■ [大事なこと]戦略
上越で初期採用者が見られると言うことは、既に初期多数採用者の段階に移行しつつある地域もあることが予想されます。そして、そうであるならば、私もそれに対応しなければ、と考えています。私はロジャーズの普及化理論が好きですが、この初期採用者から初期多数採用者への移行においてはムーアのキャズム理論を意識したマーケティングが必要です。
つまり、革新者や初期採用者の場合は「学校教育とは」とか「子どもの幸せとは」というレベルのトータルな問題意識を持っている人が多いです。もちろん、直近の問題はありますが、そのレベルの話をしてもついてきてくれますし、そのレベルの話を自らの直近の問題として解釈しようとします。ところが多数採用者は、そのレベルのことにはあまり興味がありません。そんなレベルまで考え方を変えろと言われれば、宗教だ、という反発をします。最近紹介したドラッカーの言葉は、そのあたりの感じを述べているのだと思います。
では、どうするか?マーケティングの基本ですが、顧客をセグメント化し、それにあったマーケティングの戦略を立てるのです。つまり、その顧客のニーズにあったトータルな解決策を提案するのです。具体的に例を挙げます。現在、へき地小規模校での『学び合い』を実践していますが、その学校では学力よりも固定的な人間関係の打破の方が興味を持ちます。学力向上でしたら、一人の教師で2、3人ですから「出来る」と思っているのです。『学び合い』は教科によりません、が、初心者の場合は教科の特異性が気になるでしょう。その場合は、その教科での『学び合い』の具体例を1から10まで一応一通り例示する必要があると思います。
何が言いたいか、と言うと、今まで私が書いた本や手引き書は、基本的に革新者や初期採用者をターゲットにしたものでした。しかし、今後は初期多数採用者にターゲットを絞った本や手引き書を書く必要があるのではないか、と考えたのです。しかし、逆の考えもあります。キャズム理論の場合は、革新者・初期採用者と初期多数採用者の利害は対立していることを前提としています。つまり、革新者・初期採用者は「自分だけが知っている、出来る」ということに価値を持つのです。従って、初期多数採用者にはベンチャー企業がマーケティングをしなければなりません。しかし、『学び合い』における革新者・初期採用者は、広げる価値を理解しています。つまり、彼らが身近な初期多数採用者に対応したマーケティングをしてくれることが期待できます。つ、ま、り、身近な困っている先生方に、その先生方にあった切り口の説明をしてくれる、ということです。でも、その先生方が説明しやすい手引き書を用意すべきなのか・・・・。いや、それは大きなお節介なのか・・・。ま、書いても不必要ならば無視されればいいのか・・・・。
そんなあたりを考えています。
私はシンプルな原理原則が好きで、それ自体、また、それが生み出された過程を記載するのは大好きです。しかし、それから生み出される具体例を記載するのはあまり好きではありません。理由は、どこまで行ってもそれは方便ですから。そして、それを書けば、原理原則との違いが分からない人が誤読し、方便のレベルを原理原則だと思い込みますから。だから、本でも「どうやったらいいか」を書くのにためらいがありました。そして手引き書を書くのにかなりの決意をしました。
でも、それを乗り越えて本を書き、奥義書を書き、手引き書を書き、短縮版手引き書を書き、従来指導型『学び合い』の手引き書を書きました。デメリットとメリットを比べれば、後者が多かったと思っています。
http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20051108/1131455177
http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20070725/1185348856
http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20070803/1186088883
http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20090206/1233929273
http://manabiai.g.hatena.ne.jp/jun24kawa/20090707/1246973145