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2012-11-06

[]失敗 05:13 失敗 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 失敗 - 西川純のメモ 失敗 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 ゼミ生達には言っていたことですが、個々で公開し損ないました。昨日の毎日新聞(全国版)に『学び合い』が載っています。

[]成績を上げられる先生 05:03 成績を上げられる先生 - 西川純のメモ を含むブックマーク はてなブックマーク - 成績を上げられる先生 - 西川純のメモ 成績を上げられる先生 - 西川純のメモ のブックマークコメント

 クラスには4種類の子どもがいます。第一は、授業内容を既に知っている子です。塾予備校・通信教材の発達している今では、このような子は少なくありません。また、理科や社会科の場合は趣味でその手の啓蒙書を読んでいる子は少なくありません。

 第二は、教師の説明がなくても、自習で理解できる子どもです。日本の教科書は優秀です。読めば分かるようになっています。さらに安価で良質の参考書や問題集が手に入ります。思い出して下さい。授業はちんぷんかんぷんだったけど、テスト前に集中して勉強し理解したことを繰り返した人は少なくないと思います。

 第一、第二のタイプの子どもは教師が思うより多いのです。理由は簡単です。どの教科も、どの学校段階でも、一般の教師は「中の下」に合わせた授業をしています。結果として「上」、「中の上」と「中の中」にとっては簡単な授業をしているのです。

 第三のタイプは、教師の授業によって分かる子どもです。そして、第四のタイプは教師の授業ではちんぷんかんぷんな子どもです。

 この中で、従来型の授業で恩恵があるのは、第三のタイプの子どもだけなのです。さらに言えば、教師の説明が子どもの説明より良いという子はさらに少ない。日本の教員養成も、教員再教育も素人的には正しいが、実際には間違っている前提に立っています。それはよく知っている人ほど教えられるという前提です。これは認知心理学によって誤りであることが明らかにされています。ま、そんなことを持ち出さなくても、大学の教師や専門家の話が分からないと同じと言えば分かりますよね。認知的なギャップが激しいとその語る内容が伝わらないのです。教師はその教科が大好きだから教師になる人がほとんどです。従って、その教科が分からない子どもに伝える言葉を持たないのです。

 以上の通り、教師が教えるという従来型は非常に効率が悪いのです。

 が、世の中には、「あの先生が担任になると成績が上がる」という教師がいます。何故でしょう。おおよそ二つのタイプに分けられます。

 第一は、中の下に特化したドリル練習を徹底的に繰り返すのです。先に述べたように、第一のタイプと第二のタイプの子どもは、教師が何をしようと、また、何もしなくてもちゃんと勉強します。そして、第四のタイプの子どもは、教師が何をしようと、また、何もしなくても、ちんぷんかんぷんのままです。従って、何らかの効果があるとしたら第三のタイプの子だけなのです。つまり、中の下の子です。この子にドリル練習を繰り返せば、その子達の成績が上がります。しかし、第四のタイプの子どもは置いてけぼりです。だから、成績の分布を見れば、上記のような指導をしているか否かは一目瞭然です。どうなるかと言えば、分散の大きい山が90点や80点付近にあると同時に、低い点数にもう一つの山が表れます。それが成績を上げることの出来る先生の実態です。

 しかし、第二のタイプの成績を上げることの出来る先生がいます。集団のやる気を上げられる教師です。公立学校で高い成績を維持できる部活指導を出来る教師がやっていることを教科指導でやっているのです。この教師の場合は成績分布がフタコブラクダになりません。当然、第二のタイプの教師の方が、第一の教師より望ましい。なぜならば、教師の職責は学習指導要領に示されている最低学力を国民に等しく保証することですから。

 しかし、第二のタイプの教師はその教師の人徳やカリスマ性などによって実現しています。これは全ての教師が実現できることではありません。

 『学び合い』はシンプルな学校観と子ども観を理解し、「一人も見捨てない」ということを軸にすればだれでも第二のタイプの教師になれることを明らかにしているのです。