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2011-06-10

[]考え方 22:25 考え方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 考え方 - 西川純のメモ 考え方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 『学び合い』は考え方であって、方法ではない。

 この建前論のような短い言葉、その言葉の深みは凄いことがあります。この言葉の意味が分かれば、教科学習以外にも、学校経営にも、会社経営にも、コミュニティーも、保護者会も適用できる。手引き書に書いていないことにも対応できる。日常のありとあらゆること(伴侶・子どもとの対応以外)に適用できる。そして、今後発展する、今では荒唐無稽に見えることにも適用できる。

 手引き書に書いてある程度のことしか、心の痛まない状況の中で『学び合い』を出来るならば、テクニックでもできます。しかし、そのレベルだと、一度不安になり始めると、テクニックに頼り始め、それをどんどん加えて、あっという間に『学び合い』もどきになってしまいます。

 良いものと、良いものを加えるとより良いものになると思いがちです。でも、マヨネーズと抹茶塩を混ぜたら、マヨネーズより抹茶塩よりおいしくないものが出来ます。同じで手引き書通りのことをやっている分にはなんとか出来ても、手引き書に書かれていることの意味を分からず、それと異質なものを加えれば『学び合い』とは別個のものが直ぐに生まれます。

 抹茶塩に少しでもマヨネーズを加えた段階で、マヨネーズになります。

 『学び合い』は考え方、この言葉はとても深い意味があります。これを分かるためには、上記のような状況の中で踏ん張り、基本に戻った人がだけがわかります。そして、何度も、この言葉の意味の深さを分かった(つまり失敗した)私でも、テクニックの誘惑はいつでも来ます。

[]時間の使い方 22:15 時間の使い方 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 時間の使い方 - 西川純のメモ 時間の使い方 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 私の尊敬している友人である池田修さんの名言。「若い奴らに無意味に多量にあるもの。それはエネルギーと時間」実にその通りだと思います。と、言いましても、多くの若い人には、この言葉の意味が分からないと思います。で、書こうと思いました。

 多くの若い人は「無意味にエネルギーと時間」があると言われても、同意しないでしょうね。忙しいし、ヘトヘトになっていますから。でも事実です。

 三十代以降とそれ以前の忙しさの質が違います。若い人の忙しさは「自分のための忙しさであり、エネルギー」です。ところが、三十代以降は家族であり、同僚のための忙しさです。それが殆どを占めているところが特徴です。

 だから、三十代以降には「失われた時を求めて」みたいな本は読めません。カントの本のように、数学書を読むように一字一句を確認するような本も読めません。いや、文庫本で2cmを超えるような本は読めません。

なぜなら、それらの本は一定時間、連続して集中して読まなければおもしろさが分からない本だからです。ところが三十代以降は、家族や同僚のための仕事があり、それらは自分の都合と関係なく勃発するのです。

私は自然棟という建物の6Fに研究室があります。事務に書類を出す、ポストに手紙を出すとなると別の建物に行きます。となると往復10分ぐらいかかります。私は、その移動を無駄にしないため、頭を使います。行くとなったら3種類以上の仕事をこなすことを考えます。

学生さんの動きを見ていると無駄が多い。もちろん無駄な時間は大事です。でも、無駄な時間を生み出すために、必死に頭を使って、それ以外の時間を効率よくこなすか否かを考えているかをオジサンは見ています。

無意味に時間とエネルギーを費やして欲しくないな~っと思います。できれば、オジサン・オバサンになったら出来なくなる一つのことに時間を変えて欲しい。もしくは「大人」になって、自分のこと以外に時間とエネルギーを費やし、自分の時間を必死にかき集めて欲しい、と願います。

ま、これはオジサン・オバサンにならないと分からないかもしれません。そして、そのオジサン・オバサンも、もっと時間を過ぎると「無意味に多量にあるもの。それは時間」と言われる老後があるのですから。

もちろん、最高の社会は最後の最後まで「無意味」な時間もエネルギーもなく、他者と自分の時間の折り合いをつけなければならない社会だと思います。

[]明日のお題 05:17 明日のお題 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 明日のお題 - 西川純のメモ 明日のお題 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 明日は久しぶりの講演です。主催者からは職能形成という「お題」をいただいたので、今まで講演では話さなかったことを話そうと思います。概略は以下の通りです。

 かなり以前、私は教師にアンケート調査をしました。そこでは、その人の考える教師の職能とは何か、そして、それが何かを分かったのはいつか、ということです。

 その結果分かったのは、多くの教師が職能であると思っていることは教職経験数年で気づけることであり、その先に最低で3種類の職能があります。ところが多くの教師は、数年で気づける職能にとどまり、残りの3種類を獲得しないまま教師人生を続けるのです。

 その実態は、研究授業における検討会で出る話題に端的に表れます。そこで話される話題の多くは、その数年レベルで気づけるレベルのことなのです。

 ところが、中学生に小学生相手の授業を実践させ、それを集団で討議・改良させると、あっという間に多くの教師が一生涯獲得できない職能に関わることを気づけるようになるのです。

 では、何故、普通の教師が一生涯獲得できない職能を、中学生がいともたやすく獲得するか、それは中学生は議論の中でそれを見いだしているのです。

 多くの教師がそれを獲得できないと言うことは、そのような議論を一生涯経験していないということを意味しています。

 以上のことをまとめて、私の考える教師の職能を提案します。そこでは、網羅的な知識・技能ではなく、協働を軸としたものです。

 てな新作を話したいと思います。

 詳細はhttp://j.mp/mH84rZhttp://j.mp/jhM4Ja

追伸 なお、当日、私に聞いていただければ、授業検討会を活性化させる「小技」を伝授いたします。本当に簡単で、有効です。