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2010-06-02

[]教師の仕事 07:00 教師の仕事 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 教師の仕事 - 西川純のメモ 教師の仕事 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私はアドラー心理学が好きですが、学校教育には使えないと思っています。理由は、子育てに非常に有効だからです。これは一見、それ故に学校教育に有効であることを示しているようですが、逆に、それは有効でないことを示しています。なぜなら、親と教師は別物で、教師は親の延長上ではないからです。でも、多くの教師と親は、そう思っていない。子育てに有効なものは、それを使う人が親のようになることを求めます。しかし、三十人の親にはなれない、でも、三十人の善き上司にはなれます。

 でも、アドラー心理学のすばらしさを生かす方法はあります。それは、子どもがアドラー心理学を理解させることです。三十人の子どもは、三十人の子どもの「親代わり」になることは出来ます。

 このことは他のことも同じです。おそらく、教師用の図書として本屋で売られているもの全ては、教師ではなく子どもが読むべきです。もちろん、三十人の子ども全てがそれを理解できるわけではありません。でも、小学校1年生であっても、それを理解できる子どもはいます。その子が子どもの言葉に翻訳し、周りの子どもに伝えます。結果として、三割から4割の子どもはそれを理解し、行動します。どう考えても一人の教師がやるよりは有効です。教師は自分自身がそれを習得することにエネルギーを費やすよりも、それらを習得したいと思う子ども集団を育てる方が、もっと生産的だと思います。

 我々は、従来、教師しか出来ないと思われたことが、子ども集団の中で易々と、そして教師より同等以上の達成度が実現できることを証明し続けました。例えば、「指導要領を読み解き、それに基づき評価基準を設け、自己評価すること」、「教科書を分かりやすく改良すること」、「道徳の副読本を作成すること」、「どのように指導したらいいかというマニュアルつくり」、「県指定の学校研究の発表会で、研究主任の代わりに参観者の前で発表すること」、「知的障害と言われる子どもが業者テストで満点を取れるような指導をすること」、「不登校児を解消すること」・・・・。理由は簡単です。本当のツボどころはユーザーが知っています。そして、一人の教師がやるよりは、三十人の子どもがやる方が有効だからです。理由は、大学・大学院に行った教師でも一日は24時間です。ところが三十人の子どもには24時間×30の時間が費やせるのです。最大の問題は、多くの人は、子どもは出来ないと思い込んでいることです。

 教師は、子ども集団の力を知るべきです。信じるべきです。そして、それを最適化できる管理職になるべきです。そこに必要なのは、漢字の書き順をうまく教える能力ではなく、マネジメントの能力です。

[]マネジメント 06:42 マネジメント - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - マネジメント - 西川純のメモ マネジメント - 西川純のメモ のブックマークコメント

 名選手は必ずしも名監督となれるわけではありません。なぜなら選手として求められるものと、監督として求められるものは違うからです。前者が野球なのに対して、後者はマネジメントです。同じく、名教師は必ずしも名校長になれるわけではありません。なぜなら前者は教え方の力であり、後者はマネジメントです。しかし、いずれも名選手の中から選ばれます。結果として、中にはマネジメントを学ぶことなく、自分の得手を部下に求めてしまいます。でも、『学び合い』の名教師は、かならず名校長になれると思います。(少なくとも相関関係は極めて高い)なぜなら、両者とも求められる能力はマネジメント能力だからです。

 残念ながら学校管理職に求められる能力は、学校評価とか懲戒とかだと思われ、それらが学校マネジメントだと思われています。が、本当は、それらはテクニックに過ぎません。それ以前に、集団全体を管理する一般原則を学ぶべきです。それらは学校経営学には殆ど無く、一般の経営学にあります。

 私は上越教育大学教職大学院にいろいろな願いをこめて制度設計をしました。そして、その多くはかないました。でも、まだかなっていないところがあります。それがそこです。私はMBAのケーススタディをイメージしましたが、そのイメージは実現していません。おそらく経営学の本を読んだことのある先生は殆ど無いでしょうね。そして、管理職試験の前に、教育法規を暗記するにとどまっているのではないでしょうか?

 本学大学院に来られる現職の大多数の方には『学び合い』は授業方法に写っています。しかし、『学び合い』こそマネジメントだと私は確信しています。ま、5年以内に、それが分かるようにしなければ。