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2010-08-29

[]考えと方法 10:21 考えと方法 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 考えと方法 - 西川純のメモ 考えと方法 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 昨日は、ゼミの抱えている課題を1時間半、徹底的に語りました。そして、ゼミ生からの率直な疑問に応えました。どんな質問を受けても、私は1秒の迷いもなく応えられます。「もし、クラスの中にあなたのようなことを言う子どもがいたら、教師としてあなたはどう語る?」で殆ど全ての疑問に応えられます。

 例えば、「『学び合い』を本当に分かっているとは言えない自分たちに何も出来ないのではないか?」という疑問に対しては、「私は算数が全然分からないから、何も出来ないの。だから何もしない」という子どもがいたときに何を語るか、です。「自分たちがやれることが西川先生の言っているような「日本を変える」ということが繋がるとは思えない」という疑問に対しては、「どんなにやっても、○○ちゃんや○まるちゃんが80点以上採れるようになれるわけ無い」という子どもがいたときに何を語るか、です。また、「自分の目の前の子どもの授業についやすエネルギーをさいて、地域や県レベルのためにやることが本当によいことなのだろうか?」という疑問に対しては、異学年学習で「何で別な学年の人と学び合わなければならないの?自分たちのクラスでしっかり学び合う方が大事でしょ?」という子どもがいたときに何を語るかです。

 全ては、「多様な人間と折り合いをつけて自らの課題を解決する」という戦略がホモサピエンスの最高・最善の戦略であるという『学び合い』の学校観、「有機的な集団はかなり有能である」という『学び合い』の子ども観さえしっかりしていれば、ちゃんと応えることが出来ることです。『学び合い』を方法としてとらえている限り、だれかが明らかにした実践をなぞることは出来るでしょう。でも、そのような事例を知らない場合、また、慣れ親しんだ事例においても、ちょっとうまくいかなくなったとき、それを会悦することが困難になります。でも、考え方が分かっていれば、そのシンプルな二つの考えに戻って応えることが出来ます。

 最後に、「教師・管理者は、子ども・部下がどんなに疑問を呈しても、反対しても、基本をぶれずに語るべきだ。だから、みなさんがどんな状態であったとしても、ぶれずに求め続ける」と宣言しました。これは、学校観、子ども観から導かれる、『学び合い』の授業間に基づくものです。

 『学び合い』が考え方ということは分かるためには、考え方だと思っている自分の方法でうまくいかなくなったとき、考え方を分かった人が、考え方に基づいてそれを解決することを通して学ぶものだと思います。『学び合い』の何も変哲もない、たった二つの言葉には、もの凄い深みがあることを気づくのです。ま、それが大学院で西川ゼミに所属する大きなメリットだと思います。学生さんの場合は、考え方を理解している人と語り合う機会が設けづらい。一方、現職の方は実践にどっぷりとつかっているので、なかなか客観的に自分の実践を見る余裕がない。