■ [大事なこと]幸せ
『学び合い』をまだ理解していない人と話すとき、「本当に子どもが分かったか否か」を議論しなければなりません。例えば、「子どもが教えるとき、答えを丸写ししている」とか、「『学び合い』って答えを写す授業のことでしょ」という人がいます。それに対して、そういう風にならないためにはどうしたらいいかを説明し、実際の成績向上のデータを示して議論します。相手の土俵で議論しなければならないからです。
しかし、本当に大事なのは「その時間が子どもの幸せを保障しているか、否か」なのです。鎌倉幕府の政治機構の特徴を知らなくても幸せになれます。微積分が分からなくても幸せになります。枕草子が分からなくても幸せになります。
そんなことを私が言うと、多くの教師の気に障ります。そして極論だと言われます。でも、それを乗り越えて、子どもの幸せとは何かを考えて欲しい。
教師とは上記のことを教えることが第一の仕事ではありません。大人とは何かを教えるのが第一の仕事です。そのためには、幸せとは何かをハッキリと持って、子どもに語れなければなりません。
この時間は子どもを幸せにしたか、この時間は子どもを大人にしたか、そんなことが議論できるような社会を実現したいと願います。
■ [大事なこと]分かって欲しい
目の前の子ども集団がどれほど辛いか、分かって欲しいと願います。
訳も分からない話を1日6時間、週に30時間、それを十数年間聞かねばならない子どもがどれほどいるか。
自分は周りから嫌われている、バカにされていると思い続けて数十年過ごさなければならない子どもがどれほどいるか。
自殺する子どもは特異な例ではありません。同じようなことをされて、それでも生きている子どもはかなりいます。そして、それに準じるようなことをされている子どもは、100倍以上います。
それを気づかぬ人が多すぎます。
現状の『学び合い』のノウハウや様式なんてどうでもいい。本当に大事なのは、子どもの辛さを感じ、それを何とかしたいという願いです。それが本体で、ノウハウは影です。
方法は多様で良いが、譲れぬミッションはある。
が、多くの教師が無意識に気づかないように封印をしている。その封印を解くには、それを乗り越える術がなければ。次の本で、それを実現したいと思います。