■ [大事なこと]きっかけ
昨日、長崎の先生方に語ったことです。
暴言・暴力が起こると、教師はその時何が起こったかを聞き出し、その原因を探ります。ところが、その多くが「え?なんでそんなこと・・・・」と思うようなことです。そうなると、その子を「そんなことでも切れる、意味不明の子ども」と考えます。意味不明なのですから確信を持った対処は出来ず、ごく常識的な対処しかできません。そして、それが繰り返されます。そのような繰り返しの中で、徒労感を感じ、へとへとになります。
実は、これは教科学習の中で「何故分からないのか?」と教師が分からない理由をとな時です。単純に「その場」の情報から解釈しようとするためです。暴言・暴力を繰り返す子どもも暴言・暴力をすると楽しい、というわけではありません。それ以外に選択の無いほど追い詰められイライラが募るのです。1日の中で、いや、数日の中で、徐々にイライラがたまっていって、それが決壊する最後の一歩が「え?なんでそんなこと・・・・」なのです。だから、暴言・暴力の原因を「え?なんでそんなこと・・・・」に求めてもしょうがない。
では、徐々にイライラをためるような諸事項を一つ一つ解決すべきでしょうか?そりゃ無理だ。たいていの場合、その原因は教師には分からないところで起こっています。家庭での場合、そりゃ、教師がどうしようもありません。そんな問題を起こす家庭の保護者に「こんこん」と説教して何とか出来ると思いますか?学校だって、教師の目の届かないところがある。百歩譲って、それらが全て解明できて、全て対処可能だったとしましょう。でも、そんなことをすれば、教師は「その子」に殆どのエネルギーを費やし、へとへとになってしまう。
教師に出来ないことはあります。でも、出来る子ともあります。子ども同士がちょっとづつ互いのイライラの解消をすればいいのです。そんなに難しくない。「いっしょにやろうよ」、「それいいね」、「ふ~んなるほど」というような何気ない声がけがあるだけで、イライラがちょっとずつ減らせることが出来ます。
『学び合い』のようにゴチャゴチャした環境にいれば、少なくともその子は埋没します。そうなれば無意識で教師が出している「あの子は問題児」というオーラを消すことが出来ます。これだけでイライラのかなりを解消することが出来ます。
『学び合い』では多くの暴言・暴力を繰り返す子をごく普通の子どもに変えています。私自身も地元の『学び合い』学校で何人もその変化を見ています。顔が別人になるのです。そして、担任の先生の顔も。100%解決できるか、と問われれれば「分かりません」としか答えられません。しかし、「まし」になることは100%確信しています。少なくとも今以下には絶対になりません。
ただ、そのためには「その子」という意識を捨てねばなりません。「その子」のためと思って子どもに語れば、多くの子ども、特に『学び合い』をリードするような子は「何でそんなことするの」と思うでしょう。人は滅私奉公では続きません(我々の研究によればおおよそ最大40日ぐらい)。だから「その子」を一度忘れ、クラス全員のためと考え、クラス全員のためのことをするのです。その結果、「その子」も救われるのです。これはかなりの意識改革を必要とします。