■ [大事なこと]ノウハウ本2
何故ノウハウ本を作ろうと思ったかを書きます。
『学び合い』に対する典型的な誤解に、「何もしない」、「放棄」のようなものがあります。『学び合い』では、これは今までの教師がやっていたことをやらない一方、やらないことをやらねばなりません。しかし、今までの教師には、自分がやっていたことしか目がいかないので、あたかも何もしていないようにしています。結果として「そんなんでうまくいくわけない」、「単なる放任だ」、「責任の放棄だ」、「特別な教師だけが出来る授業だ」、「特別なクラスだけが出来る授業だ」という誤解が生じるのです。
でも、『学び合い』も何もしなくてうまくいくはずはありません。ちゃんとやっているのです。例えば可視化です。例えば、しかり方です。これは従来型授業でも有効なテクニックです。従って、従来型指導の教師にも分かりやすいものです。それによって『学び合い』では個を動かそうとしているのではなく、教師は集団を動かし、個は集団内で解決しようとしていることが分かると思います。
また、集団の位置関係、視線の方向で集団のありようが見えることを伝えれば、ぼーっと立っているように見えるが、クラス全体を見ていることが分かります。これまた従来型授業でも有効なテクニックです。従って、従来型指導の教師にも分かりやすいものです。
また、『学び合い』のテクニックの中で、導入段階では有効だが、充実段階・発展段階に移行するときに障害になるようなテクニックがあります。例えば、先に述べた可視化もそうです。また、ネームプレートや確認テストなどがあります。その利点と欠点をちゃんと説明する必要があるでしょう。
そして、何故、上記のテクニックは「一人も見捨てない」という軸を教師がぶらさなければ、全て不要になることを書く必要があります。
追伸 第22代横綱に太刀山峯右エ門という人がいます。図抜けて強い人でした。この人の強さを示すエピソードに「にらみ出し」というものがあります。これは、相手力士を睨んだだけで対戦相手が土俵の外に出てしまったことがあります。翌日の新聞には「にらみ出し」という決まり手として表現されました。これも、相撲を知らない人は、超常的な能力と解釈したり、八百長と解釈したりするでしょう。しかし、相撲を知る人だったら、そんな解釈をしません。実はその場所の前半に、太刀山峯右エ門は相手力士を突き出し、骨折させたのです(その人はそれがもとで引退しました)。そんなことを間近で見た力士だったら、怖くて逃げたくなるのは当然です。何事にも理由はあります。