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2011-11-07

[]連載 09:07 連載 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 連載 - 西川純のメモ 連載 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 今年度の前期は日本教育新聞で半年間連載しました。後期は教育新聞で連載中です。

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 11月12日に新潟市で講演します。お誘いいたします。http://bit.ly/sEwy5F

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 佐賀の講演の際、様々な質問を頂きました。応えきれなかった部分にお応えしたいと思います。なお、皆さんから質問にお応えする前に3つのことをご理解下さい。

1) 限られた字数でお応えしているので、わかりにくいことがあると思います。その場合は、どうぞメール下さい。誠意を持ってレスいたします。みなさんが子どもたちに「分かるまで聞くのよ」と言っているのと同じです。

2) 『学び合い』は優れていますが魔法ではありません。あくまでも従来よりは「まし」だということです。現状を冷静に分析し、その上で比較して下さい。実践すれば「かなりまし」ということがおわかりになると思います。

3) 『学び合い』は「一人も見捨てず」という願いによって構成されています。従って、「多少は見捨てざるを得ない」という立場に立った論とは議論にならないと思います。

Q1  『学び合い』は「方法論ではない。考え方である。」と言われます。とっても大事にすべきことだと思いますが「あっ方法論になっている。(方法論で考えている。)」と思ってしまうことも少なくありません。分かったようで分かっていない、このことをどうとらえたらいいのでしょう。何かいいアドバイスがありましたら。「考え方」ということは、『学び合い』のさせ方にはいろいろな方法があるということですか。

A1 三つのことを自問自答して下さい。第一は「一人も見捨てず」ということです。あなたが「良し」としている「方法」は全ての子どもに「良し」なのでしょうか?子どもたちの顔を思い浮かべて下さい。我々は「一人も見捨てず」ということを実現するために、教師一人の考えではなく、子どもたちが自らの考えで解決することを大事にしています。第二は、あなたが教えている「内容」は全ての子どもが学ぶべき内容なのでしょうか?指導要領をちゃんと見直して下さい。第三は、あなたが子どもたちに強いている「方法」は「子どもたちは有能ではない」という前提で取り入れたのではないでしょうか?我々は教師がプラスアルファーするのではなく、子どもたちがプラスアルファーする集団づくりに意を尽くします。

Q2 6年社会歴史の『学び合い』押さえなければいけないポイントの多い中でどのような課題でやればいいのか。

A2 とりあえずは業者テストを参考にしたらいいと思います。課題と評価は一致することが大事です。もし、業者テスト以外で評価するのでしたら、それを参考にしてください。

Q3 数年前から導入書を聞きかじり,試行錯誤しながら『学び合い』を実践してきました。私は中学社会ですが「①全授業で『学び合い』をすべきなのか」「②中学校社会科で『学び合い』に適した課題とはどんなものか」の2つに疑問が残っています。やはり,中社では,語句自体に難しいものが多く,その取り扱いはどうすべきなのか(定着するのか)というのが気になっています。また,課題設定が難しく,いつも頭を悩ませています。

A3 その事に関しては長崎や福岡での講演で説明したことでした。「一人も見捨てず」ということさえ押さえていれば、子どもは他の子どもに聞きます。それで分からなければ、国語辞書、資料集を調べます。少なくとも聞く気の無いときに、教師が長々説明するよりは「かなりまし」です。

Q4 課題の与え方はどうすればよいのか…。易しすぎず,難しすぎず…。生徒がジャンプできるような課題の出し方はあるのでしょうか?特に,国語科の場合は。

A4 『学び合い』であろうと、従来型であろうとテストはしますよね?そのテストの問題では○×を付けられるような問題ですよね?それを課題にすればいいのです。課題と評価は一致させねば。評価しないということは、それ程大事なものではないとご自身が判断していることです。

Q5 高学年の算数では負の連鎖がおきてしまう(間違った考え方が子どもたちの間に広がってしまう)ことに対してどう対応したらいいのでしょうか。

A5 これが起こるのは、小グループの中で会話が終始し、グループを越えた情報交換が起こらないからです。そのようなことが起こったら、その事実を子どもに語り、全体で解決すべきだと語ってください。なお、答えを教卓の上に置いておけば、正解の子どもが自信を持って語れます。

Q6 45分の中に少しでも一人で考える、振り返る時間などを取りたい。時間配分は?

A6 『学び合い』の時にも一人で考え、振り返っています。これはボイスレコーダーの記録分析で明らかです。もちろん、そうしない子どももいます。しかし、そのような子どもに時間を与えても「ボー」っとしているだけのことです。「一人も見捨てない」ということを押さえれば、周りの子どもが促します。

Q7 『学び合い』で「みんなが分かる」をめざしていると時間が足りなくなってしまいます。

A7 それが起こる場合は、おそらく子どもに任せる時間が短いためです。具体的には、最初に長々と説明をしていると思います。最大で5分以内で子どもに任せなければなりません。『学び合い』は分かった人が教え、それで分かった人が教えるという連鎖ですので倍々ゲームです。時間軸と子どもの達成度は幾何級数的に増えます。逆に言えば、ちょっと時間を減らせば、その達成度はかなり下がるのです。

 おそらく課題の意味を分かってもらおうとしているのだと思います。しかし、教師には無理です。簡単な説明でも分かる子がいます。その子が周りの子どもに会話を積み上げながら伝えるしかないのです。

Q8『学び合い』の終わりの方に低位の子たちを中心に『学び合い』集団ができてしまい,その中に入れない子が遊んでしまいます。どうすればいいのか悩んでいます。

A8 その問題の原因は低位の子どもにあると思い、その子たちに「分かる子に聞きに行きなさい」と思っているのだと思います。しかし、それは無理です。むしろ問題が分かっている子を動かすことが大事です。具体的には、最後まで分からない子がいるのはクラス全体の問題であることを語ることが大事です。

Q9 子どものモチベーションの保ち方が難しい。参考になる手立てや事例があれば。

A9 その事例がどのような状態であるか分からないので、具体で語れません。が、一般的には子どもの行動は教師の心の鏡です。子どもにではなく、自らの心を見直してはいかがでしょうか?

Q10 すぐ質問してしまうところが気になる。なかなか自分で考えようとしていないのではと感じることがある。

Q11 深く考えずにすぐ友達に聞いてしまいそうですが、一人で熟考する時間は確保できるのでしょうか。

A10,11 一人で解決しようとする気がなければ時間を与えても意味がありません。が、最初は自分で解決しようとしない子どもはどうしようもない。でも、周りの子どもが会話を積み上げながら、本当に分かるとはどういう事かを分からせなければなりません。

Q12 子ども集団づくり(仲間づくり)の中で教師が子どもたちを認める場面は多く見られるが、子どもたち同志認め合える場面というのも必要だと思いますが、教師の声かけの他にあれば教えて下さい。

A12 一人も見捨てるな、ということを繰り返し語り、自分自身にも語りかけてください。そして、駄目な子を見るのではなく、一人も見捨てたくないと行動している子どもを見いだし、それを全体の前で褒めてください。

Q13 「教えて」と言える雰囲気づくりは大切だと思います。しかし,小学生の場合,ほめられるととにかく誰にでも教えたがると思います。相手が考え中で「教えて」と言わない時は,言われるまでは教えずに待つ。「教えて」と言われたらとことんあえてがわかるまで教える…。といったルールはないのでしょうか。

A13 というルールが当てはまる場合もありますが、そうでない場合もあります。細かいルールを教師が決めると、形骸化した行動になります。「一人も見捨てず」を求め続けてください。そして、本当に分かるとは何かを自問し、それに対応する課題を与えて下さい。そうすれば子どもは解決します。

Q14 T・T担当で担任がT1,私はT2ですが,授業の中でのT2の役割は,子どもの考えを聞いて広めたり,担任に伝えたりすること以外どんなことがあるのでしょうか。子どもたちに直に役立ってないきがしますが。

Q15 学校において算数科ではTTの教師2人の体制を取っています。『学び合い』の算数の授業においてT1やT2が子どもたちにとってうまく機能する考え方や方法があれば教えてください。

A14、15 最善は、先生同士が立ち話することが出来るというのが『学び合い』に置けるTTの意味です。つまり教師同士の『学び合い』の場だと思ってください。

Q16 学力テストのB問題のような応用力をつけるにはどうすればいいか?(『学び合い』で)対策問題をする以外で。

A16 質問の意味が分からないのですが・・・・。B問題は深い理解が必要です。そのためには対話が必要です。従って、B問題に対応した課題を『学び合い』でやることが有効だと思います。

Q17 特別支援教育に力を入れている学校で,研究授業において教師から子どもたちへの視覚的支援や低位の子へ向けての援助カード作り等,様々な手立てが打たれています。『学び合い』の考え方とこれらをどう折り合いをつけていけばいいか教えてください。

A17 おりあい、のことは私には分かりません。その場におられる方々が議論の中で作り上げるものです。ただ、一つのことを考えてください。特別支援学級の子どもにとって何が一番大事でしょうか?それが義務教育を終えたときに、相談できる仲間(健常児を含む)を何人持てるかということだと思います。様々な手だてを提供することは結構だと思います。しかし、それを使うか使わないかは子ども達集団に任せて欲しいと思います。その手だてが、子どもを他の子どもから隔離する結果を招来するとしたら、それは「悪」だと私は思います。