■ [大事なこと]確認テスト
『学び合い』をやっていて、どうしても最後まで教師が捨てきれないのは最後のまとめです。典型的なのは5分間の確認テストです。お気持ちが分かるので、やると悪影響が起こるのだけど・・・と思いつつ、黙っています。
悪影響は大きくは三つに起こります。
第一に、5分間の時間を子ども達から奪います。『学び合い』を実践していれば、子ども達のパワーが尻上がりに上昇するのが分かると思います。その最ものりにのっているときの5分間を奪うことはとてももったいないことです。結果として、全員達成の可能性を奪います。
最後の確認で数人指名しても全員が分かったかなんて分かるわけありません。確認テストで確認しても、確認できることはごく僅かです。そして、駄目だったとしても、それの手当をすることは出来ません。本当に分かったか分からないかを確認するためにも、分からなかったときに説明するにも、一対一の対話が必要なのです。最後の確認をする意味は、教師の精神安定以上の効果はないのです。
第二は、教師が確認すると、子ども達が確認しなくなります。上記で述べたように、他の子どもが分かっているかを確認するにも、分からなかったときに説明するにも、一対一の対話が必要なのです。つまり、手間がかかるのです。ところが教師が確認してしまえば、教師に責任を押しつけてしまうことが出来ます。結果として、子ども達が甘くなります。
ゼミ生が私に色々と良いわけをし始めると、「そんなこと知らん、結果を見るから」と突き放します。実は、それが一番、子ども達にとっては辛いのです。子どもが辛くても全員達成をしなければならない、と思わない限り全員達成は無理なのです。
そして、最後が一番重大な悪影響なのです。第三に、いつまでたっても子どもの有能性を信じられないという悪影響です。つまり、『学び合い』の最も大事にしている考え方を理解することを先延ばしにするのです。考えてください。校長が「無能だ」と思いこんでいたとき、その職員は成長するでしょうか?職員を成長させるのは、職員を信じて任せなければならないのです。個々人の職員に任せた場合は当たり外れはあるでしょう。しかし、職員集団を創れば、校長が一人でやるよりは、かなり高い成果が期待できます。教師は駄目な子どもに目が行きます。でも、必ず出来る子どもがいます。その子が集団を引っ張ってくれるのです。
と、分かっているのですが、上記を分かる準備が出来ていないと、「西川先生は大学の先生だから、そういうのよね~」と思われるだけだと分かっているので。それを待つしかないのです。そのうち分かりますから。
追伸 教師が確認する代わりに子どもが確認するようにするのが本当の『学び合い』です。確認テストをする代わりに、全員達成をする意味を子ども達の前で語ることの方が大事なのです。どうすればいいか、それを分かっている子は2割はいます。その子たちの心に火を付ければいいのです。