分析されています。それによると、ごく普通の先生方は、「この子がこう言った、この子がこう書いた」というコメントを授業検討会でします。たしかに、学部の学生さんに授業を見せると、大抵はこのレベルです。しかし、「この子がこう言って、それによってあの子がこう書いて、それによってこの子がこう書いて・・・・」という事象の連綿を言えるようになると、その上ですね。でも、その場合は、隣り合わせにいる子ども同士の会話や相互行為です。つまり、狭い視野の中で見られる事象なんです。

 と、こ、ろ、が、です。実験のような場面の時のように教室の中を移動できる状態だと、教室の対角線上にいるような子ども同士が、移動し会話し、相互行為をします。そのような子ども同士の「この子がこう言って、それによってあの子がこう書いて、それによってこの子がこう書いて・・・・」という事象の連綿を言えるのは、郡・市レベルでもごく数人ぐらいなのだそうです。

 つまり、『学び合い』では、全ての教師に、そのレベルのそのような見方を求め、それによって教科学習を通したクラスづくりを実現するのです。

[]ダジャレ 16:21 ダジャレ - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - ダジャレ - 西川純のメモ ダジャレ - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私の横で、息子は冬休みの宿題。その息子が、「めんどくさい」と一言。そのとたんにニマーっと笑いながら「独裁者はめんどくさい」と一言。彼の頭は、彼の頭の中は並列処理なんだろうな。