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2010-04-23

[]尊敬 15:54 尊敬 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 尊敬 - 西川純のメモ 尊敬 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 他大学の学生さんから以下の質問メールをいただきました。

『 『学び合い』を研究していて疑問点が出てきたので西川先生の御考えをお聞かせ下さい。 今、私が持っている疑問点は、『学び合い』をしていくなかで教師の尊厳が失われ、教師の存在意義は損なわれてしまうのではないかと いうことです。『学び合い』において教師の仕事は目標の設定、評価、環境の整備の3つであると言われておられたのですが、それでは、子どもたちに とって教師の仕事というのは見えにくくなってしまい、子どもたちが教師の力によって「自分のプラスになった」という経験をすることが できず、「教師なんて必要無い」と感じてしまうということが起きてしまうのでは無いでしょうか。なので、子どもたちが教師の尊厳をどういったときに感じ、教師の存在意義はどのようなものだと感じているのでしょうか。』

 私の返答は以下の通りです。

『結論から言えば、そんなことありません。逆に、尊敬されますし、愛されます。象徴的なエピソードを紹介しましょう。『学び合い』が成立したクラスで、勉強に役立つのは「教師」、「教科書」、「友達」の三つから選べと言えば、子どもたちは迷うことなく、「友達」>「教科書」>「教師」と応えます。そこで教師は必要ないか?と聞けば、これも迷うことなく必要だと応えます。理由は、教師がいなければ集団が成立せず、我が儘がまかり通るようになることを知っているからです。この集団が健全にいられるのは、教師が「みんな」を大事にしている人であることを知っているからです。つまり、教師の役割は、ものを教えてくれる人ではなく、集団を維持し、人の道を示してくれる人という位置づけになります。

 さて、二桁の足し算の繰り上がりを教えてくれる人と、何故「みんな」が大事で、それが自分にどう関わるかをちゃんと語れる人、どちらを尊敬し、愛しますか?いかがでしょうか?』

http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20061103/1162545422

[]小規模校 07:04 小規模校 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 小規模校 - 西川純のメモ 小規模校 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今のままで大丈夫な人で、それでも、その上を狙い、自分を変えられる人なんて本当に少ない。携帯電話を変えられないのと同じです。『学び合い』を知ってもらうためには、現状ではにっちもさっちもいかない人たちに伝えるのが効率が良いと思います。

 今年度狙っているのは、小規模校です。小規模校にはさまざまな問題があります。複式学級のために「わたり」という、まさに綱渡りのような指導をしなければなりません。そんなことを採用されて数年の教師がしなければなりません。または、4年・5年が5年の勉強をして、次の年は4年・5年が4年の勉強をします。結果としてある学年は4年と5年の勉強を逆転するようなABカリキュラムをしています。指導要領のシークエンスを崩しているのです。一緒に勉強する集団が幼稚園から中学校まで全く同じで、人間関係が固定化するという問題もあります。交通不便なので先生が居着かず、ベテランの先生が異動したがらないという問題も起こります。が、以上の問題は異学年の『学び合い』をやれば、一気に解決します。それも、馬鹿馬鹿しいほど簡単に。だから今年度は小規模校の『学び合い』に力をそそぎ、それを発信したいと企んでいます。小規模校で『学び合い』の良さを学んだ先生方が、次の学校で『学び合い』を伝えてくれます。小規模校は『学び合い』の「苗代」になります。

 そのことを話しているとき、小規模校の先生が統合問題のことを話されました。その方は、小規模校が統合されれば、その地域が衰退すると言われ、統合には反対だと言われました。が、私はそれに反対しました。

 ダーウィンが言っているように、変化を受け入れられない集団は緩慢な死しかありません。本当の問題は、統合ではなく、統合されれば衰退すると思い込んでいる考えにこそあると思います。その考えのままであれば、統合されなくても衰退しかありません。

 集団は多様で多数であるほど安定します。もし人口が少なくなったならば、コミュニティーを拡大することをしなければなりません。ではどうするか?私は小規模校の連携にこそあると思います。具体的には、異学年の『学び合い』を経験した子どもが、学校を超えて連携した学びを行うのです。たとえば週に1度ぐらいは、回り持ちでどこかの学校の体育館で地域合同の『学び合い』をするのです。そして、中学校区のすべての小学校の子どもが中学校に集まって学ぶのです。

 定常の授業ではスカイプなどのインターネットを活用し繋ぐのです。そして、ある学校の異学年で分からなかったとき「○○小学校の○○ちゃん、いない?教えて~!」とスカイプのテレビ電話越しに呼びかけるのです。こんなことをすれば、中1ギャップなんか無くなります。そのようなことから地域小規模校の実質的な統合を行います。そして、それぞれの学校で保護者集団を形成し、そして保護者集団の統合を行います。その地区をよくするという同じ志で汗をかくことによって、統合後のコミュニティの核が形成されるのです。

 今、我々はある小規模校に入り実践を始めています。ほんの数ヶ月です。その学校の変化の早さを知るにつけ、『学び合い』を小規模校へ、という作戦の妥当性に確信を持っています。