■ [大事なこと]ドラッカー
ドラッカーの数ある著作の中で、特に好きな言葉を二つ紹介したいと思います。
『ベンチャービジネスにとり、最大の危機は、製品なりサービスが、何であり、何であるべきか、どのように買われるべきかを、顧客以上に知っているということである。必要なことは、予期せざる成功を機会と見なし、自分たちの専門に対する侮辱とは見ない姿勢である。マーケティングのあの基本原則を受け入れることである。つまり、企業というものは、顧客を改心させることによって対価を得ているのではないということである。顧客を満足させることによって対価を得ているのである。』という言葉が、「イノベーションと企業家精神」(ダイヤモンド社、1985、327-328)という本にあります。
教訓ですが、『学び合い』を求めに来ている人には『学び合い』を伝えることは危険性は少ないですが、そうでない人に伝える場合は、注意が必要です。顧客は、自分が変わることを求めてはいません、自分の必要な製品を欲しているのです。変わることを求めると、拒否反応が起こります。そういう人への我々の最初の一言は、「これこれが出来ます」ではなく「何がお望みですか?」です。
もう一つは、「未来企業」の中の言葉です。
『自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、誰かに陳腐化させられることを防ぐ唯一の方法である。
昔からこのことを理解し受け入れてきた企業がデュポンだった。同社は1938年にナイロンを世に出したとき、直ちに、これと競争できる新しい合成繊維の研究に取りかかった。同時に、価値を下げ、同社の特許を迂回することの魅力を小さくした。
これこそ、なぜデュポンが今なお世界一の合成繊維メーカーの地位を占めているか、また、なぜ同社のナイロンが依然として売れつづけ、かつ利益を上げているかの理由である。』(未来企業、1992、345-346)
私は研究者です、最先端にいてなんぼのものです。だから、『学び合い』に関して十数年間常に、陳腐化していました。現在、私が従来指導型『学び合い』と称しているものの多くは、数年前までは最先端の『学び合い』でした。『学び合い』のことを分かっているものこそ、それの限界と可能性を知っています。