■ [大事なこと]指導教員
私が採用された頃は指導教員はありませんでした。しかし、現在は指導教員が1年間サポートします。多くの人、それも両方の側から聞くと、相性が大事なように思います。
もし、この制度を生かすとしたらどうしたらいいか、というアイディアがあります。
平成15年にやった研究です。年長の教師の若い教師が話し合いながら授業改善をするのです。最初は若い教師が授業をして、年長の教師がアドバイスします。ポイントは、数週間たつと年長の教師が授業をして、若い教師が意見を言うのです。これを繰り返します。最初は年長の教師が強い立場でアドバイスするのですが、徐々に対話が成り立ってくるのです。そりゃそうでしょう。偉そうなことを言っても、数週間後に自分がそれを実際に見せなければならないのですから。それも、数週間連続で。
指導教員と初任教員が交互に授業をするというシステムが望ましいと思うのです。
追伸 多くの方が感じていると思うのですが、非常勤講師で何年も教えている人に指導員の人がつくのは・・・・。逆に言えば、指導員のサポート無しで非常勤の人が教えるのは・・・・。この両者を矛盾無く合理的に説明することって出来るのかな?
■ [大事なこと]育て方
人は喋る前に数年間かけて膨大に聞かねばなりません。そして、書く前には膨大に読まねばなりません。当たり前のことです。しかし、教員養成においてはそうではないようです。まだ、教師としての立ち位置が定まらないうちに、いきなり授業をさせられる。それも、現場では絶対に出来ないような時間をかけて授業案を作るということをします。
私はあまり意味が無いように思います。教育実習の数週間で授業が出来るようになるのであれば、そんな実習無しでも採用されて1ヶ月たてば出来るようになれます。事実、以前、中学生に小学生相手の授業をさせましたが、教育実習生レベルの授業が出来ました。ま、考えてみれば当たり前です。彼らは十年弱は授業を受けていたのですから。
教師教育で本当に必要なのは、教師になるぞ、という立ち位置で膨大に授業を見ることだと思います。その中で、自分だったらこうする、どうする、ということをシミュレーションするのです。そして、その次に授業をするのです。
教職大学院での我がゼミは、学卒院生さんの場合は授業を直ぐにはしません。最初は学校のありとあらゆることのサポートをします。そして授業をいっぱい見ます。そんなとき、先生方が出張があるとき、いきなり1日担任を任されます。ゼミ生自慢ですが、我がゼミ生はそれが出来ます。『学び合い』では、授業の流し方ではなく、その時間で達成すべきものは何か、ということを考えることを大事にします。それさえ分かっていれば、従来型の授業でもうまく出来ます。だって、何を達成すべきなのか、という視点が学習者の時に持っていなかったことなのです。それ以外の流し方に関しては、十数年も授業を受けているのですから分かっています。