■ [大事なこと]考え方
私が課題をシンプルにと言い続けているのは、そうしないとどうなるか知っているからです。おそらく、日本中で一番『学び合い』の相談を受けていると私は自負しています。
私の手ほどきは常にシンプルな課題で行います。最初は、クラスの実態がもろみえになりオロオロします。しかし、それは実態であることを語り、それが見えることによって改善できることを語ります。そして、うまくいかない子どもではなく、教師の語ることに応えている子に目を向けることを語ります。それで2~4週間でうまくいくようになります(つまり導入段階に入ります)。例外は、管理職や保護者から「ご指導」が入ったときです。その場合は、従来指導型『学び合い』のやり方の手ほどきをして、したたかにやることをアドバイスします。次にアドバイスが必要なのは、アスペルガー傾向の子どもなど、集団の力が相当伸びないと受け入れられない子どもがいるクラスの担任です。その場合は、なかなか「みんな」が達成できないのは、その方の問題ではなく、時間がかかることを語ります。そんなこんなで、充実段階に達します。
さて、『学び合い』が考えであると分からなくても、『学び合い』はそこそこ実現できます。そこで気がゆるむと問題が起こります。具体的には、『学び合い』はある意味楽できるので手を抜き始めます。その結果として、「みんな」が達成しているか否かの評価が甘くなります。また、課題のレベルをそのままにしていると、出来る子が手を抜き始めます。最初は徐々に、気づくとめためたな状態になります。これは、偉そうなことを書いている私も起こることです。しかし、この状態になったとき、『学び合い』は考えであると分かっているか、否かの差が出ます。
『学び合い』は考えであると分かっていれば、『学び合い』の学校観・子ども観に照らして自分の心に隙はなかったかを自問します。そうすれば、自分の心に隙が生じていることに気づきます。そうしたら、子どもの前で謝り、改めて仕切り直しをすればOKです。馬鹿馬鹿しいほど簡単です。だって、『学び合い』の子ども観から考えて、授業中の問題を解決できるのは一人の教師ではなく、子ども集団です。もっと正確に言えば、その子ども集団の中で、教師の心の中を正しく読み取ることが出来る2、3割の子どもたちが問題を解決できるのです。だから、心を正し、謝り、仕切り直せば、その子たちは動いてくれます。どう考えても一人の教師より有効なことをします。
が、『学び合い』は考え方であることを理解せず、方法だと考えれば自分の心を問い直しません。「方法」を問い直します。そして自分の慣れ親しんだ従来型との折衷をし始めます。なぜなら、「方法」のレベルでは折衷は可能ですから。でも、「方法」のレベルで折衷したら、それは『学び合い』ではなく従来型になってしまいます。そこには、子ども集団への信頼はなく、教師の力で解決しようとする方向性があるからです。そして、それでうまくいかなくなると、従来型の比率を高めます。結果として、昔の授業に戻るのです。結果としてうまくいったように見えます。なぜなら、従来型は問題が見えなくなるからです。でも、ちょいと目をこらせば、死んでいる子どもが2割以上いることが、否応なく目に入ります。
このような失敗を乗り越えることによってのみ、『学び合い』は考えであるという言葉の重さと深みが分かります。
『学び合い』は考え方という表現は、精神論や宗教チックに見えるでしょう。また、オーラといえばオカルトチックに見えるでしょう。でも、私は理科系のバリバリの実証主義者です。「『学び合い』は考え方」、「オーラ」は、徹頭徹尾実証的データによって示すことが出来ます。そこには精神論や宗教やオカルトの入り込む余地はありません。
教師が子どもたちに畏怖を感じるレベルの『学び合い』は、シンプルな課題でしか達することは出来ません。例えば西川ゼミが平均的な研究室の十倍以上の業績を上げ続けられるのは、「自分の心に響き、多くの人の心に響く教育研究を通して、自らを高め、教育を改善しよう」というシンプルな課題を掲げているからです。「私」が凝った課題を与えれば、私もプロですから、かなりのレベルの業績が上げられます。でも、それは私の悪しきカーボンコピーにしかなりません。私は私を越えた成果に接することによって、私が成長したいと願っています。「私の思ったとおりになった」と思いたくて教師になっているのではありませんから。あははは
■ [お誘い]ライブ
『学び合い』を知るのだったらライブがお勧めです。文字だったら「学びの共同体と同じ?」というような誤解は生じますが、一度生で授業を見れば絶対にそのような誤解は生じません。が、授業のやっているウイークデーに参観には行けない、という方も少なくないと思います。
長野県の学校の2学期は8月中旬に始まります。ですので下旬頃でしたら、平常通りの授業をしているのです。多くの地域では、その頃は夏休み期間です。ですので、参観しやすい時期です。既に、いつでもOKの応えを直でいただいた方もいます。小学校だったらカンさん(http://bit.ly/9MtU3l)、中学校だったらイクナカさん(http://bit.ly/aAZETG)です。お二人にメールでお申し込みください。また、私にメールをいただければ、紹介いたします。