■ [大事なこと]説明力

昨夜の深夜に、以下のようなメールを頂きました。
『何度もメールをしてしまい恐縮です。とるに足らない些細なことをすぐにメールすることは避けようと心掛けている私ですが、今、些細とは思えない気分に陥ってしまい、書かずにおれず、書いています。すみません。(ご返信いただかなくとも大丈夫です。)
たった今、手引き書超短縮版を読み終えました。この19ページの冊子を読むのに随分時間がかかりました。ここ数日(一体どうなんだろう?)と考えていたことについて詳しく書かれていたり、講義を聴講させていただいた時のことを思い出したり、なぜだか思わずこみあげてきたり、「ここは捉えが甘かったようだ」「ここの捉えは大体よさそうだ」などなど、かなりいろいろと思いをめぐらせながら読んだので、とても時間がかかりました。
直接アドヴァイスをいただけるのだから、まだ読まなければ良かったのかもしれない・・・なども考えました。(目の前の子どもの様子を十分把握しないまま「マニュアル通りに演じる」ということになりはしないか?と感じたからです)
ところがそんなことよりも衝撃を受けてしまった部分がありました。
「特別支援が必要かと思われる子が100点を取ることがある。馬鹿馬鹿しいほど理由は簡単で、家でやってくるようになるから」と書かれているところです。
私が受け持っているクラスの中で起こったことが、寸分も違わずに書かれていました。これは一体何なんだ??(ネバーエンディングストーリーに出てくるあの本みたいだ)とか、ぐるぐると不思議な気持ちに襲われ、SF映画の中に投げ込まれたような衝撃を受けました。
ぞーっとして、10分?20分?30分?
放心状態でテーブルの上に突っ伏してしまい、今やっと立ち直ったところです。(笑)
もう一冊の「従来型指導的『学び合い』の手引き書」も読んでみようと思いましたが、読んだ内容が先入観としてあると、それにとらわれて「マニュアル通りに振る舞ってみよう」という、「上っ面だけ子どもに投げかける」という事にもなりかねないと思ったので、ひとまず読むのをやめてしまいました。
寝る前にチョコっと読んでおこう、という気持ちで読みはじめたのに、まさかこんなに衝撃を受けるとは思いませんでした。真似事なりにも、実際に自分でやってみてから読んだことは、とても良かったです。』
私の返答は、以下の通りです。その方が「理科の方」でしたので、そのように返答しました。
『こんにちは西川です。嬉しいメール、ありがとうございます。
たとえ話です。床に輪っかを置き、それを的とします。コップに固体の氷を入れて、輪っかの上から落とせば、おそらく輪っかの的を通すことが出来るでしょうね。それが液体の水となれば、輪っかから外れてしまう水があるでしょう。でも、大部分は輪っかを通すことが出来ます。ところが気体の水蒸気となれば、落ちるどころか拡散してしまい、輪っかを通すことは無理でしょうね?
さて、一つ一つの水分子を子ども一人一人と考えてください。
そして、氷、水、水蒸気を水分子同士の凝縮力の違いと考えてください。なぜ、『学び合い』は今までの教育論に比べて、格段に説明力が高いのか?それは、個々の子ども達の動きを追っているのではなく、子ども集団を追っているからです。水蒸気の水分子の個々の動きを予想することは不可能でも、氷の水分子の個々の動きを予想することは可能です。
ちなみに、『学び合い』の手引き書の完全版をお読みいただければ、『学び合い』の学校観・子ども観・授業観の詳細、『学び合い』が生じた背景、そして、多くの先生方が持たれる疑問の90%ぐらいの説明が書いてあります。時間を設けて読んでくださいね。なにしろ、「ただ」なんですから。あははは』