■ [大事なこと]時間
私はゼミ生を殆ど叱りません。からかう程度です。だって、しょうがない程度ですから。しかし、例外的に本気になって叱ることの一つは、発表時間を守らないことです。
客観的に見ると、それより重大なことをしても呆れて、からかう程度なのに対して、発表時間を守らないと叱ります。理由は、発表時間を守らないという原因にある心があるからです。発表時間を守れない理由は二つあります。第一は、話の組み立てを考えていないからです。思いつきのレベルを、牛のションベンのようにだらだらと語っているようです。これは相手に対して不誠実です。第一の原因だけだとしたら、話の途中で切れば良いだけのことです。ところがそれをしないのは、自分の話がとてつもなく大事で、他の人の時間なんてどうでも良いほどであるという不遜さがあるからです。
だから、今まで聞いた講演・発表で時間が守れなかったものでよかったものは一つもありません。もちろん、時間が守れたら素晴らしいかと言うことではありません。しかし、時間が守れなかったものがよいものでないことには例外はありません。
そのため、世のしがらみのある仕事から離れて久しい人と一緒に仕事をするのは大嫌いです。なぜなら時間を守らないからです。最悪なのは、その人の後に仕事をすることです。大抵は、時間を大幅にオーバーします。結果として、自分の話(その話の組み立てに時間をかけた)をはしょらなければなりません。
自戒です。もし、私が講演時間を守らず、そしてそれを本気に気に病んでいないようになったら、それは脳軟化症が始まったという証拠です。もし、そうなったら、この日のメモを見せて下さい。おそらく、何のかんのというかもしれませんが、本人(つまり私)は自覚します。
追伸 だから、私は立川談志さんの最近の話は大嫌いです。他のどなたが褒め称えても、私には聞くに堪えない。醜悪さを感じます。落語協会に所属していた頃の立川談志さんは本当に天才だと思います。芝浜、黄金餅、死神などは絶品でした。世のしがらみをものともせずにいる状態になると、よほどの人間でないと甘くなります。天才であっても、ぎりぎりまで自分の話を組み立て、そぎ落とす営みがなければ、ひどい話になります。そして、その傲慢さと手抜きの心は話に現れます。天才ならず凡夫なればなおさらです。これまた自戒です。
■ [大事なこと]直ぐやる
息子を見ていると、私によく似ています。自分の興味があることに集中して、それ以外のことを直ぐに忘れます。そのため、言いつけられたことを忘れ、よく叱られます。息子のは「忘れるのは誰にでもあること、おとうさんもよくある。どうしたらいいか?それは言われたら直ぐにやる。それ以外にない」と言います。
ゼミ生によく言います。「日本を変えろと私がよく言うが、無茶苦茶凄いことをやれと言うわけではない。自分の生活を乱さずに出来る普通のことを、毎日やり続けること。ポイントは毎日やり続けること。そして、大きなことを願うならば、そのレベルを願っている人と繋がること。繋がりたいならば誠意を持つこと。誠意と言っても凄いことではない。家族に迷惑をかけない範囲の、ごく普通のことを常にやり続けること。おはようと言われれば、おはようと言う。いや、自分からおはようと言う。そのレベルのことを常にやる。信用金庫がその人に金を貸すか否かを決めるのは、その人の資産や預金残高で決めるのではなく、その人がどれだけ長期間その信用金庫の口座を持っていたか、そしてその預金残高の長期の推移傾向だ」と語ります。
私は自分がいかに不誠実であるかを知っています。というより、私はアスペ傾向があるため、相手の気持ちをくみ取り損なう傾向があります。そして、相手から不誠実と思われるといかに不利かを知っています。だから、身を守る戦略として、自分の出来ることを、直ぐに、常に、やるという、私でも出来ることをし続けています。
追伸 この手のメモを書くと、「私ではないでしょうか?」というメールをいただきます。何度も書きますが、それを書こうとするような方は、そうではありません。ご安心を。あははは